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浴室でフンフンとあちこちを嗅ぎまわってみるが……。
「……臭いはしないかな?消臭剤みたいなのがあるそうだし、領都に着いたらそれ買ってこようかな……」
遺骸を玄関前に移動させ終え、ようやく空いた風呂場で臭いが残っていないか確認をした。
幸い換気扇か氷漬けの効果かはわからないが、変な臭いはしない。
浴槽だけじゃなくて、浴室全部をしっかり掃除したし、完璧だな……!
領都に着いてからはジグハルト達の所の風呂を借りていたが、やっぱりこっちの風呂が使えない状況ってのは落ち着かない。
ワンルームの方もあるにはあるんだが……あっちは手動だからな……。
わざわざ気にしながら過ごすよりは、さっさとシャワーを浴びてしまえってなってしまう。
まぁ、風呂の問題はこれで解決だ。
「よっと……」
浴室からリビングのモニターの前に移動して、スイッチを入れると、外の様子が見える。
アリオスの街の北側に広がる森の浅瀬に昨晩のうちに移動して、隠れている。
後は、ジグハルトと上手く合流できるかだな。
一応街道の分岐点から北に向かった森の中……と、事前に決めていたが、
セリアーナがそれとなくリーゼルに伝えて、この辺りの哨戒は緩めにしたそうだが、日中に堂々と出て行くのは結構緊張する。
時折領都に行ったり戻って来たりする人の姿が映っているが……。
「お?」
馬に乗った男が街道を外れて、森の方に向かって来ている。
まだ距離があって顔形はよくわからないが……。
「あ、ジグさんだ……」
【妖精の瞳】を発動したら一目でわかった。
普段身内を見る機会が無いから、改めてみるとえげつなさに少々引いてしまうな……。
「周りに人の気配は無し。行けるな!」
タイミングもいいし、さっさと合流してしまおう。
◇
「あっちぃ……。さて念の為……」
【隠れ家】から外に出ると、まずは周囲の様子を探った。
人も魔物も獣も……なんもいない。
いくら暑いからとはいえ、街のすぐ側なのに全く人気が無いってのも、なんか変な感じがするな。
「ジグさん!」
俺が外に出た事で気づいたのか、馬に乗ったジグハルトが近づいて来た。
半袖のシャツにパンツそしてサンダルと、剣こそ帯びているが、商業地区を歩けば数人に一人は同じ恰好をした者とすれ違いそうだ。
余裕だなぁ……。
馬は鞍にバッグを下げているが、アレに何か入っているのかな?
「よう。待たせたか?」
俺の呼び声に手を上げ応えると、馬から降りて引きながら近くまでやって来た。
「いや、大丈夫。どうしよう、もうここで出して大丈夫かな?」
「魔法を使うからな、もう少し奥に行こう。俺は馬を繋いでから行くから、お前は先に行って奥から出しておいてくれ」
「ほいほい」
確かに人通りは無いけれど、街道から見える場所だ。
一応魔王種を討伐することになるんだし、もう少し奥の方が色々都合がいいか。
「この辺でいいかな……。よっと」
いくらか森の奥に入ったところで【隠れ家】を発動して中に入り、中の玄関に準備しておいた遺骸と共に再び外へ出た。
昨晩全力で氷漬けにしてもらったから、まだまだひんやりしているが、今日は結構暑いからな……あまり時間をかけるとすぐに解凍されてしまいそうだ。
そんな事を考えていると、馬を繋ぎ終えたジグハルトがこちらにやって来ているのが見えた。
手を振ると向こうも気付いたようだ。
「待たせたな。一発魔法を撃つから、お前は目を閉じてな」
バッグを片手にこちらにやって来たジグハルトは、遺骸の下に敷いてあったシートを抜き取り、丸めてすぐ側に放り投げた。
言われた通りに目を閉じたが、瞼越しにでも強い光が放たれたのがわかった。
相変わらずまぶしいおっさんだ……。
そして直後に、ジュっと水が蒸発するような音がした。
「いいぜ」
「…………あらぁ」
ジグハルトの合図に恐る恐る目を開けてみると、彼から1メートルほど離れた、丁度丸めたシートがあった場所に穴が空き、さらにその穴周辺が焦げているのがわかった。
熱は全く感じなかったが……なんかぶっ放したんだろうな……。
「こんなもんでいいだろう? それじゃあ、さっさと積んじまおう」
そう言うと、バッグから新しいシートと、ロープを取り出した。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・6枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




