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案内された部屋は、お忍び用では無くて王妃様の正規の来客用の部屋だ。
まぁ、オリアナさんやリーリアさんもいるし、何よりついさっきまで王様の前にいたんだから、隠す意味は無いか。
そして施療を行ったが、今回は服を脱がずに済んだ。
先の謁見の前に、簡単にだが身体チェックがあったからだ。
念の為に脱がなくていいのか聞いてみたが、陛下の前に出たのでしょう?と言われた。
王様の前に出た時以上に厳重にするっていうのは、序列を考えてもあまり良くないそうだ。
その代わり……と言っていいのかわからないが、明らかに只者じゃない感じのおば……ご婦人がいらっしゃる。
護衛の親衛隊は前回もいたし今回もいるが、その人は鎧を着けていないが……なんか凄そうな気がする。
達人的な意味で。
他にも文官らしき男性が数名いるが、彼等は何のためにいるんだろう?
それはさておき、今回の施療は横になるのではなく、膝の上に乗るスタイルで行った。
あのおばさんは王妃様が座る席の真横に付いて、お上品な笑顔を浮かべていたが、俺の一挙手一投足見逃すまいといった感じだった。
あからさまに監視していますよと、隠す気も無かったし、わざとだろう。
施療中は、王妃様はオリアナさんやリーリアさんとお喋りをしていたが、そのおばさんの視線が気になって、会話が耳に入って来なかった。
話を振られたりはしていなかったよな……?
◇
「セラ、貴方に贈り物があります」
施療を終えて膝の上から離れると、おばさんの視線も外れた。
ここに来る前は、謁見の間のやり取りで燃え尽きていて、それどころじゃ無かったし、ようやく一息吐けた感じだ。
男性が同席していたから王妃様も服を脱いでおらず、【ミラの祝福】はそこまで強くは作用しなかったと思うが、それでも満足してもらえたんだろう。
施療後、王妃様は満足気にオリアナさん達と話をしていた。
そして、俺は三人の会話には加わらずにお茶だけ頂いていると、王妃様がそんな事を言って来た。
使用人に「アレを」と命じ隣の部屋に向かわせた。
報酬とはまた違う感じだけれど、何だろう?
オリアナさん達は特に止める様子は無いし、受け取っても良いんだろうけれど……。
何だろう?と考えていると、隣の部屋から運び込まれたのは、黒い布がかぶせられた箱のような物だった。
「……これは?」
「取って御覧なさい」
言われた通り黒い布を取ってみると、その下から現れたのは黒い木の箱だった。
「…………これは?」
縁が金属で頑丈に作られているが、サイズの割には一人で運んで来ていたし、重さはそれ程でも無いんだろう。
何か彫刻が施されているわけでも無いし、この箱自体は入れ物で、中身が贈り物なのかな?
……いや、それは当たり前だな。
「開けますねー……おわっ!?」
蓋に手をかけた瞬間にアカメとシロジタが襟から姿を見せた。
魔物を相手にする時に見せる警戒態勢だ。
これを用意した王妃様も、あの達人風のおばさんも動きは無いし、危険は無いだろうが……なんだ?
「……ほっ!おお!?……これは」
蓋を取ると、ニョロっと黒い何かが中から姿を見せた。
……潜り蛇か?
俺プラス二匹で箱の中のヘビを凝視していると、王妃様が後ろで口を開いた。
これの説明をする様だ。
「私の実家のルーイック家が治める領地の騎士団に、潜り蛇を従魔にしていた者がいたのですが……、その彼が最近亡くなったのです。大分高齢でしたからね……。従魔は通常、主が先に亡くなった場合は、家中から適役を選び譲ることになるのですが、貴方がヘビが好きだと聞いたものですから、今回は私が頂きました。もうこちらであなたに譲渡する手続きを済ませていますから、手間も取らせませんよ」
「……それは嬉しいですけど、良いんですか?」
ルーイック家の領地がどんなところかは知らないが、戦闘能力は別としても索敵能力は高いし、いる方が助かるはずだ。
「構いませんよ。その彼も引退していて、亡くなる前から随分活動をしていなかった様ですからね。いない事を前提とした編成を組んでいる様です」
チラっとオリアナさんに視線を送ると、小さく頷いた。
王妃パワーで分捕ってきたってわけじゃなさそうか……それならありがたく頂戴しよう。
「ありがとうございます。名前とかはあるんでしょうか?」
「特に聞いていませんね。貴方が付けていいと思いますよ」
「なるほど……」
とりあえず、契約を済ませてからだな。
ヘビの前に手をかざし影が被るようにすると、ほんの一瞬だが魔力が抜けるような感覚があった。
それで契約は上手く行ったようで、そのヘビは俺の影に潜り込んだ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




