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「うわぁ……」
領都から北の村までの比でないくらいに荒れた道を、ガタゴト揺られること1時間半。
目的の討伐予定地手前に到着した。
まだ森の中で周りは木に囲まれているが、少し先に行くと伐採されて開けているそうだ。
木に遮られて、討伐対象の魔王種は未だ肉眼では姿が見えないが、【妖精の瞳】とアカメ達の目を通してその強さだけはわかる。
「ここからでも気配が伝わって来るが……どうだ?」
馬車の中からでもわかるようで、アレクだけじゃなく、他の二人も鋭い目をしている。
そして、それがいる方を見ていたアレクが、尋ねてきたが……。
「すごい」
それしか言えない。
サイズ比を考慮したら、今まで一番大きかったのはジグハルトだ。
彼の場合は魔力を表す赤が特に強く大きく見えていたが、こいつの場合は魔力はもちろん身体能力も同じくらい強大だ。
もちろんそれだけでわかるようなもんじゃ無いだろうが、それでもクソ強い。
その魔王種は、こちらには気付いているもののまだ俺達は警戒には値しないのか、何かアクションを起こす素振りは無い。
この分じゃ【隠れ家】の中のジグハルト達には気付いていないようだ。
「……そうか」
そう言うと、アレクは馬車から降り、兵士達のもとに行った。
「お前たちは馬を連れて退いてくれ。十分に離れたのを確認してから戦闘を開始する」
「わかった」
「良い報告を期待しているぜ」
彼等はアレクにそう答えながら、馬に乗って、来た道を引き返していく。
彼等は、馬車を引いてきた馬を連れて、村まで下がって貰う。
彼等も魔王戦は見たがったそうだが、縄張りのボスの戦闘ともなると周囲の魔物にどんな影響が起きるかわからない。
行きと違って馬車を切り離しているし、飛ばせば20分かからないくらいで村まで戻れるだろう。
まぁ、首尾よく片付けば、遺骸の回収に馬を替えて再びやって来ることになる。
その時に魔王種は見れるし、それで我慢してもらおう。
◇
彼等が去って10分程が経った。
村を出た時からずっと防具を着こんでいたアレク達は、固まった体を動かして解している。
他の2部隊のこともあるから、あまり時間はかけられないが……ここは念入りにやって貰おう。
馬車の中から監視を続けているが、幸い魔王種には、まだ大きな動きは無い。
眠っているわけじゃ無いんだろうが……夜行性なのかな?
魔王種の監視はアカメ達に任せて、アレク達に視線を戻す。
アレクの装備は【赤の盾】に短槍、革の鎧に【猛き角笛】。
ルバンは、細身だが長さのある両手持ちの長剣に、王都のダンジョンに一緒に潜った時と同じ革の鎧。
テレサは、腰に2本剣を差し、リアーナに来てから新調したやっぱり革の鎧……。
アレクの武器が魔人の棍棒じゃないのは、あれは重たくてどうしても動きが遅くなるから、倒す事よりも注意を引き付けて時間稼ぎをする事が目的の今回は向いていないって事で、領都に置いて来てある。
それは知っているけれど、なんでみんな軽装なんだろう?
金属鎧が重たいのは知っているけれど、フルプレート程じゃ無いし、白兵戦なら硬い方がいいと思うんだけど……まぁ、いまだ厚手のジャケットしか着ていない俺が言う事じゃないかもしれないけれど……。
終わったら、聞いてみようかな。
そう言えば出発前に何か寸法を採られていたが、結局何も無かったし、あれは何だったんだろう……?
「セラ。もういいぞ。二人を呼んで来てくれ」
「ん?はーい」
◇
【隠れ家】を発動し中に入ると、モニターで外の様子を見ていたのか、二人は玄関前の廊下に待機していた。
フィオーラが外で儀式に使う薬品も準備しているし、いつでも行けるな。
「お待たせ。こっちの準備は出来たよ」
「おう。外に出る前に最後の確認だ。まずは外でフィオの準備が完了したら、お前が照明の魔法を真上に撃ち、先行する2部隊に開始を報せる。その後は【祈り】を使い3人と共に前進し、魔王種の真上に着いて3人の援護だ。戦闘の開始を確認したら、こちらも動く」
「うん。で、フィオさんの儀式が完了したら、照明の魔法をフィオさんが撃つから、オレも魔王種の真上で撃つんだったね」
ジグハルトの説明を引き継ぎ、俺も答える。
「そうだ。会議では前線の拠点のポーションが尽きたらお前が届けることになっているが、要請があっても一先ず無視していい。どうせ10分そこらだ。倒してからでいいぞ」
「わぉ!?」
その言葉にちょっと驚くが、確かに行って帰ってで10分以上はかかるだろう。
それなら、こっちに専念して倒すのを待った方がいい気もする。
俺のふらっしゅが照準兼色々な合図にもなっているしな……。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




