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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
11章・そろそろ魔王種とアレコレと

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「あ?……ああ、アレはそういう風に見えるのか。そうだな……まずはフィオの術からになるな」


そう言うと、ジグハルトの講義が始まった。

相変わらずの説明好きだ。


フィオーラの術……。

効果は二つあって、一つは周辺の土地一帯の魔素を吸い上げる効果だ。

俺が途中見た時に、何か赤いのが渦巻いているように見えたのがそれだろう。


そして、もう一つが、それを人が扱えるように変換する事だ。

ただの魔素そのままだと、人間が魔法として利用する事は出来ないそうだ。


「俺も出来ないことは無いが……、一時間か、あるいはもっとかかるだろうな」


「ほー……」


要は家電のアダプターの様な役割だろうが、それは難しい事なのか……。


よくわからん……と、間抜けな顔をしていたのだろう。

そんな俺をよそに、ルバンとアレクは難しい顔をしている。


「セラ、大型の魔道具があるだろう?魔素と魔晶を使うが魔力を同調させるための魔法陣を、建物そのものに刻み込んでいるんだ。それを薬剤の補助があるとはいえ、生身でやるというのは……俺は考えた事が無かったな」


ルバンが補足をしてきた。


「なにも俺やフィオの専売って訳じゃない。あまり表に出していないが、魔導士協会で研究されていた物さ」


ルバンは魔法も使えるけど、冒険者畑の人間だし、知らなかったのか。

でも、組織ぐるみで研究しているのに、表に出ないとは……。


「何か問題でもあるの?」


「魔素を根こそぎ吸い上げるからな。その土地の魔力の流れをズタズタにしてしまうんだ。10年近くは元に戻らないだろう。魔物も寄り付かないが、魔道具もまともに使えなくなるし、使った場所を中心に半径1キロ程度は、まともに利用する事が出来なくなる。一々被害がデカくなるから研究も進んでいないしな……それでも今回使ったのは、あの土地がもともと混合種の縄張りで、開拓計画で迂回する事が決まっていたからだ」


「元に戻るまで使えなくても困らないんだね……」


「そうだ。とはいえ、領主に許可取ったりと色々面倒だし使う事はそうそう無いだろうな。俺も今回で二度目だ」


時間が経てば元に戻るとはいえ、それなりの範囲の土地が使えなくなるのは、土地が有り余っている東部でもないと厳しいのか。

つーか、一度使った事あるのか……。


「ジグさんのあの魔法は?俺もそばで見ていましたが、セラが言ったように首を貫いたにしては毒でも食らった様な倒れ方でしたよ?」


術の方も聞いてはいたが、こちらの方が興味あるのか、アレクは身を乗り出し、真剣な顔をしている。

まぁ、俺もこっちの方が気になる。


「そうなのか?俺は気付けなかったな……」


「お前はケツ側だったろう?無理もないさ」


確かに、アレクとテレサが頭側でルバンは後ろ側だった。

おケツよりは頭の方が異常に気付けるのかもしれないが……ジグハルトも少し驚いた顔をしているし、そんな簡単な事じゃ無いんだろう。


「普通の魔法は、魔力と魔素を混ぜ合わせるもんだが……アレはコントロールするのは俺の魔力だったが、実際はただ大量の魔素をぶち込んだだけだ。どんな生物でも純粋な魔素が許容量以上に体内に流れ込むと、体の機能がおかしくなるし、場合によっちゃ死んじまう。今回は首を貫いたし、どのみち即死だったろうがな。その辺は魔道具職人辺りが詳しいな。興味があるなら調べてみるといい」


拒絶反応でも起こしているんだろうか……それとも感電みたいなものか?

どの道、自然に起きる現象じゃなさそうだし、警戒する必要は無さそうか。

アレクも、盾役を務める事が多いから、それが気になっていたのかもしれないな。

心配は無さそうと判断したのか、今は険が取れた顔で二人と話している。



「楽しそうね」


三人の話がだんだん本格的になってきて、俺が付いていけなくなった頃、風呂に入っていたテレサとフィオーラが戻って来た。


俺が上がってから一時間は経っているな……テレサは何か手にしているし、一旦部屋に戻ったのかな?


フィオーラは、話をする三人を見てそう言うと、隣に座り、俺を抱え上げて自分の膝に乗せた。


「ちょいと魔法と魔物についてな……。お前たちは随分遅かったな」


「いいお風呂だったわ。貴方達はどうせすぐ出たんでしょう?」


それには答えず肩を竦めている。


「姫、手を」


「ほい」


俺がいた場所に座ったテレサに言われた通り手を出すと、マニキュアを塗り始めた。

部屋からわざわざ取ってきたのか……。


「この時間になっても何も無いのなら、もう問題は無いのかしら?」


「だろうな。縄張りのボスは死んだし、撤退程度でしくじらないだろう」


外を見れば、日が大分傾いている。

二人が言うように、残りの部隊はまだ帰還していないが救援の要請も無いし、問題無いんだろう。


「お?」


そんな事を考えていると、外が騒がしくなった。

といっても、事件と言うよりはむしろ歓声か?


「帰って来たみたいだな。俺は迎えに行ってくるよ」


「俺も行こう」


アレクが立ち上がると、ルバンも一緒に出て行った。


俺はどうすっかな……。


「姫、足を」


……無理そうだな。


セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚

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― 新着の感想 ―
[一言] テレサさんの姫第一主義はぶれない…好き
[一言] とりあえずジグさんすごい
[一言] 本作を読んでてたまに思いますけど 冒険者って意外に理屈というか頭で動く稼業ですよね 経験とか直感とかが物言うことがないわけじゃないですけど
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