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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
12章・ついに長距離移動

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案内された部屋は、お忍び用では無くて王妃様の正規の来客用の部屋だ。

まぁ、オリアナさんやリーリアさんもいるし、何よりついさっきまで王様の前にいたんだから、隠す意味は無いか。


そして施療を行ったが、今回は服を脱がずに済んだ。

先の謁見の前に、簡単にだが身体チェックがあったからだ。


念の為に脱がなくていいのか聞いてみたが、陛下の前に出たのでしょう?と言われた。

王様の前に出た時以上に厳重にするっていうのは、序列を考えてもあまり良くないそうだ。


その代わり……と言っていいのかわからないが、明らかに只者じゃない感じのおば……ご婦人がいらっしゃる。

護衛の親衛隊は前回もいたし今回もいるが、その人は鎧を着けていないが……なんか凄そうな気がする。

達人的な意味で。


他にも文官らしき男性が数名いるが、彼等は何のためにいるんだろう?


それはさておき、今回の施療は横になるのではなく、膝の上に乗るスタイルで行った。

あのおばさんは王妃様が座る席の真横に付いて、お上品な笑顔を浮かべていたが、俺の一挙手一投足見逃すまいといった感じだった。

あからさまに監視していますよと、隠す気も無かったし、わざとだろう。


施療中は、王妃様はオリアナさんやリーリアさんとお喋りをしていたが、そのおばさんの視線が気になって、会話が耳に入って来なかった。

話を振られたりはしていなかったよな……?



「セラ、貴方に贈り物があります」


施療を終えて膝の上から離れると、おばさんの視線も外れた。

ここに来る前は、謁見の間のやり取りで燃え尽きていて、それどころじゃ無かったし、ようやく一息()けた感じだ。


男性が同席していたから王妃様も服を脱いでおらず、【ミラの祝福】はそこまで強くは作用しなかったと思うが、それでも満足してもらえたんだろう。

施療後、王妃様は満足気にオリアナさん達と話をしていた。


そして、俺は三人の会話には加わらずにお茶だけ頂いていると、王妃様がそんな事を言って来た。


使用人に「アレを」と命じ隣の部屋に向かわせた。

報酬とはまた違う感じだけれど、何だろう?

オリアナさん達は特に止める様子は無いし、受け取っても良いんだろうけれど……。

何だろう?と考えていると、隣の部屋から運び込まれたのは、黒い布がかぶせられた箱のような物だった。


「……これは?」


「取って御覧なさい」


言われた通り黒い布を取ってみると、その下から現れたのは黒い木の箱だった。


「…………これは?」


縁が金属で頑丈に作られているが、サイズの割には一人で運んで来ていたし、重さはそれ程でも無いんだろう。

何か彫刻が施されているわけでも無いし、この箱自体は入れ物で、中身が贈り物なのかな?

……いや、それは当たり前だな。


「開けますねー……おわっ!?」


蓋に手をかけた瞬間にアカメとシロジタが襟から姿を見せた。

魔物を相手にする時に見せる警戒態勢だ。

これを用意した王妃様も、あの達人風のおばさんも動きは無いし、危険は無いだろうが……なんだ?


「……ほっ!おお!?……これは」


蓋を取ると、ニョロっと黒い何かが中から姿を見せた。

……潜り蛇か?


俺プラス二匹で箱の中のヘビを凝視していると、王妃様が後ろで口を開いた。

これの説明をする様だ。


「私の実家のルーイック家が治める領地の騎士団に、潜り蛇を従魔にしていた者がいたのですが……、その彼が最近亡くなったのです。大分高齢でしたからね……。従魔は通常、主が先に亡くなった場合は、家中から適役を選び譲ることになるのですが、貴方がヘビが好きだと聞いたものですから、今回は私が頂きました。もうこちらであなたに譲渡する手続きを済ませていますから、手間も取らせませんよ」


「……それは嬉しいですけど、良いんですか?」


ルーイック家の領地がどんなところかは知らないが、戦闘能力は別としても索敵能力は高いし、いる方が助かるはずだ。


「構いませんよ。その彼も引退していて、亡くなる前から随分活動をしていなかった様ですからね。いない事を前提とした編成を組んでいる様です」


チラっとオリアナさんに視線を送ると、小さく頷いた。

王妃パワーで分捕ってきたってわけじゃなさそうか……それならありがたく頂戴しよう。


「ありがとうございます。名前とかはあるんでしょうか?」


「特に聞いていませんね。貴方が付けていいと思いますよ」


「なるほど……」


とりあえず、契約を済ませてからだな。


ヘビの前に手をかざし影が被るようにすると、ほんの一瞬だが魔力が抜けるような感覚があった。

それで契約は上手く行ったようで、そのヘビは俺の影に潜り込んだ。



セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 新人(ベテラン)ヘビが仲間になった!
[気になる点] 読み返しておもったのですが、蛇の尻尾みたいな恩恵品に関する貴人セキュリティー体制の変更が必要な点があることを確かリアーナ騎士団長さんが言っていたと思うのですが、王家に伝えるならこのタイ…
[一言] 将来は潜り蛇世界一位だね
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