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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
3章・王都で聖貨をザックザク!

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35

「話は分かったわ」


じーさんの執務室で土下座をする男たちを見下ろし、セリアーナはそう言った。


「セラ、こっちに来なさい」


「ほいほい…って!っちょ⁉」


近寄るとジロジロこちらを見てくる。

そして頬を掴み、肩を捻り、裾をめくった。

怪我をした場所を見たいようだが、治療に【祈り】の効果も合わさり傷痕一つ残っていない。


「傷は残っていないみたいね…。それで?どうするのかしら?」


向き直り、彼らに同行したギルドの幹部を睨みつける。

王都内での冒険者同士の揉め事を調停する部門の長らしい。

結構な強面さんなんだが、全く意に介さない。

14にしてこの威厳…、やっぱ大物だわ。


「はい。ダンジョン内での人間同士での戦闘は犯罪となっております。また今回その現場にクランマスターも同道していたことからクラン・ラギュオラの牙は解散となります」


へ~…。


ラギュオラ…東部の開拓初期を描いた「平原の火炎竜」って物語に登場する竜の名前だな。

開拓団の指導者が戦い力を認められて、褒美として山や森を消し飛ばし広い平原を作ったって内容だ。


よくあるおとぎ話かと思ったが、実際ラギュオラと呼ばれる竜が存在したと知った時は驚いた。

さすがにそこまでの力は無かったと思いたいが、ルゼル王国内に戦闘跡と思われるクレーターがいくつか残っているらしい。


彼らのクラン名はきっとそこから取ったんだろう。

無くなっちゃうのか…。


「それだけじゃ無いでしょう?」


ん?


「は…はい。今回被害にあったセラ嬢はミュラー家付きの冒険者であることから、ミュラー伯爵家への敵対行動となり、…はい」


なんとも煮え切らない感じだが、余り穏便な内容ではなさそうだ。

割って入りづらい雰囲気だし、後ろにいるアレクの袖を引いた。


(アレク…この場合どうなんの?)


(一家まとめて死罪だろう。平民相手でも死んでいたら死刑だしな。ダンジョンでの殺しってのはそれだけ重いんだ。ギルド側にしたって結構な失態だな。何人か首が飛んでもおかしくない。)


まじかー……そりゃ青褪めもするわ。

よくよく考えると、変な玉に乗って宙を高速移動し魔物を倒しまくる小さい影。

怪談に出てきてもおかしくない存在だ。

そう考えると攻撃してきた彼らを理解できなくもない。


もっと傷が残ってたりしたらともかく、見事に治ってしまったからな…。

何というか怒りがわかない。


それにこのあとやる事に気分良く挑むために、できれば後味の悪い様なことは避けたい。

とは言え、事態は俺がどうこうってのを越えてミュラー家の問題になっている。

貴族の面子もあるだろうし、どうしたものか…。


「お嬢様お嬢様」


「何?」


「彼らどうするの?」


「死刑だな。ダンジョン関係無しに伯爵家への攻撃はそうなる」


セリアーナの代わりにじーさんが答える。

彼らの顔は見えないけれど、部門長は顔が強張っている。

うーむ…


「なに?欲しいの?」


「いや、いらないけどもさ…」


「お嬢様」


困っているとアレクが会話に混ざってきた。


「ラギュオラの牙は戦闘慣れしていますし、人数も揃っています。どうでしょう?ゼルキス領の開拓村の護衛などにしてみてはどうでしょうか?ダンジョンと魔境と違いはありますが、やれるでしょう」


なあ?とラギュオラの面々に向かってそう言う。


そう言えば新領地で活動する冒険者たちを探していた。

内密にって事だけど、これならゼルキスに連れて行くって事で誤魔化せそうだ。

彼らも助かったとばかりに何度も頷いている。


「ふむ…。どうする?セラの主はお前だ」


「そうですね…いいでしょう。この貸しは大きいわよ。お前もそれでいいわね?」


「いいよ」


「ならこれで話は終わりね。来年私が領地に戻る時に彼らも一緒に連れて行くわ。アレク、彼らとギルドに行って詳細を詰めて頂戴」


「はい」


部門長もほっとしたような顔だ。

もしかしたらこの人も首が危うかったのかもしれない。

まぁ、なにはともあれ、割と穏便に落ち着けたんじゃなかろうか?

俺が悪いわけではないけれど、自分が理由で大量に処刑とかはちと寝覚めが悪い。


よかったよかったと部屋を出て行く彼らを見送った。


さあ!

色々あったけど、ガチャだガチャ!


セラ・【隠れ家】【祈り】・【浮き玉】【影の剣】・6枚

セリアーナ・【範囲識別】・【】・8枚

エレナ・【】・【緑の牙】・0枚

アレク・【】・【赤の盾】・0枚

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