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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
13章・誕生!子供やダンジョン

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昼を少し回った頃、乳母がいるため寝室ではなくて応接室でだが、何をするという訳でも無く、お茶を飲みつつお喋りしつつと、過ごしていた。


「……来たわね」


だが、セリアーナは唐突にそう呟くと、ソファーから立ちあがった。

俺は、昼食後で腹も膨れてやや微睡んでいたから、小さい声だという事もあって、危うく聞き逃しそうになった。


何事だろうかと、顔を上げてそちらを見ると、セリアーナはなにやら深刻な表情を浮かべている。


……誰が来たんだろう?


エレナとテレサを見るが、彼女達も事態が把握できていないようで、立ち上がりはしたものの、動けないでいる。


「誰が来たの?」


「子供よ」


……こども?


「っ!? すぐに手配します。エレナ、ここは任せます」


テレサは、驚くエレナに指示を出すと、足早に部屋を出て行った。

エレナも我に返ったようで、同じく急いで寝室に向かっていったが……一体何が?


さらに、普段はセリアーナに直接声をかける様な事をしない乳母も、なにやら気遣っているし……あ!


「こどもか!」


「……そう言っているでしょう?」


ようやく思い当たった俺に、呆れた様な目をするセリアーナ。

確かにボーっとしていたから、反応が遅れたが、それにしても言葉が足りなさすぎないか?

とは言え……えらいこっちゃ!



パタパタと駆け寄る俺に気付き、ドアの前に立つ兵士は驚いた顔をしている。

彼が驚いているのは、俺が走るような事態が起きた事か、あるいはただ単に自分の足で移動している事か、どっちだろう?

【浮き玉】はセリアーナの移動の補助にと貸して来たからな……。


自分の足で移動する……ましてや駆け足の俺なんて超レアだぜ?


「副長!? 何か起きたんですか? いつもの恩恵品は?」


ドアの前まで来ると、足を止めて息の乱れを直す。

走るのなんて久しぶりだったな……。


「ふぅ……。あれはセリア様に貸してる。旦那様に報告があるから、中に入るよ?」


「あ、はい。どうぞ……」


「お邪魔しまーす」


中に入ると、いつものメンバーがいつものように仕事をしている。

平常運転だ。


「セラ君か。どうかしたのかい? いつもとは少し様子が違うようだが……」


まぁ、浮いてないもんな……でも、そんなことよりもだ。


「ついさっき、セリア様が子供が生まれそうだって言って、部屋に向かいました!」


その報告に、リーゼルだけでなく部屋の皆も「おおっ!」と歓声を上げた。

妊娠して以来、セリアーナはこちらには顔を出していないし、リーゼルは1日1回は談話室に足を運んでいたから、ある程度状況は把握できているが、情報はそこでストップしていたから、彼等には伝わっていない。


まだ生まれたわけじゃ無いが、それでも朗報だろう。


「奥様の元へ行かれますか?」


「いや、すぐに生まれるわけじゃ無いし、フィオーラ達も付いているんだろう? 僕はまだ仕事も残っているし……セラ君。代わりに君が行って、生まれたらまた伝えに来てくれるかい?」


部屋の様子が落ち着くのを待ってから、オーギュストがリーゼルにどうするかを聞くが、リーゼルは部屋に残るようだ。

まぁ、エレナの時も4‐5時間程かかっていた。

セリアーナは双子だし、もっとかかるかもしれない。

その間、彼が拘束されるのもな……同じ屋敷内にいるんだし、生まれてからでもいいか。


「りょーかい!」


彼の言葉に頷いた。



「よっ……ほっ……」


本館の1階に繋がる階段を、手すりを掴みながら気を付けて下りていく。

久しぶりに利用するが、ここの階段は1段1段が高い上に幅も広く、普通の靴ならともかく、サンダル履きのチビには厳しい造りだ。


妊婦さんにも厳しかろうし、セリアーナに【浮き玉】を貸したのは正解だった。


「抱き上げましょうか?」


前を降りていくミオが提案してくるが、首を横に振り断った。

オーギュストは、女手があった方がいいかもしれないと言って、彼女をついて来させたが、まさかこの為じゃ無いよな……?


ふぬぬ……と唸りながらも、なんとか階段を下りきった。


「お待たせ……。よし、行こう」


ふぅ、と一息ついて、再び歩き始める。

これだけの距離を歩くのは久しぶりだな……わかっちゃいたが、デカい屋敷だ……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・9枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 屋敷の人たち「セラ(副長)って走れたんだ・・・」
[良い点] 更新乙い [一言] 何か成長してきてた様な気がしましたけれども、まだまだチビでしたっけね…… いっつも浮いてるからなぁ、適度に骨に荷重かからないと色々おっかない
[一言] セラ…走れたのか(驚愕)
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