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「……セラ、どれか引っ込めなさい」
「ぬ?」
セリアーナの部屋で、以前作ったヨガマットを床に敷きストレッチをしていると、セリアーナの呆れた様な声が飛んで来た。
顔を上げそちらを見ると、本を手にしたセリアーナが、声同様に呆れた顔をしている。
流石に自前の尻尾にアカメとシロジタまで一緒にニョロニョロさせるのは邪魔だったか。
「よいしょ」
アカメ達を服の下に戻し、ついでに体勢をうつ伏せから仰向けに変える。
そして、今まで読んでいた本を尻尾で持ち上げ、顔の前にやる。
結構大きめの本で、落としたら大惨事だな……。
「その細い尾の扱いも大分慣れてきましたね」
俺の尻尾の扱いの上達ぶりを褒めているテレサは、隣で同じくヨガマットを敷き、ストレッチをしている。
何でも俺がやっているのを見て興味を持った様で、ロブに制作の依頼を出していたそうだ。
恰好もいつもの運動用ではなく、レギンスにハーフパンツそしてシャツと、本格的だ。
俺はスカートだとか気にせずにやっているからな……それに、俺と違ってスタイルが良いから、何というか……様になっている。
「テレサまで感化されるとは思わなかったわね……」
「奥様とエレナもどうですか?あまり激しい動きが出来ない時でも、これなら問題ありませんよ?」
「考えておくわ……」
と、ため息を一つ付いた。
だが、セリアーナはともかくエレナの方は乗り気な様で、マットの端を持ち上げて手触りを確かめている。
これはストレッチ仲間が増えるかもしれない。
「それよりも、その尾は使えそうなの?何日か前に訓練所でアレク相手に試した時は散々だったけれど……」
「あー……あれね」
短い尻尾で動きに慣れたところで、魔物相手に振り回した時とは違う、テクニカルな使い方を試してみたくなり、アレクに相手になって貰った。
その時は尻尾で木剣を持ち、【浮き玉】に乗ってと、割と本気スタイルだったのだが……、それなら普通に殴るのと大して変わらないと、没になった。
殴るにしても、より長く力のある腕が一本増えたと思えばメリットが大きく思えるが、それだけで戦うなら増やした意味が無く、俺も接近戦を行う必要がある。
他にもあれこれ試したが挑んだ結果は惨憺たるものだった。
ただそんな中で唯一可能性が見えた使い方もあった。
アレクが踏み込んだ際に、足が地面に付く寸前に尻尾でからめとり、体勢を崩す事に成功した。
まぁ、その後の追撃をあっさり潰されて不発に終わってしまったが、何となくこの恩恵品の方向性が決まった気がする。
「何とかなりそうな気はするかな?もっとも、魔王種相手に使えるかはわかんないけどねー」
もうすぐ出発なのに未だに何と戦うのか知らないが……直接戦う事は無いだろうし、大丈夫だろう。
恐らく俺の役割は、以前のクマさんの時と同じ様にポーション配達とかがメインになるだろうし、腕が一本増えるのは悪くない。
「そう。まあ、お前が正面に立つことは無いだろうし、急ぐ事は無いわね……。入りなさい」
と、そんな事を話していると、部屋に誰かがやって来たようだ。
「!?」
ドアの向こうで息を飲む気配を感じた。
セリアーナはもちろん、テレサやエレナも気配的な何かで察知している様で、気付いていたみたいだが、俺もドアの向こうにいる者も驚いている。
そりゃ、ノックする前に言われたら驚くよ……そもそもこの部屋には使用人でもあまり来ることは無いしな。
「失礼します……アレクシオ様からセラ様に伝言です。地下の倉庫で荷物のチェックをしているので手伝って欲しいとのことです」
「アレクが?了解、すぐ行くよ」
通常のチェックなら俺じゃ無くて、普通に騎士団の兵を使えばいいが、わざわざ呼んだって事は実際にやる事は【隠れ家】への搬入作業だろう。
それじゃー、俺がいないと始まらないからな。
「姫、片付けは私がします。着替え終えたら私も向かいますので、アレクに伝えておいてください」
見るとテレサも手伝ってくれるのか、マットを畳んでいる。
「そか、お願いするね。んじゃ行ってきまーす」
「ええ。ミスをしないよう気を付けるのよ」
ミス……バレるなって事かな。
使用人がまだそこにいるから微妙にボカした物言いだ。
アレクなら人払いくらいしているだろうが、確かに気を付けないとな。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




