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アリオスの街での用事は無事済ませる事が出来た。
まぁ、俺は座ってお喋りする位なので大したことじゃなかったが、長引きこそしたもののミオはクロードとの交渉を首尾よく終え、フィオーラも領都に素材を運び込んだ。
これで一先ず魔王種討伐に向けての準備に入る準備が完了した。
準備に入る準備ってなんだ?と最初聞いた時思ったが、詳しく聞くと納得できた。
薬品の素材に問題が無い事が確認出来たことで、ジグハルトが戦闘予定地に2番隊の面々を引き連れて出発した。
その場所は森の中で、ある程度戦えるように、周辺の木々の伐採を行う為だ。
雨季前には戻ってくるようだが、それでもしばらくの間は街を空けることになる。
そして、その空いた人員の補充に、アリオスの街の兵が充てられる。
討伐隊が出発してから、その空いた分の補充に来るのかと思っていたが、もうこの段階から始まっていたらしい。
もっとも、冬も終わり冒険者の活動も始まる為、あくまで森の外周の警戒程度でそこまで危険な任務では無い。
後発の精鋭達と違って、先発は魔境の魔物との経験が無い兵士達だが、まぁ、何とかなるだろう。
テレサの見習達の指導も無事終了し、そして、冬の間の冒険者見習いの子供達の座学もそれなりに予定は消化したらしい。
何の工事かはわからないが、まだ掘ったり埋めたりをしている場所もあるが、街の主要施設を繋ぐ屋根付き通路も仕上がった。
差し当たって、冬の間にやるべきことはどれも順調に片付いたと言っていいだろう。
◇
南館1階の談話室。
ジグハルトは今は街を離れている為この場には居ないが、いつものセリアーナ側のメンバーが集まっている。
アレクはここ数日街を空けていた為、その間はセリアーナの部屋で話をしていたが、今日はここで彼の報告と今後の話を行っている。
「そう……ルバンも参加を承諾したのね」
「詳細を話せないのは少々心苦しかったですが……その辺の事もちゃんと理解してくれていましたよ。拠点を離れる間の代理はミーア殿を始め周りの者だけでも十分だそうです。こちらには雨季が明けた頃にやって来ると……」
魔王種の討伐の際に直接対峙するのは領内の精鋭だ。
具体的には、一応俺と、アレク、ジグハルト、フィオーラ、テレサ、そして、ルバンだ。
エレナはセリアーナの護衛でお留守番。
ただ、ルバンだけは確定じゃ無かった。
ルバンは一応セリアーナの下にいるが、彼はある意味独立した勢力でもある。
頭ごなしに命じるわけにもいかない相手で、アレクが直接出張って彼に話をしに行った。
まぁ、彼なら必要性を理解するだろうし、参加してくれるだろうと思ってはいたが、参加が確定してセリアーナはほっとしている。
俺も実はほとんど知らされていないが、ルバンやアリオスの街の代官にも詳細は伝えていないそうだ。
外に漏らすような人物じゃないのはわかっているが、それでも領都から離れた場所にいるし、それは仕方が無いんだろう。
いくつかの連動するプロジェクトを同時に進めている様なものだし、どこかが躓けば全部コケてしまいかねない。
些細な事でも注意を払う必要がある。
「フィオーラ、貴方の方はどう?順調?」
「ええ。後2週間もすれば完成よ。量もあるしまず問題無いわ」
薬品作成の進捗を確認したセリアーナに答えるフィオーラ。
「そう……。期限に間に合えばいいのだから無理はしないで頂戴」
目にクマ作ってるし、ちょっと無理をしたのかもしれない。
話が終わったら、施療をしようかな?
「セラ、昨年話した見習冒険者の事を覚えているかしら?お前には春になったら彼等の薬草採集に少しの間付き合ってもらうわ」
「ん。覚えてるよー。ちゃんと言う事聞いてくれるかな?」
冬の間は座学に専念させていたそうだが、俺はその間冒険者ギルドに顔を出す事が無く、彼等の様子を見ていない。
果たしてどうなっているのか……?
「その時は捨てて来ていいわ。それと、春の1月が終わる前に、テレサを供に、またゼルキスに行って頂戴。行きと帰り、どちらでもいいからシフとクロッサーの街によって、代官の夫人に【ミラの祝福】をお願いしたいの。それと、お父様への手紙をお願いするけれど、それ以外は好きにしていいわ。ただ、魔王種の討伐はお前も戦力のうちに入っているのだから、無理はしない事」
「りょうかーい」
魔王種か……王都のダンジョンでの魔人に、冬のクマさんと、順調に大物との戦闘を積んでいるな。
あまり蓄積されていない気もするけれど……。
まぁ、秋冬はのんびりしたけれど、この春は変わらず忙しそうだな!
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




