260 セリアーナside
「ただいま戻りました」
セラの様子を見に行っていたテレサが会議室に戻って来た。
1人で戻ってきたという事はまだ起きていないのだろう。
「セラはまだ眠っていましたか?」
「ええ。ぐっすりと。起こしては可哀想なので声はかけていませんが、まだ起きそうになかったですよ」
確認するようにエレナが問いかけ、テレサがそれに答えた。
明け方に眠りについて、今はもう昼を回ったがまだ起きてこない。
……あの娘は寝る時は半日どころか丸一日眠ったりもするし、たまに様子を見に行かせているから問題は無いか。
「まあ、お腹が空けば起きて来るでしょう。それよりもアレク……揃った事だし始めなさい」
この場には私、エレナ、テレサにリーゼル、オーギュスト、リック更に各副長、副官達。
普段は冒険者ギルドに詰めているアレクに支部長に、名目上はアレクの副官だが、自由に動いているジグハルトにフィオーラと言った、騎士団幹部陣が勢揃いだ。
文官達もいるが、報告の2度手間を避ける為で彼等には今回特に意見を求めることは無いだろう。
「はい。2番隊副長のセラが、一昨日夕方からゼルキス領領都に向けて出発。各街の代官屋敷での休憩を挟み今朝帰還しました……」
前に立つアレクが報告を始めた。
聞かされていなかった者達もいる為かどよめき声が上がっている。
通常片道一週間かかる道程を往復で二日足らずとなれば大違いだ。
ただしそれも正しい情報では無い。
そこから更に7-8時間程引いたものが実際のかかった時間だ。
もちろんそれも姿を見つからない様にと言う制限を解けば、さらに短縮できる。
もっともそれらの情報はこちらで隠しておく。
裏切るとは思っていないが、1番隊も文官達も他領地出身の者が多く、どこから漏れるかわからないからだ。
本人に直接聞く気概があれば本当の情報がわかるだろうが、それも無いだろう……。
「セリア?」
クックッと笑っていると不審に思ったのか隣に座るリーゼルが声をかけて来た。
「なんでも無いわ。それよりそろそろ本題に入るわよ」
そう言い話を聞くよう促す。
元々この会議はセラのゼルキス行きを知る者達だけで行い、今後の領内や隣接領地への単独行動の許可を出す為だったが、お父様からの手紙に書かれていた事で少し予定が変わってしまった。
「ゼルキス領内の複数ヵ所で夜営跡と見られるものが発見されました。そのうち三ヵ所で冒険者らしき者の死体も一緒に見つかっています。まあ、大方魔物に食われたんでしょう」
アレクの言葉に再び会議室がざわめくが、死者が出た事にでは無い。
メサリア東部で夜営をするという事にだ。
大陸西部ではこちらでは信じ難い事に商隊や冒険者が外で夜を過ごすことがあるらしい。
この国でも王都以西で稀にそんな無理をする者もいるらしいが、東部ではまずいない。
戦力を揃えた上で、明るいうちに出て暗くなる前に宿泊先に到着する。
それが基本だ。
夜に街の外に出るのは夜逃げか犯罪者、あるいは冒険者ギルドから依頼を受けた冒険者が夜にしか姿を見せない魔物を狩る時位だ。
今回見つかった死者は冒険者だったが、冒険者ギルドはそのような依頼を出していなかったそうだ。
「アレクシオ隊長、その死体は何者か判明しているのか?」
「全員ではありませんが、数名なら。国内の王都以西で主に活動している者達で、30歳前後です。ただ、王都のダンジョンに挑んだ記録は無く、現場に残った装備の貧弱さから見てもあまり稼げてはいなかった様です」
あまり稼げないと言っても、魔物が豊富な東部。
ダンジョンに潜る事が出来なくても、街や村の周辺の魔物狩りで食っていく事は出来る。
にもかかわらず、無謀な夜営……それも貧弱な装備でとなると……。
「恐らく、東部の各街へ立ち寄らずにリアーナ領へ到達する道を探っているのでしょう」
それもあくまで捨て駒だ。
情報が揃ったところで、本命が動くのだろう。
「なるほど……。開拓村などに潜り込まれたら検問を通過せずとも気づかれない。リック隊長、各村の警備を増やす余裕はあるか?」
「はっ!今も森の哨戒は続けておりますが、最近は冒険者共も無理に奥地を目指さず犠牲者は出ておりません。そちらから人員を割くことが可能です」
オーギュストの問いに答えるリック。
「結構。春には訓練を終えた兵が王都から送られてくる。それまでは今のままで凌いでくれ。手が足りない様なら2番隊の協力を得る様に」
「はっ!」
私の事を警戒しているかもしれないし、直接領都に来る事は無いだろう。
まだまだ当分人手が足りなくなりそうだ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】13枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




