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ダンジョンの出現から3日目。
遂に探索が行われることになった。
メンバーは、俺とアレクとテレサ、ジグハルトにフィオーラの5人だ。
まぁ……当然と言えば当然だし、無難なメンバーに収まったと思う。
これから半年近くはダンジョンの存在は秘匿し続けるが、徐々に利用できるメンバーを増やしていく予定らしい。
今日の探索はその為の事前調査みたいなものだ。
出発前にセリアーナから無理はしない様にと言われたが……ちょっと自信は無いな!
なんといっても久々のダンジョンだ。
楽しみじゃないか!
◇
「うわぁー……」
屋敷の地下訓練所から繋がる通路の一つからダンジョンにも向かう事が出来て、俺達はそこからここまでやって来たのだが……本当にダンジョンが出来ていた。
ゼルキスや王都のダンジョンがあったホールと同じで薄っすらと光っている。
ダンジョンは、広いホールの壁面を少し掘っていた箇所を起点に儀式を行ったそうなのだが、途中で勝手にドンドン掘り進んで行ったらしい。
もっとも実際に街の地下を掘っているわけじゃ無くて、あの通路から先は別の空間に繋がっているんだとか……。
不思議なことこの上ないが、俺の【隠れ家】も別空間だし、魔素を電気代わりに家電を動かしたりしているし、あれと似た様なものなんだろう。
「面白いでしょう。ここは魔物の素材を混ぜ込んで強度を高める造りだったけれど、ダンジョンが出現したことで、中の魔素と反応して今の状態になったわ。ほら、あそこ」
驚く俺の横で説明をしていたフィオーラは、このホールの隅を指した。
そちらを見ると、大きい扉くらいのサイズの部分だけ、土のままだ。
「あそこは上の階段とつなげる予定だから、何も処理をしていないの。だから土のまま……」
「なるほどー……。掘ったりするんなら頑丈過ぎると困るもんね……」
しかし、このホールもだけれど、街の壁にも微かにだけれど影響が出ているんだ。
ダンジョンってどれだけ強力な力があるんだろうか……?
まぁ、即座にとは言わないが、魔物をほぼ無尽蔵に生み出しているんだし……この世界の常識でも計り知れないものがあるんだろうな。
フィオーラの解説付きでホールのあちらこちらを見ていると、入り口前からアレクに集まるよう指示された。
いよいよ始めるらしい。
「前衛は俺とジグさんで。後衛はフィオさんとテレサだ。テレサはフィオさんを守ってくれ。セラは、いつも通り上から哨戒だが、魔物の生息状況がわからない。あまり高度を上げ過ぎず、俺達の支援が間に合う場所にいてくれ。出来るか?」
「うん。任せて」
返事をすると。ヘビ達と【妖精の瞳】を発動した。
ミツメはもしかしたらダンジョンは初めてかもしれないな……慎重に行こう。
「よし……それじゃあ、行こう!」
全員が武器を手にし準備が整ったのを見て、アレクはダンジョンに繋がる通路に向かって踏み出した。
このリアーナのダンジョンの第一歩目はアレクに決まりだな!
◇
リアーナのダンジョンの浅瀬はゼルキスとも王都とも違っていた。
あちらは、浅瀬はどれも洞窟のような印象だったが……、ここは天井は見えるが、それ以外は壁も通路も見えず、一つの広大なホールに森が埋め込まれているような印象を受ける。
「ぬー……なんか濃いなぁ……」
生い茂る木も微かに魔力が籠っているのか、薄っすら全体的に光っているように見える。
まだダンジョンに踏み込んで数分しかたっておらず、魔物とは遭遇していないが、どうにも先が見辛くてしょうがない。
慣れればまた違ってくるんだろうが……。
あちらこちらから「ギャーギャー」と言った、不気味な叫びが聞こえるから、魔物がいるのは間違いないはずだ。
「ねぇ、ちょっと上から見て来ていいかな?」
まずは上からホールの全体像を把握したい。
その事をアレクに提案した。
「……わかった。無理はするなよ?それとコレを」
そう言って投げ渡してきたのはコンパスだ。
見ると一定の方角を指しているし、ダンジョンでも機能は果たしているらしい。
上から先へ進む通路を見つけたら、これで方角を調べろって事だな。
とりあえず、入口は南側にある事がわかった。
「んじゃ、ちょっと待っててね」
「姫、お気をつけて」
「下は俺達が見ておくからな」
下からの声に手を振って応えながら、地上からひとまず20メートルほどの高さまで上昇してみた。
「うーむ……よくわからんね」
この上層全体は恐らく1キロ程の空間だと思う。
だが、とにかくそこら中に木が生い茂り、上からでも見通しが悪く、これでは全体像を把握とはとてもじゃ無いが言えない。
もう少し中央あたりから見たら、また違ってくるんだろうが……。
「お?」
目を凝らしてあちらこちらを見ていると、このダンジョンの見え方に慣れてきたのか、枝越しにでも魔物の姿を捉える事が出来た。
サイズや姿まではわからないが、あちらこちらで5体前後の小規模な群れを作っている様だ。
強さはそれ程でもないかな?
ここの環境が、一の森を始めとした魔境に近い雰囲気だったから、魔物もそれと同じかと思っていたが、違うのかもしれない。
さらに周りを見回すと、下にいる連中たちから数十メートルほど離れた場所にもいる。
このままだとぶつかりそうだな。
「ちょっとー! 向こうの方に5体くらいの塊がいるよー」
声が届いた様で、アレクもこちらに向かって声を上げた。
「強さや種族はわかるか?」
「種族はわかんないけど、強さはそれ程でもないよー。王都のダンジョン上層と同じくらい! それと、近くに同じくらいの群れがいくつかあるー!」
大した事じゃ無いが、とりあえずわかっている事だけ伝えた。
この程度でも、下の連中なら上手くやってくれるだろう。
下の連中が固まって何かを相談している間、俺は上を漂いながら辺りを見回していた。
とりあえず、トリやムシの魔物の姿は見えないが……、ここらの上空は安全地帯なのかな?
まだ気は抜けないが、いざとなったら上に逃れられるのは俺にとって大きなアドバンテージになる。
「セラ!」
と、上でしばらく考え事をしていると、下から声がかかった。
どうするか決まったのかな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚




