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セリアーナが子供を産んで3日。
そろそろ、領主の子供が生まれそうって事で、領都や近隣の街には出産祝いを持った使いの者や商人達が事前に待機していた。
その彼等によって、続々と祝いの品が運び込まれてきた。
祝いの品という性質上、どれも受け取る必要があるが、ノーチェックでという訳にもいかずに、騎士団本部に隣接する集会場を一時倉庫代わりにして、そこで目録作りも兼ねてチェックを行っている。
大まかな仕分けは、商業ギルドの人間が行ったが、最終チェックは騎士団が行っているのだ。
騎士団の仕事なんだろうか? という気がしなくも無いが、検閲みたいなものと考えれば、これも有りか……。
と、いう訳で、チェックとクリアした品の運び出しを行っているのだが……。
「あ、それはそっちね。で、そっちの赤い札貼ってるのは向こうに。それと、その奥のは屋敷に運ぶやつだから、手前の方に置いておいて」
「おう!」
俺の、文字通り上からの指示に従い、兵士達はどんどん木箱を運んで行くが、それでもまだまだ山のように積まれている。
箱にはそれぞれ番号が割り振られているので何とかなっているが、俺の処理能力もそろそろ怪しくなってきた。
「副長! こいつはどうするんだ?」
「えーと……それは、アレク宛のだから、向こうに纏めといて!」
「わかった! 行くぞっ……せーのっ!」
「セラ! これはなんだー?」
「ちょっと待って!」
1番隊は雨季明けの領内の見回りで忙しく、2番隊がこのチェックを行っているのだが、作業監督を任された俺も含めて、人選ミスじゃないか?
送り主や中身の事を聞いても、それが誰で何なのかがわからず、作業がちょくちょくストップしてしまっている。
アレクならそつなくこなすだろうが、彼は少し領都を空けているしな……。
ヒイヒイなりながら作業を進めていると、入り口付近から声がかかった。
「セラ副長。進捗はどうか?」
そちらに顔を向けると、オーギュストと大きなバッグを手にした副官のミオが、こちらに向かって来ている。
俺やアレクには、普段ぞんざいな態度を崩さない隊員も流石に団長相手には気を使うのか、なにやら畏まっているが、手が止まっているぞ……?
「やー……厳しいね。皆も頑張ってくれてるけど、オレ等向きの仕事じゃないんじゃない?」
サボっているわけじゃ無いが、あまり進んでいるとは言えないと思う。
オーギュストはそれを聞きながら集会所内を見回しているが、そういや何しに来たんだろう?
チェックの手伝い?
「いや……予想より進んでいる。それよりも、セラ副長。東の拠点より、君に応援の要請が入った。いくつかの魔物の巣を潰したそうだが、討ち漏らしが無いかを確認して欲しいそうだ」
「ぬ? でもここの仕事が残ってるよ?」
まだまだ荷物は残っているし、何より外は寒い。
ここの仕事も面倒だが、正直外には出たくないんだが……。
「それは私が引き継ごう」
「テレサ様からこちらの防寒具を預かっています」
反論は空振りに終わった。
団長様が雑務を引き継ぐらしい。
ミオがテレサから預かったというバッグを差し出してくるし、……根回し済みか。
ミオからバッグを受け取ると、厚手の靴下にブーツ、ジャケットマフラー手袋、そしてキャップと、フル装備が入っていた。
「……しゃーない。ウチの連中はあんま硬い喋り方とかできないから、大目に見てよ?」
「ああ、わかっている。君の方はさほど時間はかからないはずだ。向こうでの報告を終えたらそのまま屋敷に帰還してくれて構わない。済まないが、よろしく頼む」
これが冒険者の探索補助とかなら、楽しようとするな! と断るが、拠点周りの防衛の一環だと考えたら、ベストを尽くすと、俺に依頼することになる。
外は寒いが防寒着も揃っているし、ここで苦手な作業を続けるよりは、さっさと行って一気に片づけてしまう方がいいか。
「んじゃ、後よろしく。お前らー! オレは外での仕事が入ったから、団長様が残りを引き継ぐぞー!」
俺の声を聞いて、作業をしていた兵士達が手を止める。
ギョッとしたような顔をしているが……。
「あれ、大丈夫?」
「指示を出すだけだ……問題無い」
オーギュストは、俺の問いに肩を竦めて答えた。
うーむ……少々心配ではあるが……まぁ、なるようになるか。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・39枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚




