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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
10章・王国東部でアレコレと

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冬の2月。


冬の間、俺のやる事はほとんど何も無い。


それでも去年は、水路の凍結確認だったり細々した事をこなしていたが、今年はもう人手が足りている。

街壁の内側はもちろん外側の見回りも兵士の仕事に含まれていて、彼等が行っている。


森での狩りも論外だ。


下手に刺激をして襲撃を引き起こしちゃ不味いだろう。

ベテランの猟師や冒険者ならともかく、俺は自信が無い。


そんな訳で今年の冬は、ゴロゴロしながら読書に励んでいる。

もちろん、リーゼルの執務室でだ。


皆が仕事している中で、当初は少々背徳感があったが……人間って慣れる生き物だ。

指示を出す声や、書類をめくる音……それらのBGMが無いと逆に落ち着いて読書が出来ないようになってきた。

夜の【隠れ家】で読むより、ここで読むほうがずっと捗る。


本も新しいのが欲しくなれば、届くまで多少時間がかかるが、強請れば大抵の物は取り寄せてくれるし……いかんな……だらけてしまう。

テレサも最近は何やら忙しい様で、外に出ているしな。


「セラ君」


「ふがっ⁉……なっなに?」


積んだ本を枕にパラパラとページをめくっていると、唐突にリーゼルが俺を呼んだ。

思い切り気を抜いていたので、変な声が出てしまったが、体を起こしそちらを見ると、先程まではいなかったオーギュストがいつの間にか立っている。


誰か部屋に入ってきたのは気付いていたが、彼だったか……。


「セラ、来なさい」


リーゼルだけでなく、その隣に座るセリアーナも呼んでいる。

何だろうかと思いつつ、足元に転がしていた【浮き玉】に乗りそちらへ向かった。


「セラ殿、兵士の仕事で街中はもちろん、外壁の外の見回りをしているのだが、知っているだろうか?」


「うん」


彼等の下に行くと、オーギュストが口を開いた。

説明は彼が行うのか……そしてセラ殿……と。


彼は律儀な男で、騎士団団長として俺に用がある時はセラ副長と呼び、そうでない、私的の用の時は今の様にセラ殿と呼ぶ。

しかし、兵士の仕事の説明なのに、どういうこっちゃ?


「日中はもちろんだが、それが夜通し行われている事は?」


「夜やってるのは知ってるけれど……夜通しなの?」


「そうだ」


「……それは知らんかったね」


言われてみれば、まだ結界が張れていないこの街で一番危険なのは夜だ。

深夜や早朝の警備は、ゼルキスに移動した時にも見たし知っていたが……アレ夜通しだったのか。


「まあ、それは1番隊の仕事だしセラ殿が関知する事では無い。その彼等から陳情があってこちらに話を持って来たのだ」


「……うん?」


陳情……夜勤の翌日は休みにして欲しいとかかな?


「今は冷えるだろう?夜ともなれば特にだ。その為体調を崩す者が増えているんだ。幸い重症になっている者はいないが……どうにかならないか?と現場で声が上がっている。見回りを無くす事は出来ないし、交代を増やしたりしようにも流石にそこまで出来るほど人数はいないんだ。2番隊も動員するなら可能かもしれないが、そうなると対魔物の防衛力が落ちてしまうからね」


と、今度はリーゼルが。


リアーナは雪が降ったりは少ないが気温は低く、水路を始め池なんかも凍ったりすることもある。

日の差す日中でも寒い事に変わらないし、そんな中外に出てりゃー、体調くらい崩すわ。


街自体が結構な大きさで、見回りに割く人数も必要なんだろう。


「この街寒いもんね……でも、オレじゃどうしようもないよ?」


俺自身の防寒には自信があるが、だからと言って俺が何かできるわけじゃない。


「セラ君。君の加護の【祈り】を頼めないか?僕も受けたことがあるが、ポーションや回復魔法程では無いが、回復効果があるだろう?それに一度に大勢を対象にかける事が出来る。春からは人数が増えるし、今冬だけで良いんだ」


ふむ……。


「セリア様?どうかな?」


一発二発【祈り】を使うだけで良さそうだし、手間がかかる事でも危険な事でも無い。

一応セリアーナに伺いを立てるが、反対ならとっくに言っているだろう。


「問題無いわ。引き受けなさい」


「ほい!」


リーゼルとオーギュストがそれを聞きホッとしたような顔をする。


人や物のやりくりよりも、俺を動かす方が手っ取り早いし効果もあるんだろう。


その期待に応えてあげようじゃないか……最近我ながらグータラしすぎている自覚もあるしな!


「ああでも……」


「どうかしたかい?」


一件落着、となったかと思ったが、セリアーナは何か気にかかることがあるようだ。


「その娘、朝は起きないから、時間はそちらでうまく考えて頂戴ね?」


「……やる気はあるよ?」


一応フォローは入れたが、2人の顔が少し引きつっているのがわかるな……。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・9枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 夜通し外で仕事をしているなら寝る前の夜に祝福をかけてあげればいいですね。
[気になる点] セラはどんな本ゴロゴロしながら読んでるのかな?かな? [一言] 相変わらず貴族しか買えないような歴史書とか小説かわりに読んでて、下位貴族くらいの教養ありそうとか奥様の子育て予行練習でス…
[一言] 周りが大忙しの中副長がグータラできる生活
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