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森の中にポッカリと開いた、100メートルくらいはありそうな円形の広場に出た。
あくまで木を伐採しただけで整地はしていないのか、そこら辺に折られた木が転がっていたりとあまり足場は良くない。
何か真っ黒になった物も見えるし、草もあまりないことを考えると、火でも使ったのかもしれないな。
そこの端に、これから俺達が戦う魔王種がいた。
距離があるにもかかわらず、はっきりとわかる巨体で、頭部に3本の角が生えていて、くすんだ灰色の皮膚は鎧の様だ。
そして四つ足で、先端は見えないが、丸太の様に太く長い尾が生えている。
なんというか……サイか角のあるゾウ?
あるいは、図鑑でしか見たことは無いがトリケラトプスか。
比較するのにちょうどいい物が周りに無いが、体高は4メートルくらいか?
クマの時も思ったが、立派な怪獣だ。
しかし、何となく魔王って字面から勝手に獰猛な肉食獣を想像していた。
俺が外で倒してきた魔物はほとんどがそうだったからだ。
だが、よくよく考えてみると、ジグハルトから聞いた慎重……と言うよりもいっそ臆病と言っていい性質は、草食動物に当てはまる。
こいつが胎生か卵生かはわからないが、何となく納得できた。
さて……、このサイモドキと戦うわけだが、その視線は今俺達がやって来た……ジグハルト達がいる方を向き、広場の南西側をウロウロしている。
退くか、あちらに攻撃を仕掛けるか迷っているのかもしれないな。
こちらに警戒が向いていないことを確認した三人は、ジワジワと前から近づき、遂には正面にアレクが、右にルバン左にテレサが立ち、各々武器を構えた。
それに合わせて俺も真上に移動を開始するが、未だにサイモドキに動きは無い。
コソコソと刺激しない様に近づいていたが、目の前にいるのに、まさに眼中に無しといった様子だ。
上から周囲を見渡すと、魔物も獣も一切気配はない。
こちらを見ているアレクに頷くと、彼もまた頷く。
手にした槍を掲げ、左右の二人にも見える様に大きく円を描いたかと思うと、勢いよく振り下ろした。
それを合図に両側から二人が魔法を放った。
ルバンの「赤光」とテレサの風の魔法が胴体部分に直撃し、土砂が舞い上がる。
そして、その魔法に驚き口を開けてしまい、余波で舞い上がった土砂が顔を直撃。
口の中にもしっかり入ってしまった。
「ぬあっ!?……ちょ、ペッペッ!?……あー……ジャリジャリする」
慌てて口に入った物を吐き出す。
10メートル以上の高さにいるのに余裕でそれを越えて行ったし、音も凄かった。
ジグハルト達への戦闘開始の合図には十分だろう。
サイモドキも、ダメージにこそならなかったが、ようやくアレク達を認識したのだろう。
不機嫌そうに、グルグルゴロゴロと唸り声をあげている。
何というか……ただの唸り声なのに雷みたいな大きさだ。
この巨体は伊達じゃ無いな。
舞っている土砂はテレサが放った風で散らされ、視界が晴れると、【赤の盾】を構えてサイモドキの正面に目の前に立つアレクが見えた。
アレクはサイモドキの3メートル程前まで近づき、注意を引くために槍を頭の前にちらつかせている。
さらに頭の向きを変えさせようと、少しずつ移動を始めた。
上から見るとわかりやすいが、サイモドキを中心に反時計回りに動いている。
一先ず俺も地面と水平になる様に体勢を立て直した。
頭をジグハルト達に向けて、お尻は東側だ。
そちらはアカメ達に監視させている。
「お?ジグさん達も始めたみたいだよ!」
ジグハルト達の方を見ると、なにやら魔力が渦巻いているのが見える。
必要かはわからないが、その事を下に聞こえるように大きな声で伝えた。
「了解!」
アレクは集中しているからか、代わりにルバンがそれに応えた。
サイモドキもそれに気付いた様で一瞬そちらを向いたが、【赤の盾】は相手の気を引き付ける効果があるそうだ。
それがどこまで通じるかはわからないが、少なくとも今は効いている様で、すぐにアレクに向き直った。
サイモドキは、鬱陶しそうに首を振りながら前足で地面をかいている。
知ってるぞ……これ、突進する前にやる予備動作だ……!
「来るぞ!合わせろ!!」
アレクが大きな声で両脇の二人に指示を出すと、もう役目を果たしたからか槍を後ろに投げ捨て、両手で盾を構えた。
……アレを受け止めるのか!?
大型トラックよりデカいぞ?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




