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今まで主人公はアイテム、スキルと呼んでいましたが、今回から恩恵品と加護と呼ぶようにします。
アレクが聖像に聖貨を捧げると体が薄っすら光り始めた。
人がガチャを引いているのを見るのは久しぶりだな……王都でのジグハルト以来かな?
あれはちょっと悲惨だった……。
「……む?」
アレクが何やら一言呟いたかと思うと、立ち上がった。
ガチャを引いたようだ。
そして間を置かず、彼を包んでいた光が消え、代わりに目の前に何やら細いベルトの様な物が現れたが……恩恵品かな?
「ふむ……」
宙に浮いたそれを手で取ると、アレクは再び一言呟きまたも沈黙し固まっている。
「む」や「ふむ」と文章はおろか単語ですらなく、反応が読めない。
素材では無さそうだけれど、変な物なんだろうか?
「それは何なの?外れでは無さそうだけれど……」
「ベルトの様ですね……?」
「ん?ああ……【蛇の尾】……恩恵品だ」
手にしたまま動かないアレクが気になったのだろう。
それまで見守っていたセリアーナとエレナが、それは何か?と訊ねると、ちゃんと聞こえていたようで、それに答えた。
「へび?」
【蛇の尾】……ちょっと気になる名前じゃないか……近くで見せてもらうか。
いつまでも凹んでいるわけにもいかないし、いいきっかけだ。
「【蛇の尾】ね……聞いた事無いわね。貴方達は?」
アレクはもちろんエレナとテレサも首を振る。
フィオーラもだし、メジャーな物じゃ無いのかな?
「聞いた事はありませんが……、ある程度予測は付きますね。俺が冒険者になったばかりの頃に【猿の腕】という恩恵品を使う者がいました。恐らくそれと近い物でしょう。どうぞ」
開放する為にソレをセリアーナに手渡した。
見た感じ茶色い布のベルトで、蛇柄だったりするわけじゃ無いし、蛇要素は見当たらない。
【猿の腕】ってのも気になるけれど、こっちも何なのか気になるな。
「ああ……ただ、これは恐らく俺向きじゃ無いでしょうね。セラ、お前が使うか?エレナ、構わないよな?」
「!?」
アレクが中々衝撃な事を、随分事も無げに言ってきた。
「貴方が良いのなら構いません」
「2人がそれでいいのなら、私が言う事は無いわ。セラ、来なさい」
折角の恩恵品を使いもせずに譲るという、唐突な申し出に驚き固まる俺をよそに、3人は話を進めてしまった。
「う……うん。でも、いいの?どんなのか知らないけれど、魔王種との戦いに備えての物だったんでしょう?」
アレクは何となくどんな物か想像がついている様だし、もしかしたら戦闘向きじゃないのかもしれない。
それでも使いもせずに決めていいんだろうか?
「アレク、貴方はそれがどのような物だと思っているの?」
「そうですね。どのような物かわからないのに、いきなり決められて姫も困っていますよ?」
だが、俺の困惑っぷりを見て取ったのか、フィオーラとテレサが助け舟を出してくれた。
セリアーナにしたら結局自分の配下が持つことに変わりは無いし、エレナは自分が使う事は無さそうだし、アレクが決めたのならそれでいいってスタンスだ。
だが、割と気安く人に使わせている俺が言う事じゃないかもしれないが、恩恵品ってのはそんな簡単に人に使わせるような物じゃない。
いくら引いた本人がいいと言っても、はいそうですか、と受け取るにはちょっと高価すぎる。
もう少し理由が欲しい。
「む……それもそうか。【猿の腕】ってのは肩当だったんだ。発動すると肩から腕が一本生えて、ある程度自由に扱えていた。それの主は盾と剣を使っていたが、それとは別に短槍も背負っていて、ここぞという時に【猿の腕】でそれを扱っていたんだ」
「ほー」
自由自在に動く第3の腕か……ビジュアルはともかく便利そうだな。
「名前から【蛇の尾】も似た様な代物だろう。だが、ベルトって事は腰に巻くんだろう?そしてそこから生える……。俺は馬に乗る事が多いし、下馬している時は先頭に立つ事が多い。俺が使うには向いていないさ」
想像してみるが、確かにその通りだ。
乗馬中はもちろん、普通に降りて戦う時も、先頭に立つ事が多いし、尻尾を生やされても他のメンバーとの連携の妨げになりそうだ。
「セラなら【浮き玉】で終始浮いた状態だ。周りの人間の立ち位置なんて関係無いだろう?」
ごもっとも。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・2枚




