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ダンジョンから脱出し冒険者ギルドの地上階に上がり窓から外を見ると、もうすでに薄暗くなっている。
大分長時間潜っていたな……。
そして、地上部分のホールには朝とはメンバーが入れ替わっているが、たむろする冒険者の姿が。
上層、浅瀬と通ってきたが、狩りをする冒険者の姿は減っていた。
時間が経っているし、狩りを終えて帰還したんだろう。
ってことは、ここにいる彼等は探索の関係者では無くて、依頼待ちかなんかかな?
「おうセラ。随分長かったな」
ホールにたむろする冒険者達を眺めていると、受付の窓口から出て来た支部長に声をかけられた。
いつもは1時間そこらなのに今日は違ったし、気になったんだろう。
「今日は時間制限が無かったからね。じっくり狩りをして来たよ……あ、そうだ」
「どうした?」
「少し話したいことがあるんだけど、いいかな?」
「おう……場所移るか?」
「……そうだね。まぁ大した事じゃ無いけど」
「なら部屋でいいか。……おい少し空けるから代わりを頼む」
受付の奥に向かってそう言い放つと、支部長室に向かって歩き始め、俺も後をついて行った。
話が早いのは有難いが……そこまで大したことじゃないのが申し訳ない。
「散らかっていて悪いな」
「そんな事無いよ」
部屋に着くなりそう言ったが……確かに部屋の隅に何かの荷が積まれたりしているが、リアーナの冒険者ギルド支部長の部屋に比べたら綺麗なもんだ。
「で?ダンジョンに何か異常でもあったか?」
「いや……異常じゃ無いって事を伝えたくてね。【ダンレムの糸】って知ってる?」
「ダンレム……?西部のどこかにダンレムを冠した傭兵団がいるのは聞いた事があるが……。恩恵品か何かか?」
「おおっ!凄い!」
話の枕にととりあえず言ってみただけだが、恩恵品に行きつくのはともかく、関わることの無い西部の対人専門の傭兵団の事もしっかりチェックしているのか、傭兵団の事を知っていたのは見事だ。
「ちょっと失礼して……よっと」
それなら話が進めやすい。
まずは【ダンレムの糸】を発動し、弓を出現させた。
そして、持ち上げ続ける事は出来るわけもなく、床にドンっ!と音を立てて落下した。
「⁉」
突如現れた弓の大きさと、落下音から推測できる重量。
それに驚く支部長。
まぁ、これは見てもらう為だけに出したからすぐに戻す。
「い……今のが【ダンレムの糸】ってやつか?随分力の要りそうな弓だったな……」
「そうそう。見た目通り重たい弓なんだけど、凄い威力の矢を撃てるんだよね。中層のオーガを一撃で倒して、ダンジョンの地面とか壁とか抉れるほどの……」
「はーん……そりゃ凄いな……。ん?話ってのはそれの事か?自慢したいってわけじゃ無いんだろう?」
流石に冒険者ギルドの支部長の地位にいるだけあって、初見のアイテムにも多少驚きはしたものの、すぐに落ち着きを取り戻した。
そして結局何の話をしたいんだ?と聞いて来た。
「今日……中層入り口のオーガの群れがいる広間でコレを使ってずっと狩りしてたんだけど……地面とか壁を大分壊しちゃったんだよね」
どういう仕組みかわからないが、ダンジョンは内部の壁や地面を壊しても時間が経てば元に戻っている。
ただ短時間とはいかず、今日の破壊痕は大体2時間位直るのにかかっていた。
幸い今日は中層に立ち入る冒険者はいなかったが、アレを見たら魔人でも暴れたのか?と勘違いさせてしまいかねない。
俺も最初は弓の使い道を考えるのに夢中でそっちまで気が回らなかったが、帰り道にふとエライ事やっちまったんじゃないかと不安になり、相談することにしたわけだ。
「つまり、ダンジョン内の破壊痕を気にしないよう通達すればいいんだな?」
皆まで話さずともしっかり理解してくれる支部長。
ひょっとして似たような事例があったんだろうか?
「まあ……お前なら探索届に記した範囲以内しか動かないだろうが……その恩恵品の事を伝えることになるんだが、いいんだな?」
「うん。弓の事だけなら問題無いよ」
アイテムやスキルは示威の為に堂々と見せびらかす者もいれば、切り札として徹底して秘匿する者もいる。
俺は両方だったりするが……【ダンレムの糸】は目立つから、使ってるところを見られたら何をしているのか一目でわかる。
下手に隠して後でバレたらこの街の冒険者達に不信感を持たれるかもしれないし、ここはしっかりと開示しておこう。
「そうか……わかった。まあうまく考えておくから任せておけ」
頼もしいお言葉だ。
丸投げになるが、ここは彼に任せてしまおう!
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・1枚(4)
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




