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あの後はさほど時間をかけずに街にはいる事が出来た。
そして領都の大通りを領主屋敷に向かっているが、騎乗した騎士達に囲まれている為か、住民からの視線がチクチクと……。
ちなみに囲んでいる彼等は、門前の騒ぎに中から駆け付けた騎士達だ。
領都に詰めている騎士達で全員と顔見知りだが、そんな彼等に護衛されるってのはどうにもむず痒い。
テレサの事は知っているからだろうか、随分恐縮した様子だ。
「ああいうのってよくあるの?」
気を紛らわせるために、隣を行く騎士に先程のゴブリンの事を訊ねた。
俺はこの街には、1年くらいしか住んでいないからあまり知らないのだが、街への入場を待っている間に襲われるってのはあまり聞いた事は無い。
「全く無いとは言わないが、例年ではほとんど無かったことだ。ただ、今年は既に2件起きている」
と、困ったように答える。
「ゼルキスに何か異常でも起きているのですか?」
その答えにテレサも気になったようで、質問を重ねた。
「異常というほどではありませんが、魔物側ではなく、人間側の問題ですね。危険の少ない領内の移動では、若い冒険者が護衛に雇われる事が多いのですが……その若い冒険者が最近手が空いておらず、護衛が中々つかまらない様です。魔物達も集団に戦える者がいるかどうかを見ますからね」
「ほぅ……」
確かに、並んでいたのは4-50人位で、馬車も5台はあったと思うが、護衛の冒険者は20人もいなかった。
身体一つで移動しているならともかく、荷物を積んだ馬車の護衛なら4人か5人は欲しいだろうに、それを考えたら少なすぎる。
「ダンジョンに行けない者でも稼げる、リアーナと言う場所が新しくできましたからね。魔物退治が中心の燻っていた連中が移動してしまい、その隙間を埋める為に新人達がこぞって参加しているんです。護衛なんかより、多少危険はありますが魔物退治の方が旨味は上ですから……」
冒険者の花形現場はダンジョンで、そこに入るのには保証金代わりの入場料が必要だ。
だが、それを工面できなかったり、奥での狩りが出来る腕が無い者も、もちろんいる。
そういう、いわば都落ちの連中が地方の街や村の警備なんかをやっていて、治安維持に寄与しているのだが……、その連中がリアーナに流れてきたそうだ。
どうせダンジョンでの狩りが出来ないのなら、魔物は強いが支援体制の整っていて儲けの大きいリアーナで、って考えだろう。
チラホラ冒険者らしき姿が見えるし、領都の内部はあまり変わりは無いが、領地全体で見ると冒険者の数が減ったりしているのか……ただ、あまり緊迫した様子は騎士から感じられないし、何か手を打っているのかも知れないな。
◇
屋敷に着くとまずは親父さんの執務室に案内され、そこで親父さんに、リアーナ領内の各街の代官達から預かって来た通行許可証を預けた。
それとセリアーナ達からの手紙を渡して、今回の俺のお使いは完了だ。
リアーナ領都の聖貨買取キャンペーンによって起きた武具職人不足。
必要だけれど、足りないのなら外部から借りるしかない。
この場合、通常だとお隣のゼルキスからになるが、それも時期が悪く難しい……。
そこで、最近縁を深めた南部のマーセナル領から、ゼルキスを経由して職人達に出張してきてもらう事にした。
最初の買取をした日のうちに、領内で協議を進め、マーセナルとゼルキスの領都に水路で手紙を送っていたそうだ。
まだ大きな荷は無理でも、手紙程度の小さな物ならリアーナから出す船でも十分に運べる。
陸路ならどちらも1週間以上かかるが、水路なら3日以内で届くからな。
手紙の内容は、マーセナルには職人達の出張を、ゼルキスには職人達のリアーナまでの移動の許可と、その際の護衛依頼だ。
今年限りの緊急措置だけれど、セリアーナもリーゼルも身内をとことんしゃぶり尽くすタイプで、いっそ清々しい。
ただ、ゼルキスがちょっと冒険者の護衛が足りていない様で、その分を騎士団が賄うのなら人手が足りなくなりそうだけれど……どうなるかな?
それに、そもそもどっちかが拒否したら成り立たないんだけれど、そこんところはどうなってるんだろう?
一応リアーナの各街は彼等の通行や宿泊の準備は出来ているが……。
「ふむ……問題無いな。マーセナルからの客が職人達と共に数日以内に訪れるから、その時にこちらを渡してくれ」
そう言うと、親父さんは読んでいたそれをこちらに渡してきた。
引き受けちゃっているけど良いんだろうか……?
「ふっ……こちらも相応の物を貰うからな。それを思えばこの程度の労力は何でもないさ」
俺の顔を見てニヤリと笑う親父さん。
……俺ってそんなに考えている事が表情に出てるのかな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




