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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
14章・リアーナダンジョン

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進路を確認すると、戦闘はそこそこにひとまず上層への通路を目指した。


それでも奥に進むに従い、魔物の出現頻度は増えていったが、幸いこの階層で一番強力な魔物はオークのようだ。

強い事に違いは無いが、木が生い茂る森の中では、体当たりや振り回しといった種族の特徴を生かした戦い方は難しいはずだ。

視界が悪く長物を使いづらい森の中は、俺達人間側にとって不利な環境だが、少なくとも、この階層で最も警戒すべきオークにとっても、それは同様。

油断が出来ないことに違いは無いが、逆に言えば油断さえしなければ、十分戦える。


「辿り着いたか……」


上層に繋がる通路の前は、入口周辺と同じで、森が途切れて見通しが良くなっている。

魔物もいないし、一旦態勢を立て直したりするのには丁度いいかもしれない。


ここへの到達を優先したから、戦闘や調査は控えめにしていたが、それでも徐々に魔物の数が増えて、結局30分位かかってしまっただろうか?

距離はそれ程でもないのに、少々時間がかかった。

この階層に人間は俺達だけだし、ルート上の魔物は結局全部倒す羽目になっていたからな。

アレクの声に少々疲れたものが混じっているが、無理もない。


ジグハルトの魔法で一掃する案も出たが、これも調査の一環だ。

わざわざ調べにはいかないが、向こうからやって来るのなら無視も出来ないしな……。


「お疲れアレク。どうする? 【隠れ家】で休憩する?」


今このダンジョンは俺達だけ……って事は【隠れ家】での休憩を遠慮せずに行えるって事だ。

だが、アレクは首を横に振った。


「いや、止めておこう。初探索でどれほど疲れるかも調べたいからな。あそこは……快適すぎるだろう?」


そう言って笑っている。


「そうだな。ここで休憩して回復するのとはわけが違う。折角だが今日は無しだな」


「そかー……。りょーかい」


なるほど……【隠れ家】じゃ、全快しちゃうんだな。

別に悪い事じゃ無いが、今日は疲労具合も調べるのか。


「姫はお疲れじゃありませんか? 少々蒸し暑いでしょう?」


アレク達の言葉に頷いていると、テレサが俺は疲れていないのかと聞いて来た。


他所のダンジョン同様、ここも気温はそれ程でも無いが、この森って環境だからか彼女が言うように少々蒸し暑い気がする。

特に今日の俺の装備は、以前作った魔王種の防具を身に纏っている。


「そうだね……ちょっと暑いけれど……まぁ、大丈夫かな? ほとんど動いてないしね」


俺がそう言うと、腰に下げた水筒を渡して来た。

それを受け取って、一口飲むと、礼を言って返した。


「ありがと」


そう言えば、装備は身に着けているけれど、道具とかはなにも持って来ていなかったな……。

【隠れ家】に入れば何でもあるが、今日は俺も皆に倣おう。


「よし……、休憩はこれくらいにして、引き返そう。今度は直線じゃなくて、壁沿いにだ。東と西、どちらにする?」


しばらく休憩をしていたが、十分回復したと見たのか、アレクが調査の再開を告げた。


「東側はどうだ? 魔境の近くになるし、ダンジョン内にも影響を及ぼすのか調べたいな」


「ああ、確かに……他に意見は……無いな? なら東側で行こう」


この辺の魔物は元々他所の同じ種族の魔物よりも強いそうだが、ダンジョン内の魔物はそうでも無かった。

他所と大差ない。

多分変化は無いと思うが……調査ってのはそういうものか。


やった事無いけど、ゲームのデバッガーってこんな感じなのかな?


そして俺達は、壁沿いにぐるりと東側のルートで入口を目指し出発した。


入口を目指し出発してから、さして時間をかけることなく到着する事が出来た。

何度か戦闘をする事にはなったが、片側が壁だからか、行きに比べるとずっと戦闘は少なく済んだ。

距離こそ回り込む分長くなるが、この壁面に沿ってのルートの方が結局早く到着できそうだ。


「戻ってきたなー……。魔物の強さに違いは……無いか? 少なくとも耐久力に差はなかったと思うが……」


森の方を見ながら、ジグハルトはアレクに敵の攻撃について聞いていた。

攻撃はアレクが受け止めていたからな……戦った感じ俺に差は感じられなかったが、盾役のアレクはどう感じたんだろうか?


「攻撃も他所と大差はありませんね。戦い方が素直だった分弱いくらいです。もっとも……それはこれから変わってくるかもしれませんが」


アップデート説を話しはしなかったが、俺がゼルキスのダンジョンで経験したオーガの事を覚えていたのかもしれない。


「そうか……まあ、浅瀬で出て来る種族は大体網羅したか……? 報告書は……本部は使えないな。どうする?」


「南館の談話室を使わせてもらいましょう。あそこなら奥様の客以外は来ませんから」


と、2人が話し込んでいると、パンパンと手を叩く音がした。

フィオーラだ。


「貴方達、もうすぐそこが外なのだから、ここで話し込んでいないで続きは外でしなさい。私はさっさと帰って汗を流したいの」


ごもっとも。

それを聞いて二人も少々ばつが悪そうにしている。


まぁ、何はともあれ今日の調査は終了だ。

報告は彼等に任せて、俺は屋敷に帰ってゆっくり休もう!



屋敷に戻るとまずは風呂に向かったが、アレク達はオーギュストも交えてアレコレ報告書の作成をするそうだ。

それを基に、近いうちに冒険者ギルドに話が行くことになる。

実に仕事熱心。


一方俺達はセリアーナの部屋に向かった。

寝室でエレナも交えて話をしているが……。


「必要無いわ」


「ぬ?」


今日俺がダンジョンで得た聖貨は3枚あって、セリアーナに渡そうと思ったのだが断られた。


「まだリアーナにダンジョンは無いの。だからお前はダンジョンで聖貨を得ているわけじゃ無いのよ」


「……ぉぉぉ」


なんという詭弁。

だが……。


「良いの? 遠慮なくやれそうだから、結構稼ぐと思うけど……」


「構わないわ。無理をし過ぎない程度に稼いでらっしゃい」


と、興味なさげに言い放った。


うはー……何という太っ腹!

俺、稼いじゃうぞ!


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前回の感想の訂正 そういえばテレサさんはセラさんを姫様呼びするのか? ↓ そういえばテレサさんは"なんで"セラさんを姫様呼びするのか?
[気になる点] そういえばテレサさんはセラさんを姫様呼びするのか? [一言] セラさん強化月間や!
[一言] セリアーナにとっても唯一本気で気が許せる相手になってるから甘くなっていくんだなぁ、無意識か意識的かは知らないけど
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