406
書籍版「聖貨を集めて、ぶん回せ!」発売中です!
城に行く当日の朝。
オリアナさんとテレサを筆頭に、俺の着替え作業が進められていた。
「なかなか似合いますね。領地では普段はこの様な恰好をしているのですか?」
着替えが完了すると、オリアナさんは俺の周囲を一回りし、感想を述べた。
……中々評価は高いようだ。
「いえ……普段は使用人の恰好をしています。奥様が色々服を用意しているのですが……」
オリアナさんに同調するように、テレサは溜息を吐きながらこちらを見てくるが……。
「プイッ」
俺は頭ごと横に向いて、テレサから目をそらした。
が、すぐに頬に添えられた手によって、前を向かされた。
「よくお似合いですよ」
「むぅ……」
呻き声をあげていると、部屋のドアをドンドンと強く叩く音がした。
この屋敷でこんな乱暴なノックをするのは1人しかいない。
「セラ、入れても構いませんか?」
このお着替えの場にじーさんがいても何もできないだろうが、男が1人でもいると俺も気が楽になるし……まぁ、いいか。
「うん」
「中へ入れて頂戴」
俺の返事を聞くと、使用人の1人にドアを開けるよう命じた。
彼女の開けたドアから入ってきたじーさんは正装姿だ。
城まではここの馬車を使わせてもらうから、じーさんも一緒に行くことになるからな……。
「馬車の用意が出来たぞ。後はセラの……おお、たまにはそう言った恰好も悪くないな。よく似合っているぞ」
わざわざ馬車の用意が出来た事を伝えに来てくれたようだが……声でけーな、じーさん。
「……ありがと」
「セリアーナが用意させたのか?」
俺が今着ている服は、薄い青のワンピースだ。
アクセントとして、腰の背部から前に向かって赤い花の刺繡が伸びていて、腰をリボンで結ぶから、花びらだけが見えるようになる。
体にぴったりという訳ではなく、少し緩く作られていて、着心地も良い。
似合うか似合わないかで言えば、俺の髪の色と相まってきっと良く似合うはずだろうけれど……複雑だ。
選んだのは恐らく、セリアーナかエレナかテレサか、リーゼルの侍女のロゼか……、まぁその辺りだろうな。
もしくは……この少し緩く作るのはセリアーナ達の趣味とは違う気がしなくも無いし、大穴でリーゼルか?
「いえ、春に姫が王都へ向かう事を知ったようで、ゼルキスの奥様が贈ってくださいました」
かすりもしねぇ……ミネアさんから贈られた物だったのか。
派手さや可愛らしさは控えめの上品な雰囲気の服で、じーさんとオリアナさんも、お嫁さんのセンスに感心している様子だ。
個人的には、こういう女性的な生地で仕立てられた服は、皺が出来そうで苦手なんだが……。
「……」
首を傾けて下を見ると、何にも遮られること無く、ストレートに足が見えた。
「どうかしたか?」
下を見たまま固まる俺を不審に思ったのか、じーさんが様子を訊ねてきた。
「いや……なんでもない」
これがゼルキスで仕立てられたって事は……俺のサイズは向こうにも知られているって事なんだろうか?
◇
俺のサイズの漏洩問題はさておき、無事準備を終えて、城に向かった。
話をするのは王族の居住スペースである王宮で、俺達はそちらに向かうが、じーさんは城内にある騎士団本部に向かう事になった。
ここにも警備の兵が待機する詰所はあるが、本部は訓練場に隣接していて、そちらの様子を見る事が出来る。
正装しているから、じーさんが参加する事は出来ないが、馬車で隣を通った時随分気にしていたからな……。
「では、私は向こうで待つ。テレサ殿、セラを頼むぞ」
そう言うと、返事を待たずに足早に本部に向かっていった。
「では、姫。私達も参りましょう」
「ほい」
テレサがこちらに向かって差し出してきた手を取った。
はぐれる様な事は無いし、王宮は外と違って舗装もしっかりしている。
さらに分厚い絨毯も敷かれているし、歩きやすく何かに躓く様なことは無いが……まぁ、おめかししているしな。
念のためだ。
しかし、このヒラヒラのスカートにハイヒールとまではいわないが踵の高い靴。
短時間とは言え、マジで歩く練習をしておいてよかった。
こちらの準備が整ったのを見たのか、一歩離れた位置で待機していた兵士達がやって来た。
「では、案内いたします。こちらへ……」
彼等は笑いを堪えているような気がするが、きっと気のせいだろう。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・28枚
エレナ・【】・【緑の牙】・0枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・0枚




