271
夜の談話室での報告会。
雨季にさしかかる前から、皆外での活動を控えていたという事もあり少々久しぶりとなった。
今はアレクが昼間に冒険者ギルドで行われた会合について報告をしている。
しかし、猟師ギルドか。
森でかち合った時は猟師側に譲るように言われていたが、俺は領主側の人間だしそんなもんかな?と特に意識していなかったが、冒険者達と不仲だったんだな。
聞いた限り冒険者側に非がありそうだし、実際そうなんだと思う。
解消できたのは何よりだ。
「猟師ね……ジグ、貴方でも難しいの?」
アレクの報告が終わり、フィオーラが何となくと言った感じにジグハルトに訊ねた。
「難しいな。魔物なら俺でも追えるが、人間……それも隠れようとしている者をとなるとな。他の冒険者達もそうだと思うぞ?俺達は魔物の痕跡を追っているんであって、森の異常を見ているわけじゃないんだ。……セラなら追えるか?」
なるほどなー、と聞いていると話がこっちに飛んできた。
山や森で人探しか……。
「無理だね!空中で襲われると捌ける自信が無いよ」
俺は何時だって安全第一だ。
「そうね。お前が無理をする必要は無いわ。どうせここを目指しているのだしね」
セリアーナはそう言うと席から立ち、前に出た。
雨が降る中わざわざ会議に出向いた上に、この場で報告をしてくれたアレクには申し訳ないが、彼は前座で真打はこちら。
「話をする前に場所を変えましょう。セラ、皆を奥へお願い」
「ほい!」
返事をするなり壁際に移動する俺を見て、ジグハルト、フィオーラ、テレサの3人は奥?と首を傾げている。
「隠し部屋でもあるのか?」
「ま、いいからいいから。皆こっち来てね」
3人は怪訝な顔をしているが、セリアーナ達もう一組の3人が既に動いている事から、同じくこちらにやって来た。
「んじゃ、どーぞ」
壁に手をあて【隠れ家】を発動した。
「⁉」
突如現れたドア。
そして、そのドアに迷う事無く入っていくセリアーナ達にさらに驚いている。
うむうむ。
セリアーナ達は【隠れ家】を知ったのは、俺が潜んでいる事を既に知った状態だったからな……。
驚きはしていたが、どちらかと言うと地面から現れた怪しげな人間に対してだった。
別に驚かしたいわけじゃないが、【影の剣】以上に秘匿している【隠れ家】は人に見せる機会が全く無い。
こうも驚いてくれると披露した甲斐があるってもんだ!
◇
【隠れ家】に入った3人は、入る前も十分驚いていたが、さらに驚いていた。
まぁ、何も無い壁にドアが現れたと思ったら中に入る事が出来、入ったら入ったで夜のはずなのに中は明るく、見たことの無い訳の分からない物が溢れているんだ。
無理もない。
その3人にアレクが【隠れ家】内の説明をしている間、俺とエレナはキッチンでお茶の用意をしている。
驚きつつもテレサはこちらの手伝いに来ようとしていたが、そこは大人しく案内されてもらっている。
「食器……何となく買い集めてて良かったね」
「本当だね。私達以外にもココを利用する人が増えるとは思わなかったけれど……何があるかわからないね」
今までここを利用していたのは4人で、もちろん各々専用の食器を用意してある。
ただ、今までの何度かの移動の際や、たまにやって来る王都からの商人達の商品に入っている木製や陶器、磁器。
何かの骨や金属を用いた食器や調理用具で目についた物を、セリアーナはまとめてポンポン買い取っていた。
ここの利用人数が今日一気に3人増えることになったが、問題無い。
余裕で賄えてしまう。
「運ぶね」
「お願い。こぼさない様にね」
「へーい」
カップや皿を載せたお盆を持ってリビングに向かうと、いつもの席に座るセリアーナと、案内を終えた4人の姿があった。
まぁ、案内と言っても、広さはそれなりだが元の1LDKに追加された1ルームしかない。
説明なんて精々トイレ位で、すぐに終わるか……。
「そうか……座る席が足りないのか……」
女性陣はソファーに、そして男性陣は床に座っている。
元々あまり客を呼ばない1人暮らしの部屋だ。
リビングには応接セットとしてまとめて買ったソファー等が設置してあるが、詰めても5人がいい所。
盲点だった。
今度買い足しておくかな。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




