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しばらく見世物になっていたが、ひとしきり見てテレサからの解説も聞いたところで、2人は満足したようで、解放された。
その後場所をフローラさんの膝の上に移し、話をする事に。
前回滞在した時はミネアさんがメインで、フローラさんには緩めの施療だったから、今回はフローラさんがメインだ。
全員に全力を出すとちと消耗が大きいからな……。
「2人は今回の滞在期間は、また前回と同じように過ごすのかしら?」
「いえ、今回は姫も私も休暇の様なものです」
折角ゼルキスまでやって来たが、今回はテレサが言うようにダンジョンに行くことは無いと思う。
春はダンジョン初心者が多く、浅瀬で慣らしを行っているし、もちろん上層も中層手前のオーガ地帯も人が多い。
ダンジョンで【蛇の尾】を試したい気持ちもあるが、地元の冒険者を押しのけて俺が狩るのも何だし、人が少ない程の奥まで行くのも怖いし……。
そんな訳で、俺は今回は屋敷でのんびり過ごす予定だ。
最近、見習達の引率とかで神経使う事が多かったからな……たまには何も考えずに……いつもと変わらない気もするが、リフレッシュだ。
テレサもこちらで仕事を作ろうと思えばいくらでも出来るが、人前に立つ服がまだ届いていない。
王都からリアーナに異動して、何だかんだでずっと仕事尽くめだった。
彼女の場合はそれはそれで遣り甲斐があるんだろうけれど、偶には休みも必要な事も理解している。
俺の様にゴロゴログダグダしている姿は想像できないが、上手い事過ごすんだろう。
「あらそう……」
それを聞いたミネアさんはフローラさんと目配せしている。
「何かあるんです?」
悪だくみって感じはしないし、誰かお客さんにでも紹介したいのかな?
「セラさん、滞在中の世話役に娘を加えても構いませんか?」
娘……ルシアナか?
個人的に話した事なんて無いけれど、世話役って……。
「ルシアナ様ですか……確か姫より一歳年下でしたね。私はよろしいと思いますよ」
テレサ的には有りらしい。
「よろしいの?」
「将来に向けての教育なのでしょう。伯爵家の令嬢ともなれば王族の侍女なども務まりますからね。実際にどう進むかはまだ先の事ですし急いで決める必要は無いでしょうが、色々経験を積む事は良い事です」
「ほうほう」
テレサの言葉に相槌を打っていると、ミネアさんとフローラさんが続けてきた。
「セリアーナさんもアイゼンさんも、早いうちに将来が決まっていたけれど、ルシアナさんは自由ですからね。だから今のうちに色々経験を積んで欲しいの」
「お客様のお相手もその一環なのだけれど……この街は女性、それも子供のお客様は滅多に来ないでしょう?」
「あー……確かに、そうですね」
訪問客とかなら女性もいたが、屋敷に滞在するとなると、少なくとも俺がこの屋敷にいた間では一人もいなかった。
ド田舎だもんな……この街。
いきなり大人の男性の世話役に……ってのはハードルが高いか。
「セラさんに特別に何かをしてもらうといった事は無いし、引き受けてもらいたいのだけれど……どうかしら?」
「わかりました。それじゃー、引き受けます」
最近子供の相手が増えてちょっとお疲れだったが……特に何かする必要が無いってんなら、問題無いだろう。
◇
俺は朝に仕事……例えば見習達の引率の様な事が入っていない限り、俺は自然に起きるまで寝ている。
その時間帯はテレサは仕事をしている事が多く、顔を洗ったり着替えたりは自分で済ませる事が多い。
もっとも、その後執務室で仕事の休憩中に髪や爪の手入れをやって貰っているが……いや、そういえば今回ここに来る際に途中で一泊した時は、朝から色々やって貰っていたな……まぁ、それは置いておこう。
基本的に俺は朝は自分で用意している。
だが……。
「おはようございます。セラ様」
そう挨拶をするなり、着替えや洗顔の準備をする使用人の皆さん。
俺が目を覚ますと、部屋に置かれたソファーで本を読んでいたテレサが、すぐに彼女達を呼び入れた。
そして、その彼女達を監督し指示を出している少女がいる。
ルシアナだ。
えーと……俺寝癖でぼさぼさの頭なんだけど、こんな間抜け面晒すの?
よだれとか垂らしてないよな……?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




