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魔王種……ただ魔王と呼ばれたりもして、魔物や獣の中に極稀に生まれる強力な個体で、山一つ、森一つと広い縄張りのボスとして君臨する。
魔王種の特徴で、その縄張り内の魔物や獣を強化するという物がある。
見た目は通常の個体と差は無く、一度取り逃すと再捕捉は困難で被害が拡大していき、それを魔王災と呼ぶ。
確実を期す為に、討伐は少数ではなく大人数で行うのがセオリーだ。
「それが一般的な魔王種だな。どうしても早期の討伐が必要な為、賢者の塔ですら発生の原理や生態についてはあまり研究は進んでいないな」
「うん」
ジグハルトの魔王種のおさらいに頷く。
しかし、本当に謎生物だな。
「で、混合種ってのは何かって言うと、魔王種を倒した魔物や獣の事を言うんだ」
「……魔物とかが魔王種を倒すの?」
明確に強力な個体って言われているようなのを普通に倒すのか……?
「ああ。もっとも普通じゃありえない。少なくとも大陸西部じゃ500年近い歴史の中でも数件しか確認されていない。それも、あくまで確認されただけで討伐したって記録は無い、ほとんど伝説の存在だ。だが、どんどん大陸東部の開拓が進んで、魔境にも踏み入るようになって来たことで少しずつ明らかになって来たんだ。まあ、魔王種を倒せるようなハグレなんざ魔境位にしかいないだろうからな……」
「ほうほう」
「そして、明らかになった事の中の一つで、倒した魔王種の特徴を引き継ぐってものがあった。多頭の竜なんかは恐らく竜種の魔王を倒し、首から上を引き継いだんだろう。特徴を引き継いだからと言っても必ずしも強化に繋がるわけじゃ無いが、そもそも魔王を倒せている時点で、十分な強さはあるからな……通常の魔王よりもはるかに強いだろう」
そんな凶悪なのを相手にするのか……。
いいとこ昔戦った魔人位かと思ってたけれど……もしかしたらそれよりもっと上なのかな?
「リーゼル達は流石に知っているけれど、直接対峙しない連中にはこの事は伝えないそうよ。無駄に不安を煽っても仕方ないものね」
ジグハルトの独演会が続く中、隣に座っていたセリアーナが声をかけてきた。
「セリア様はオレ達が討伐するのが混合種ってのは知ってたの?」
「ええ。魔王種の調査はジグハルトが行っていたのだけれど、その時に発見したそうよ。敵の接近に敏感で、気取られずに近づくことが難しいから、別の個体を狙うことにしたそうだけれど……お前の奥の事を知って、狙いを変えたそうよ」
「へぇー……」
人間だって気付く奴はいるし、魔物や獣ならもっと気配に敏感だ。
魔王種……それも強力な個体なら鈍感でもよさそうなのに……時間稼ぎならアレク達3人なら余裕と思ってたけれど、この分だと結構手強そうだ。
それにしても……。
「ねぇ、フィオさんが準備してジグさんが撃つって言ってたけれど、どんなことするの?」
差し当たっての魔王種についての基礎知識は仕入れる事が出来た。
話はジグハルトなりの混合種の考察に移っている。
それはそれで興味あるが、俺としてはどうやって勝つのかって事を知りたい。
本当に合体魔法でも使うんだろうか?
「フッ……それは秘密だな」
フィオーラが何か言う前に、ジグハルトが得意気に言い放った。
「ていっ!」
「おっと」
ソファーに立ち上がり蹴りを放ったが、片手であっさり止められてしまった。
俺はネタバレは好まないが、命かかってる場合だとその限りじゃないぞ?
「落ち着けセラ。下手に決め方を知らされると、前衛に立つ俺達が無意識のうちにそれに合わせて動いてしまうかもしれない。強敵相手だしな……。勘の良い魔物ならそれで何かを察する可能性もあるだろう?」
二発目をどこにするか考えていると、宥めるようにアレクが言って来た。
「むう……」
確かにオーガの中にもこちらの動きを読んで来るものがいた。
それなら、そういった事もあるのか……?
一応考えての事だったのかと、納得して蹴りの構えを解こうとしたのだが……。
「蹴っていいわよ?ジグならそんな些細な事問題無いのに、折角だから驚かせたいとか下らない理由だもの」
「おらぁっ!」
渾身の足刀はやっぱり片手で叩き落とされた。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




