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とりあえず言われた通りにフィオーラの膝の上に移動し【ミラの祝福】を発動した。
「あら?」
が、何やら驚いたような声を上げるフィオーラ。
「ん?…………あぁっ!ごめん、つい癖で……」
どうかしたのかと思ったが、俺が原因か。
ここ最近、誰かにくっ付く時はいつも【ミラの祝福】を発動していたから、無意識の内にやってしまうようになっていた。
たまに屋敷の使用人に張り付いている時もあるが、俺がくっ付く相手なんて、セリアーナ、エレナ、テレサの3人位だ。
使うのも使われるのも問題無い相手ばかりだからな……まぁ、フィオーラも身内枠だし問題ないか?
「問題ないわ。ありがとう……。そのままでいいから聞いて頂戴。貴方に頼みたいことを説明するわ」
そう言うと、机の上に置かれていた、土の入った4個の容器を引き寄せた。
「これは別々の場所で採られた土なの。これを貴方のヘビと恩恵品を使って見て欲しいの」
「んん?まぁ……よくわからんけどやってみるよ」
アカメ達の目と【妖精の瞳】を発動し、容器に入った土を凝視した。
……凝視したが、何もねぇ。ただの土にしか見えない。
どこか理科の実験を思い出すな。
「……ただの土だよ?」
「そうね。だから、一つ手を加えるわ」
今度は何かの液体が入った容器を取り、さらにその液体をそれぞれの容器に少しずつ落としていった。
その際にその液体も視界に入ったことで、それが薄っすらと光っていることが……つまり、魔力が含まれていることが分かった。
これは、理科じゃなくて魔法の実験なのかな?
「もう一度土をじっくり見て欲しいの」
言われた通りに土をじっくり見てみるが、特に変わりなくただの土……じゃない?
「これが少し光ってる気がする」
容器に入った4個の土の内の1個が、ほんの微かに光っている……様な気がする。
「おおっ!!」
それを聞いて、何やらおっさん達が盛り上がっているが、何なんだ?
「な?言った通りだろう?」
いつの間にか背後に回っていたジグハルトが、どこか得意げに言った。
この実験はジグハルトの提案なんだろうか?
「ねぇ、土が光ったりして、面白いとは思うけど……結局これ何なの?」
「ああ、悪い悪い。その地図を見てくれ。4か所に印がついているだろう?そこの土を採ってきた場所だ。そして、魔王種との戦場候補地でもある」
「ほう!」
地図を見れば、×印が記された森の周辺に4か所番号が書かれている。
そして、土の入った容器にも番号が……ってことは。
「その番号と同じ所から土を採ってきたのかな?」
「そうだ。×印の森が魔王種の縄張りだ」
「はっはぁ……。そこからその番号の所に追い込むわけだね」
「理解が早いな。その通りだ。そして、いまフィオが加えた液体にはフィオの魔力が定着しているんだ」
「……うん」
よくわからないけれど、罠でも張るんだろうか?
「被害を少なく、確実に、短時間で倒す為に、少し大きい術を使うの。その為に私の魔力と相性のいい場所であればある程いいの。本来は多くの薬品や時間をかけて行うのだけれど、ジグが貴方ならもしかして、と言い出したの。この分だとうまくいきそうね」
今度はフィオーラが液体の入った容器を振りながら、説明を始めた。
どういう仕組みなのかはわからないが、言わんとする事はわかった。
「じゃぁ、これで終わり?そこでいいんでしょう?」
と、もう消えてしまったが、光を放った容器を指した。
ほかの土は無反応だったし、そこが一番相性がいいってことなんだろう。
「確かに私の魔力だけならそうね」
「ぬ?」
「大きい術を使うと言ったでしょう?その発動にいくつかの薬品を用いるの。魔力の質はその組み合わせで変わってくるから……」
フィオーラは、部屋の隅に置かれている箱を見ながらそう言った。
つられて俺も見るが……結構大きい箱が3個重なっている。
あれの中身ひょっとして、その薬品なのかな?
「まぁ……そう言うことだ」
俺が箱を見ていることに気付いたジグハルトが、一番上の箱の蓋を開けて見せてきた。
ポーションの瓶と同じくらいのサイズの瓶が10本ほど入っている。
下の2つも同じくらい入ってるんだろうか……?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




