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何が出て来ても驚かないけれど驚きたい……次で決める!
目を閉じ深呼吸をしながら光線を撃ちそうなポーズをとる。
「…………姫?」
「放っておきなさい。あの娘は格式を重んじてないの。奇矯な振る舞いには慣れなさい」
そのポーズを不審に思ったテレサが声をかけてこようとするが、セリアーナが押し止めた。
……なんかひどい事を言われている気がするが、集中だ集中。
…………⁉
「ふっ!」
カッと目を開き、聖貨を聖像に捧げる。
そして鳴り響くドラムロール。
イメージだ……なんかぶっ放すイメージ……スナイパーライフルを撃つイメージ!
これだ!
確信をもってストップをかけると脳内に浮かんだ言葉は【ダンレムの糸】だ。
「……いと?」
ポツリと呟いた。
「いと……また魔糸?」
それを聞き気の毒に思ったのか、気遣う様な声色でセリアーナが訊ねてくる。
「……いや、糸だけど」
と、目の前に現れたので途中で言葉を区切り、それを見る。
薄っすら光りながら姿を現したのは……紐だな。
「ほっ!」
宙に浮くソレを掴み、見てみるが……太さ数ミリ程度の紐だ。
引っ張って万が一にも千切れたら困るからやらないが、中々しっかりしている。
「糸って感じじゃ無いな……何だったんだ?」
「【ダンレムの糸】だって……紐だよ?」
アレクに名前を教えた瞬間、ガタッ!とアレクとジグハルトが立ち上がった。
「ダンレムか!」
揃ってその名を口にした。
「ぬおっ⁉」
これが何か二人とも知っている様だ。
なんだダンレムって?
「知ってる?」
「あ……ああ。やったな……恐らく弓だぞ?それは」
「はぁっ⁉」
アレクの言葉に思わず強く聞き返してしまったが……弓要素ゼロだぞ?
「ダンレムと言ったら星や王殺しと、いくつか思い浮かぶけれど……先に開放してみましょう?」
「そだね……」
気になる言葉も出てきたが、まずは開放だ。
セリアーナの手に紐と俺の手を乗せ一緒に気合を入れる。
一瞬淡く光ったと思うと、紐の感触が無くなり代わりに何やら硬い物が……。
「……これは?」
木製らしき筒で、長さは5センチ程、幅は3センチ位だろうか?
それに、模様が刻まれている。
何かを通すんだろうけれど指輪にしては変だ……。
少なくとも弓じゃない。
「ヘアリング……髪飾りね。エレナが今付けているわ」
それを聞いたエレナが横を向き、髪を見せてきた。
顔の横に垂らしている、細く編まれた三つ編みを銀色の筒に通しているが……それか。
「これ……弓なんだよね?」
名前が糸で、最初は紐で開放したら髪飾りで、正体が弓……俺の持っているアイテムの中でも屈指の訳の分からなさだ。
「……私も気になるけれど、それが弓ならここで使うと危ないかもしれないし、試すのは明日にしなさい。2人は何か知っているのでしょう?話して頂戴」
アレクとジグハルト、二人の共通点と言えば大陸西部生まれで冒険者になる前は傭兵だったって事だ。
なら……戦場か?
「ダンレム傭兵団と言う、大陸西部で活動する傭兵団がいるんです」
「聞いた事無いわね。貴方達は?」
セリアーナはエレナ達に問うが、同じく知らない様で首を横に振っている。
「同盟側じゃ知られていないのかしら?続けて」
「そうですね。彼等はあくまで戦場専門で魔物相手には出て来ませんから……。団内で代々の団長に恩恵品が受け継がれているんです。それが団名の由来にもなっている【ダンレムの弓】です」
「俺も昔何度か敵に回した事はあるが実際厄介だったな……」
思い出すように話すジグハルト。
このラスボスみたいなおっさんが厄介って言うんだから、相当なもんなのかもしれない!
「俺は味方側でしたが、1度だけ一緒になった事があります。セラ、ルバンの魔法を覚えているか?アレに近い威力だ。地面を抉りながら魔力の矢を撃ち出していた」
「ぉぉぉぉ…………!」
話を聞き興奮で手が震えてきた。
これは遂に俺も何かをぶっ放せるようになるのか……!
「強力なのはわかったけれど、これが確かにそうなの?別物って事は?」
一方セリアーナは冷静だ。
確認するようにそう聞くと、ジグハルトが答えた。
「名前は少し違っているが、恩恵品なんて本当の名前は持ち主以外はわからないし、勝手に付けている場合が多い。ハッタリ効かせる為に傭兵だったら特にな。ダンレムの連中はその弓を売りにしているし、全く関係ないものならそんな縁起の悪い名前は付けないだろう?」
縁起悪い名前なの?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




