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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
13章・誕生!子供やダンジョン

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領都への入場こそ門を通る正規のものだったが、後はすぐに高度を上げて、まっすぐ屋敷に向かった。

そして、屋敷の門の前には既に使用人達が俺達の到着を待っていた。

まぁ、これはセリアーナがいるし、毎度の事だから予測通りともいえる。

そして、そのまま風呂と食事をとると、リーゼルの執務室に報告に向かう事になった。


テレサは人心地付いた事で少々眠そうな顔をしているが、大丈夫だろうか?


執務室には既にリーゼルとセリアーナが待っていた。

そして、オーギュストは毎度の事だが、珍しい事にジグハルトとフィオーラもいる。


……ジグハルト達は聖貨を受け取りに来たのかな?


「よく帰って来たね。テレサも疲れているだろうが、報告だけは頼む。その後は休んでもらって構わない」


「はい。お気遣いありがとうございます」


リーゼルの言葉にそう返し、王都で預かって来た手紙を渡している。


俺はその様子を眺めながらフヨフヨ浮いていたが、いつの間にか側に寄って来ていたセリアーナに袖を引かれた。


「ん? なに?」


だが、セリアーナはそれに答えず、リーゼルに向かって言葉を投げかけた。


「リーゼル。報告はテレサだけでいいでしょう? 隣の部屋を借りるわよ」


「うん? ああ、そうだね。でもセラ君も疲れているだろうし、あまり我儘を言ってはいけないよ?」


「私が我儘なんて言う訳ないでしょう? 行くわよセラ。フィオーラ、ジグハルト、貴方達も来なさい」


……俺には今まさに我儘を言っているように見えるんだけど、これは旦那さん的にどうなんだろう?

そう思っていると、セリアーナは俺の腕を掴み、隣室に向かって歩き始めた。

いつになく強引な気がするが……それよりも。


「あっ……と……、テレサ! テレサも疲れてるし無理しないでね」


一応テレサの主は俺だし、リーゼルが相手だし心配は無いと思うが、無理な時は休んでいいと言っておかないとな。


「ええ。ご安心ください。お気遣いありがとうございます」


そう言って、にこりと笑っている。

今日も夜明けからスタートしていたのに……タフだな。

セリアーナに腕を引かれながら俺はそんな事を考えていた。



「さて、セラ」


隣の私室に4人で入ると、セリアーナは腰を下ろさず立ったままだ。

てっきり施療でもさせるのかと思ったが……なんだろう?


「聖貨はちゃんと受け取ってきたわね?」


少し声を落として、聖貨について聞いて来た。


「うん。100箱1万枚、ちゃんと受け取って来たよ……?」


と言っても使うのはダンジョン予定地でだ。

ここで聞いてどうするんだろう。


「結構……2人とも、いいわね?」


セリアーナの言葉に頷くジグハルトとフィオーラ。

そして、壁の一角に向かい歩いていった。


この2人がセリアーナと悪だくみってのもちょっとイメージがわかないけれど……何するんだ?


「……あ」


2人が何やら壁を弄っていたかと思ったが、その場所がぱかっと奥に開き、通路が現れた。

ここにもあったのか……隠し通路。

この屋敷には、俺も把握できていない隠し通路がいくつかある。

これもその一つだろう。


「さあ、急ぎましょう」


そう言うと、セリアーナが先頭に立ち、早足で通路に踏み入った。


「ねぇ、何を急いでるの?」


そもそもどこに向かっているんだろう?


「屋敷から各主要施設に地下通路をつなげる計画は知っているな? これもその一本で、冒険者ギルドの地下に繋がっている」


「へーありがと、ジグさん……って遠いな!? そりゃ急がないと……でも、何でそこに?」


「そこまでは行かねぇよ……。奥様、そこだ」


薄暗い廊下にはいくつか扉が並んでいたが、セリアーナがそのうちの一つ前を通りがかったところで、ジグハルトがストップをかけた。

ドアを開けると真っ暗なままで、フィオーラが照明の魔法を使った。

部屋の中は何も置かれていないが……ここで聖貨を出すのかな?


「セラ【隠れ家】を。ここに聖貨を出すわ」


やはりか。

でも、こんな何も無い所でどうするんだ?



「これで全部だな。奥様、フィオ、数はどうだ?」


聖貨が入った木箱の最後の一つを抱えたジグハルトと共に【隠れ家】から出ると、セリアーナ達が床に直接座って中の聖貨を数えていた。

これを受け取った時に俺達も数えていたが、2重チェックは悪くない。


「どれも問題無いわ。ジグそれもお願い」


「おう」


ジグハルトはフィオーラの前に箱を置くと、座り込み一緒に枚数を数え始めた。

自分の分は終わりと、セリアーナは立ち上がりスカートを叩いている。


「ねぇ、セリア様? 聖貨はここに保管するの? 人は来ないかもしれないけど、不用心過ぎない?」


泥棒なんてこんなところに来るとは思わないが、それでも聖貨1万枚をここに置いたままにするのはちょっと……。


「問題無いわ。ここに置くのは今だけよ。2人とも数え終わったかしら?」


「ええ。1万枚、確かにあったわ」


「結構……。戻りましょう」


セリアーナはフィオーラの言葉に頷くと、再び早足で来た道を引き返し始めた。

本当に置いてっちゃうのか?



リーゼルの私室に戻り、隠し通路を塞いだ。

部屋を空けていたのは10数分程度だったと思うが、中には誰も来ていないようだ。

塞がった通路を見て、セリアーナは腰に手を当て満足気に頷いている。

そして、こちらを向きこう言った。


「セラ、今あった事は秘密よ? いいわね」


「うん……いや、それは良いんだけれど、アレは置いたままでいいの?」


この3人は何でこんなに平気なんだろうか?

一財産……そんな言葉じゃ足りないよ?


「セラ、アレはこれから私とジグが、別の通路から回収に向かうから心配いらないわ」


「あ、そうなの?」


フィオーラの言葉にちょっと気が抜けるのを感じた。

そか……いくらなんでも放置はしないよね。


「そう言う事。さ、行きましょう」


そう言うと、セリアーナはテレサ達がいる隣の執務室へ歩き始めた。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い [一言] 国家予算規模っぽいからなあ…… 国によっては地方の1つ2つ買い取れそうだわ
[一言] これを任されるということはジグハルトとフィオーラも相当信頼されてるんですね。 まあ、セラとセリアーナの加護と恩恵を全て知るメンバーは皆同格なのかもしれませんが。 親や夫にも(恐らく子にも)全…
[一言] ここでジグさんが裏切ってガチャれば人類の限界を超えられるかも!? っ魔鋼✕1000
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