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3人に向けて、セリアーナが【隠れ家】の機能を説明しているが……3人はもちろん、アレクとエレナ、そして俺も一緒に聞いている。
改めて人から説明されると、【隠れ家】の便利さを再認識させられる。
【浮き玉】と【影の剣】も初期から使っているが、順番が違っていたら人生が全くの別物になっていただろう。
……ありがたや。
そしてこの部屋を買った前世の俺……グッジョブだ。
と、前世の自分を讃えていると、説明を終えたセリアーナが今度は質問に答えている。
それにしても、無茶苦茶詳しいな。
【隠れ家】の機能はもちろん備え付けの家具についても俺と同等か、もしくはそれ以上……いつの間にここまで。
「……奥様が姫をゼルキスに気軽に送り出した理由がわかりました。道中の代官の屋敷で休憩させると言っていましたが、ここを利用したのですね」
「そういうこと。ごめんなさいね?この加護は悪用しようと思えばいくらでも出来るし、あまり広めたいものでは無いから伝える機会を伺っていたのだけれど、中々無くて……」
と3人に謝るセリアーナ。
結婚前はともかく、今はこのメンツだけで集まるとなると談話室位しか無理だからな……どうしても機会が限られて来る。
ただ……俺はそれだけじゃ無く、3人の値踏みをするのに時間をかけていたんだと思っている。
このねーちゃんはそういう奴だ。
そして、当の3人も何となくそれには気付いているだろう。
何とも面倒臭い。
「まあいいさ。それよりも、俺達にこの事を伝えたって事は何か考えがあるんだろう?聞かせてくれ」
セリアーナに先を促すジグハルト。
他の2人もだが、特に気にした様子は無いし、こういうのはよくある事なのかもしれない。
「ええ。まずはテレサ。セラが雨季明けにゼルキスに向かうのだけれどそれに同行して頂戴。セラがダンジョンに潜っている間、こちらとの連携について協議して欲しいの。貴方ならできるでしょう?」
「構いませんが……移動はどうするのでしょう?」
それはもう決まっている。
「テレサが【浮き玉】に乗ってオレを抱えてくれたらいいよ」
「……よろしいのですか?」
俺の提案に驚くテレサ。
話の流れから読めそうなものだけれど、アレクに【ダンレムの糸】を渡した時もそうだったが、この世界の常識では明確な主従関係の無いもの同士のアイテムのやり取りってのは相当イレギュラーなんだろう。
俺とテレサは上司と部下ではあるけれど、主従関係では無い。
むしろ身分はテレサの方が上だ。
「よろしいのですよ。その代わり夜の移動は任せるよ?オレは眠ってるかもしれないから、抱えながらだよ?」
高速移動は昼間は無理だし、かといって夜に移動するにはまた昼夜逆転しなければいけない。
セリアーナともその事について話をしたが、その結論がテレサも連れて行く、だった。
ゴーグルの注文も済ましてあるし、彼女には頑張ってもらいたい。
「……お任せください」
それを聞き、フッと笑みを浮かべ応えるテレサ。
別に笑いを取るためにそんな言い方をしたわけじゃ無いんだが……まぁいいか。
「そしてジグハルト。私にも届いているけれど、魔王種の行動範囲をある程度絞れたのでしょう?」
「あ?ああ……まあ、何体かはな。と言ってもまだ大した事無いぞ?山一つ森一つ……精々それ位だ」
魔王……。
この街に結界を張るのに必要になるのだが、今はまだ入手できていない。
街の規模も大きくなってきているし、今のただの壁のままだと危険が多くあまりよろしくない。
いざとなれば王家経由で他所の魔王の素材を融通してもらえるそうだが、やはり現地産の方が相性がいい様で、冒険者達が調査を行っている。
捕捉できたって情報は聞いていないが、ある程度近づけてはいるのかー……。
「結構。簡単にだけれど手順を聞いているわ。魔王の追い込みと周辺の魔物の接近を防ぐ隊が2つと、直接戦闘をする隊が1つに分けるそうね。魔王と直接対峙するのは貴方を含む少数になるのでしょう?ココを使う事を前提にしていいわ」
セリアーナは床を指差しながらそう言った。
……ここを使うって事はもしかして、俺も参戦するのかな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




