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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
13章・誕生!子供やダンジョン

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「……あれ? 誰もいない」


帰還したその日、早めの食事をとると俺はベッドに入った。

もう使い慣れて、いつも通りに起きる事が出来るようになっているが、睡眠時の【ミラの祝福】も無しだったから、スパッと早起きが出来ると思っていたのだが……。


寝室には、たとえ昼に起きてもいつもは誰かしらいるのに、今日は誰もいない。

そんなに起きるのが遅かったんだろうか……?


「誰かいるー? ……あ」


寝室から出て応接室に向かうと、子供達と乳母さん達はいた。

だが、セリアーナ達がいない……。


「おはようございます、セラ様。奥様方は20分程前に旦那様からの使いに呼ばれ、執務室に向かわれました。もし、セラ様が目を覚まされたらこちらまで来るように、と仰っていました」


「ほむ……」


これは……出来たのかな?


彼女達乳母を雇ってもう数ヶ月になるし、セリアーナ達も信用はしている。

それでも、俺が知る限り子供達を彼女達に預けて、3人とも部屋から出て行くことは無かった。

さらに俺にも来るように言っているってことは、この部屋は完全にフリーになる。


つまり、それだけの事態が起こったって事だろう。

ダンジョンだな。


「わかった。じゃあ行ってくるから、子供達をお願いね」


そう伝え、すぐにリーゼルの執務室に向かおうとドアに急いだが……。


「あ! セラ様」


ドアに手をかけたところで、別の乳母に呼び止められた。

何だろうか?


「昨晩、小さいものですが地震がありました。それ以降は起きていませんが、セラ様はお休みになられていたので……浮いているから心配は無いと思いますが、お気を付けください」


「……ぉぅ。全然気づかんかったよ。ありがとうね」


そう言い、今度こそ部屋から出て、リーゼルの執務室に向けて移動する。


一応この国でも地震はあるが、震度でいうなら1か2か……小さいものだ。

頻度も年に1回あるかどうか程度。


ダンジョン出現の余波かもしれないな。



「おお……セラ殿か。領主様達は向こうの部屋だ、議題はわからぬが、奥方様もいて、君が来たらすぐ通すようにと仰っていた」


執務室に入ると、俺を見た文官がすぐに隣に行くように伝えてきた。

ここにいる彼等は、どうやらダンジョンの事は知らないようだ。

この領地を切り盛りしている連中なのに、徹底しているな……。


「セラでーす。入りますよー?」


中に誰がいるのかは知らないが、どうせいつもの面々だ。

皆腕利きだし、何よりセリアーナがいるから、俺の事には気付いているだろうし、とノックをすると、返事を待たずにドアを開けた。


「やあ、セラ君。よく寝れたかい?」


「うん。ぐっすりと!」


部屋に入るとまずはリーゼルが出迎えた。

中には……うん……いつものメンバーが揃っているな。


「セラ」


俺を呼んだセリアーナが、いつものように自分の隣を指している。

そちらに向かい【浮き玉】から降りて座るが、今はどのような話をしていたんだろうか?


「さて……、セラ君が来たことだし、少し休憩にしようか。オーギュスト」


「はっ」


そう言うと、オーギュストは立ち上がり、部屋の隅に備え付けられた小さなキッチンに向かっていった。

お茶でも入れるのだろうか……?


「俺もやろう。昨日セラから貰ったのを持って来ているんだ」


「ああ、ありがとうございます」


同じくジグハルトもだ。

王都での土産に、外国や王国西部の、リアーナじゃあまり入って来ないお茶を買って来たのだが、早速使ってくれているらしい。


キッチンで仲良く作業をするおっさん二人をしばし眺めていると、セリアーナが我に返ったように話を始めた。


「お前は熟睡していたから気づかなかったでしょうけれど、昨晩ダンジョンが無事出現したわ。その際に小さいけれど地震があったのだけれど、幸い街に被害は出ていなかったそうね」


「私とジグがその儀式を行っていたのだけれど……アレには驚いたわ。セラ、【妖精の瞳】を使って、外を見てみなさい」


セリアーナの言葉を継いだフィオーラが窓の外を指している。


言われた通りに【妖精の瞳】を発動して、外を見てみると……。


「……? 何も変わって無いけど……?」


いつも通りの光景だ。

只でさえ高台にあるこの屋敷だ。

強いて言うなら外には街壁が見えるくらいで、ここからは何も面白いものは見えない。


「ええ、そうね。でも微弱にだけれど、結界が発動しているの。この街にはまだ結界を張っていないのに……確かに結界の要になるこの屋敷と連結してはいたけれど、ダンジョンだけでも効果を持つなんて……面白いわね」


フィオーラは自分が知らなかった新情報に心を躍らせている様だが……。


身体を伸ばし、セリアーナの耳元に顔を寄せて小声で、湧いた疑問をぶつけてみる。


「結局弱い結界だから、あんまり意味ないんじゃない?」


「そうね。まあ、彼女にとっては何か大きな意味を持つ事だったんじゃないかしら? それか単に面白かったとか」


軽く頷きながら答えるが、あまり興味は無さそうだ。


「……きっと後者だね。でも、ちゃんとダンジョンが出来たんだね」


「ええ。今日は誰が最初にダンジョンへ潜るかを決めるのよ。お前は行きたい?」


「行きたい!」


一番乗りとかそういうのには興味ないが、ようやく自前のダンジョンだ。

死体の処理の関係で、外での狩りは俺には向いていないからな……。


「あはは。セラ君はメンバーに入っているよ。初めての場所では君の索敵能力は貴重だからね。皆を守ってくれ」


と、リーゼルが笑いながら言ってきた。


「ダンジョンは冒険者ギルドの地下にあるが、上への階段はまだ塞がれている。この屋敷からしか繋がっていないんだ。しばらくは極めて限られた者達だけで利用することになるから、君も好きに動けるよ」


「……ぉぉぉ」


リーゼルの言葉に少々震えてしまった。

武者震いってやつだ。


今まで俺は好きにやっていたが、それでも人目に気を付けながらの狩りだった。

だが……色々試したかったことが、ようやくできそうだ。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 新章ですね、戦闘描写を楽しみにしてます
[良い点] セラちゃんニッコニコでかわいい ようやくタイトル回収出来ますね! [一言] 索敵(強化、安全な休息、上空からの強襲、遠距離ぶっぱ)を頼むよ ・・・・魔王かな?
[良い点] 更新乙い [一言] 身内だけしかいないし 暫くダンジョン行ってなかったし 最近は聖貨を全然集めてなかったから、タイトル詐欺状態だったしwww 自重を捨ててダンジョンアタックだー!!
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