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「オーギュストか……おや、セラ君も一緒だったのか」
まずオーギュストが先に執務室に入ると、部屋の主であるリーゼルは、顔を上げる事無く机に向かったままだった。
机の上には、何枚かの手紙が広げられ、それを読んでいたようだ。
だが、オーギュストの後について部屋に入ると、顔を上げた。
普段ならドアを開ける前には気付いているのに……何か気がかりな事でも書かれていたのか?
「本部から戻って来る途中の彼女と会ったので、ついでに来てもらいました。……丁度良かったでしょう?」
オーギュストは自分の席に着くと、そう言った。
言葉遣いはいつも通りだが、なんというか……ぞんざいな感じだ。
珍しいな……。
「ああ……それも片付けないといけなかったな。うん……確かに丁度いいか……カロス、アレを取って来てくれ」
「はい」
カロスはリーゼルの指示を受け、リーゼルの私室に繋がるドアの奥に姿を消す。
「……なにするの?」
「ああ、大したことじゃ無いよ。ただ、君に直接聞く必要があってね……」
と、困った様な顔をして、今一歯切れが悪い。
オーギュストといいリーゼルといいらしく無いな。
「ここでしていいの?」
部屋には俺達の他に、仕事をしている文官達もいる。
リーゼルの様子から察するに、あまり楽しそうな話じゃなさそうだけれど、場所を変えなくていいんだろうか?
「彼等も知っているからね。ああ、ご苦労。ここに」
どういうこっちゃ? と首を傾げていると、冊子のような物を手にしたカロスが戻ってきた。
そして、リーゼルの机にどさりと置く。
「……それは? セリア様達の乳母の推薦の時に見せてもらったのと似てる気がするけど」
「近いかもしれないね……。さて、セラ君。君は結婚に興味があるかい?」
「無い」
いきなりの言葉に思わず即答してしまったが、……結婚って俺がだよな?
「結構。では僕の方で断りの手紙を出しておこう」
「あ、断っても問題無かったんだね……。わざわざ部屋に呼ばれたから何事かと思ったけれど、これが用事?」
「もちろん断っていいさ。それに、正式な打診では無くて、あくまで伺い立てるといった程度だからね」
「へー……。あ、セリア様からは何も聞いていないけど、オレが勝手に決めちゃってよかったのかな……?」
まぁ、セリアーナも俺の返事を聞いて判断しそうではあるが……セリアーナはこの事を知らないよな?
それでもここで俺やリーゼルが決めてしまっていいんだろうか?
「セリアには伝えていないよ。今は負担をかけたくないからね……僕のところで話は止めてある。君が王都から帰って来てしばらくしてから話が来るようになったし、謁見の場での君の事を耳にしたのだろうね。きっと、まだまだ上に行くだろうって」
「……へー」
セリアーナも他所から手を出されているって知ったら、面白くないかもしれないし、妊娠中の今はその対応で良いのかもしれない。
しかし……あの場で内心パニクっていた俺に、何の可能性を感じたんだろうか?
「セラ殿、君は陛下の前でも殊更武力をアピールすることは無かったのだろう? あの場で君の武官としての道は潰えたとみていい」
「まぁ……別に目指してはいないけど、そうらしいね」
「だが、君の場合は女性だ。武官や文官としてでなくても、王妃様を始め高位貴族の女性のもとに入る事が出来る。【ミラの祝福】があるからな」
「ふむふむ」
オーギュストの説明に、なるほどと頷いた。
俺と結婚したらそう言った繋がりを持てることになるし、武力の方はほとんど隠しているし、そっちの方が期待できるって考えたのかな?
「このこと自体は、僕もセリアも想定していたんだが、後数年は先の事だと思っていたんだ。その頃ならセラ君も成人しているしね。ただ……まだまだ片付ける問題が控えている今、話が来るというのは想定外だったんだ」
「ほうほう」
「ともあれ、あまり待たせるわけにもいかないから、セラ君と話をしたかったんだが、君は中々一人で移動する事が無いだろう? セリアの部屋から君だけを呼び出すのも、変だしね……今日は丁度良かったよ」
「リック隊長の頑固な所が功を奏しましたね」
「全くだよ」
二人して笑っている。
彼等からしてもリック君は頭が固いのか。
心の中でリックにドンマイと念を送っていると、リーゼルが笑いを止めてこちらを向いた。
「さて……あまり部屋に留まっていてもセリアに妙に思われるか。もし聞かれたら、犬の事について少し意見を聞かれたとでも言っておいてくれ。わざわざ呼びつけて悪かったね」
「りょーかい」
話は終わりか。
まぁ、あまり長々いても変に思われるか。
残っている問題ってのも気になるが……この辺で退散しよう。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・4枚




