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今まで王妃様のもとには2度呼ばれたことがある。
1度目はお忍び用のプライベートエリアに。
2度目は正式な客として、王妃様の私室に。
今日は正式な客としてだが、個人ではなく領主の使いとしてなので、談話室に案内されている。
今回利用する談話室は、王宮の中央エリアに位置するのだが……だからなのか、廊下には妙に警備の兵が多い。
それも何となく強そうなのが。
【妖精の瞳】は【隠れ家】に置いているし、ヘビ達をここで出すわけにもいかないから断言はできないが、佇まいと言うか、気配と言うか……なんか威圧感を感じる。
「どうかしましたか?」
握っている手に力が入ってしまったのか、俺が何かに戸惑っている事にテレサは気付いたようだ。
「うん……警備の兵が多いなって……」
その声が聞こえたのか、周りの視線が俺に集まる。
睨んだりしているわけでも無いのに、何とも圧が……ここに来て俺の感覚も鋭敏になってきたんだろうか?
ともかく、妙に迫力がある。
「ああ、彼等の事は気にしなくていいですよ。王族と客である我々を守る為にいるのですからね」
流石は元守る側の人間だっただけあって、何ともない風に言ってのけた。
言っている事はわかるが……いくら守る為だとは言え、武器を持った人間にジロジロ見られるのは俺は駄目だな……。
◇
「あの謁見の場での振る舞いや、王妃たちから聞く印象と大分違うな。移動が疲れたか?」
正面に座る白い服を着た男が、俺に向けてそう言った。
彼の隣に座る王妃様は手紙を読むのに忙しい様で、この場で会話を楽しんでいるのは、もっぱら先に手紙を読み終えた彼とテレサのみだ。ちなみに俺は、テレサの隣で膝の上に手を揃えて小さくなっている。
彼は俺が大人しくしている事を、具合が悪いからとでも思ったのだろう。
「いえ……だいじょーぶです」
「ふむ……そうか」
アンタも原因の一つだぞ?
「セラ様は、普段はこの様に薄い服を身に着けませんし、恩恵品を外している事もあって、落ち着かないのかもしれませんね」
「鱗を剥がれた竜……という訳か。これだけは規則だ……諦めて貰わんとな」
えらくカッコイイ表現をしたかと思うと、豪快に笑い声をあげた。
竜か……精々殻を取られたカタツムリ程度だな。
彼はそのままひとしきり笑うと、テーブルに置かれたままだった自分のカップを手に取り中身を一気に飲み干した。
そして、立ち上がり……。
「後の事は王妃に任せる。リーゼル達に今後のリアーナに期待していると伝えておけ」
そう言うと、こちらが挨拶をする間も与えずに、護衛の兵達と共に部屋を出て行った。
……なんとも豪快な王様だ。
しかし、彼等が出て行ったことで部屋の中の空気も和らいだ。
「……ふぅ」
少々行儀が悪いが姿勢を崩し、ソファーからずり落ちる。
やっぱり俺にはヘビがいるからだろうか?
兵士達は、俺の一挙手一投足も見逃すまいと、視線を注いでいた。
王妃様はまだいるが、王様が退席し彼等も部屋を出て行ったことで、ようやく一息つく事が出来る。
これくらいは目を瞑って欲しい。
王妃様はその俺の様子を見てしばしの間笑っていたが、笑いを止めると立ち上がった。
「私達も場を変えましょう。ついて来なさい」
「はい。セラ様、参りましょう」
王妃様の唐突な申し出に、テレサは間を置くことなく立ち上がり、俺に向かって手を差し出した。
「ん? うん……」
その手を取ると、すぐに移動が始まったが……どこに行くんだろうか?
以前の様に、王妃様の私室に行ってまた施療でもするのかな?
別にそれは構わないが、一応俺の今回の目的は荷物運びのはず。
王様が去った事で警備の兵は一気に減ったが、それでもまだしっかりと親衛隊が控えている。
施療をとなると、無防備な姿を晒すし、彼女達抜きでとはいかないだろう。
【物置】の方とは言え、気軽に誰にでも見せて良い様な物じゃ無いと思うんだが……。
「お?」
思案しながらの歩きは遅すぎたのか、テレサに抱きかかえられた。
だが、それだけじゃ無く、こちらに顔を寄せて耳打ちしてきた。
「姫、ご安心を。これも今回の目的と繋がっていますよ」
「む」
なるほど……よくわからんが、この移動も意味があるのかな?
そう考えていると、なにやら見覚えのあるエリアに入った。
やはり王妃様の私室に向かう様だ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚




