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日が落ちてから移動を再開した。
しっかり体を休めた事もあって、快調に飛ばし、エルスト、オルガノアの二つの領地を一気に通過した。
この二つの領地は、領地こそそこまで大きくないが、平地で土地に余裕があるため、農業が盛んらしい。
王都を挟んで反対側もそうらしく、王都に近いのに農業が盛んなのは、ちょっと面白い。
機会があれば、街の様子を見学させてもらいたいが……それはまたにしよう。
ちょこちょこ休憩を挟みながら飛び続けると、明るくなる前に王都圏と東部の境でもある山脈地帯に辿り着けた。
往路は、空を飛んで抜けるのは初めてなので、万が一に備えて陸路ほどでは無いが回り込みながら、山の低い箇所を探して越えたが、その際に念のため周囲の魔物や獣の様子も探っていた。
流石に上から、それも通り過ぎながら見るだけでは細かい事はわからないが、それでも一つだけはっきりわかった事がある。
それは、あまり強くないという事だ。
リアーナ領はもちろん、ゼルキス領の魔物もこの辺に比べたら随分強いようだ。
そもそも幸い夜も活動する飛行型の魔物もいないようだし、【浮き玉】から降りて、生身で挑んだりでもしない限り、そうそう危険は無いだろう。
という訳で、移動はいったんここでストップして、じっくり体を休めよう。
夜のルートは、新たにミツメが加わった事でパワーアップしたかもしれない、潜り蛇とのコンビネーションの実験も兼ねて、山の深く高い部分を一直線に抜けてみようと思う。
◇
「んー……」
三匹の目を発動しながら、山脈上空を通過中だが、ミツメの能力なのか単に一匹増えたからなのかはわからないが、生物の輪郭がよりはっきり見えるようになった。
アカメ一匹だけの時よりもシロジタが加わってからの方が、よりよく見えていたし、後者かな?
【妖精の瞳】も同時に発動しているが、今までだとその見え方は、弱かったり体が小さいと、うっかり見逃しそうになることもあったし、強力な魔物であっても、体の中心から離れれば離れる程霞んで見えていたが、今はハッキリクッキリとしている。
これならそうそう見逃すことは無いだろうし、今まで避けていた、山や森の上空も安全に飛ぶことが出来るかもしれない。
夜ではあるが、それでも魔境よりは安全な気がするし、少し高度を下げてみてもいいかな?
試しに木に引っかからない程度まで高度を下げて、ついでに速度も少し落とす。
それでも時速80キロ近くは出ているはずだが、木にとまっている鳥や、ウサギか、あるいはもっと小さい動物らしき姿も視認できている。
今はやらないが、これなら下に降りても対応できそうだ。
「大丈夫そうだな。アカメ達も問題無いかな?」
しばらく進んだところで、ヘビ達に調子はどうかと聞いてみるが……うん、わからんね。
前方を俺が担当して、三匹が後方や左右を見ているが、何の反応も無い。
まぁ……元々ヘビ君達の見え方は、俺が契約する数が増えても変わらないのかもしれないしな。
きっと周囲の警戒に集中しているだけで、俺をスルーしているわけじゃ……。
「ん?どったの?」
真っ直ぐ東を目指して進んでいると、右側を見ていたミツメから引っ張る様な感触があった。
何かを見つけたのかもしれない。
高度を上げ、右側をしばし注視していると、なにやら複数の動くものが見えた。
「…………あれは人間か?」
大きさ的に恐らく人間だろう。
【祈り】を使えば視力も上がるし、距離があっても見えるだろうが、アレはほんのり光るからな……。
一応、人目を忍んでいる身としては使う訳にはいかない。
とは言え、彼等は一組三人で、それが十組以上広範囲に散らばっているが、一人一人が結構強い。
その彼等は、数が多いにもかかわらず妙に統制が取れている気がする。
こんな遅い時間に、魔境ほどじゃないにしても危険のある山の中を大勢でだなんて……何か事件かな?
犯罪者を追うには、ちょっと大袈裟すぎる気がするし……。
少し気になったので、しばらく宙に留まって彼等の動きを見ていたが、どうも何かを追っている様だ。
少し距離があるから正確にはわからないが、ゴブリンやオオカミと言った小物ばかりだが、そちらに向かって走っていく。
「ぬっ!?」
それらと接触したかと思うと、蹴散らされている。
足場の悪い上に深夜と、人の身には少々条件が悪いが、ものともしていない。
やはり集まっているのは腕利き連中だ。
こんな時間に、そんな腕利き連中が山狩り……魔王種かな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




