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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
9章・リアーナ領でアレコレと。

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【ダンレムの糸】を受け取ったアレクが発動させると、バカでかい弓が現れた。

それを見て「おおっ!」と騒めくギャラリー達。


弓は黒と茶色の黒檀の様な色合いの木製で、握りの所に円状に光る何かがあるが、それ以外は特徴の無い普通の弓だ。

もちろんサイズと重量は別だが……。

大振りの棍棒を片手で振り回すアレクでも中々厳しそうな顔をしている。


「アレク、恩恵品なら念じる事で弦が張られて矢も現れるはずだ」


「ふっ!…………なるほど。セラ、的の後ろに人はいないな?」


ジグハルトのアドバイスに従い何やら気合を入れると、弓が一瞬光り、そして弦が張られていた。

矢は普通の矢では無く、光る棒だ。

それがギュンギュン唸っている……これは凄そうな気配だ。

アレクもそれを感じるのか、俺に安全の確認をして来た。


「んー……うん、大丈夫。人どころか魔物もおらんよ」


「よし。少し下がってくれ……」


俺達が下がったのを見計らい、アレクは弓を引いた。


今は秋の2月半ば。

コートを着るほどでは無いが、気温も下がってきてやや厚着をしている。

その厚着をしている状態でも、アレクの腕と背中の筋肉が盛り上がっているのがわかる。


「射るぞ!」


合図をしたアレクの手元が一瞬強く光ったと思ったら……。


「ぬあっ⁉」


バシュッ!っと矢を放つ音がしたと思ったら、光の矢が的を砕き奥に広がる平地を抉り、ついでに森の木をバキバキ数十メートルぶち折ったところで消滅した。

飛距離は……400メートル位か?


「ああ……俺が撃たれたのはこれだな。懐かしいぜ」


「そうですね。消えたのは距離なのか、消耗しきったのか……どちらでしょう?」


「距離……はちょいと短いな。消耗したんだろうな」


冷静に話し合う二人に対し、どよめく後方。

そして尻餅をついている俺。


近くで見るもんじゃねぇな……。


後ろの連中も軽い見世物気分だったんだろうが、あれを見ればねぇ……。

俺はまだダンジョンで似た様な光景を見ているが、初めて見るとドン引きだぞ?


「威力は大したものね。何かデメリットはあるのかしら?」


とりあえずの安全性は確認できたのか、側にやって来たセリアーナがアレクに訊ねた。


「どうですかね……重たさや引きの強さは使い手を選びますが……この威力を考えるとそれだけとは……」


「オレじゃ持つ事すらできないし十分な気もするけれど……」


船で王都に向かっている時に少し聞いたが、アイテムを手放す人ってこういう場合もあるのかもしれない。

俺は身内にアレクがいるから試す事が出来たが、中々ポンと貸せる相手が側に都合よくいるとは限らないからな。


それなら売ってしまった方がいい。


「セラ君、次はアレクシオに君の【祈り】をかけてみたらどうだい?それで威力や重さ、引きの強さが変わるのかもしれないしね」


声がした方を向けば、リーゼルにオーギュスト達も周りにやって来ている。

結構楽しげだ。


「確かに……。セラ、頼む」


「ほいよ。ジグさん、フィオさん、また的をお願い……早いね」


的の用意を頼もうとしたら既に完了していた。

それも先程とはずらした位置に建てる気の利きよう。

あれ以上森を抉ると魔物の通り道になりそうだったしな……。


「よし。皆下がってくれ。セラ、頼む」


「ほい!」


【祈り】を発動し、俺も皆のところまで下がる。

先程は後ろにも衝撃が来たからな……。


「…………ん?」


弓を持ったままアレクが動かない。

周りを見ると皆も「?」と言った顔だ。


「アレク?」


呼びかけると、弓を持ったままこちらに歩いて来た。

【祈り】の効果は発揮されている様で、さほど重さを感じさせない足取りだ。


「発動しない」


アレクは首を横に振りそう一言口にした。


「……壊れた?」


マジで?


「そんな簡単に壊れたりはしないさ。これは連射出来ないのかな?」


だが、リーゼルが俺の言葉を否定する。


「恐らくは。思い返せば戦場でも一射毎に間を置いていました」


「ああ……そういやそうだったな。一射毎に位置を変えていたから、反撃を警戒しているんだと思っていたが……、連射が出来ないのか」


アレクの言葉にジグハルトも思い当たる事があったようだ。

一ヵ所に留まってこんなの撃ってたら目立つし、場所を変えるのは別に不思議じゃない。

そうする事でこのデメリットを隠していたのかもしれない。


「ここを見てください」


そう言い弓の握りの部分を指差した。

先程は円状に光っていたが、今は円の3分の2程度しか光っていない。


「俺が構えた時は半分程度だったが……、これが円になればまた発動できるんだと思う。10分に一射ってところか?」


少し残念そうなアレク。

いや、でも十分すぎないか?

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・0枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚

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― 新着の感想 ―
[一言] これあったら熊も倒せてたのかな?
[一言] あからさまに戦争向けやね
[一言] あああそういえば 似たような遠距離攻撃が連射できる上に 一発ぶつけられて生き延びてる人が いましたねえ……ビックリ人間大集合
感想一覧
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