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執務室での話し合いを終えて数日が経った。
セリアーナ達に話を届けた時点で俺の役割は終わったため詳細はわからないが、1番隊の兵士が冒険者ギルド内で注意喚起をするようになった。
注意程度でと思っていたが、効果はてきめんで、奥まで行っていた冒険者達が自重し比較的浅い位置に留まるようになってきた。
そのついでに若手や新人を連れて薬草採集や浅瀬での戦闘指導も行っている。
魔境で一旗揚げようと思える程度には経験豊富なだけあって、そこら辺の役割も果たしているし、やってよかったと思う。
「おや?」
狩りを終え、ふよふよ漂いながら屋敷に帰っている最中、冒険者ギルドから出て来た兵士が目に入った。
今日の分の注意を終えたのかもしれないな……。
「おつかれー」
「……?セラ副長⁉お疲れ様です!」
驚かさないように先に声をかけたのに、却って驚かせてしまった気がする……。
「今日は冒険者ギルドの様子どうだった?」
「はい。初日はまだ奥に行く者もいたそうですが、冒険者同士でも注意しあったようで2日目以降は無理に奥を目指すことは無くなったようです。もう大丈夫だとは思いますが、それでも期日までは行う予定です」
「ふむふむ……」
少しの間彼等と話をしたが、一応副長ではあるが隊の違う俺相手にも丁寧な対応だ。
と言うよりも、どうもリックが俺達の事を嫌っているような感じなんだよな。
それ以外は仕事もしっかりしているしやる気もある。
なんかしたっけ?
◇
「と言う訳で、少し人間関係を知りたいんだよ」
屋敷に戻ると、いつも通り風呂に入り着替えを済ませ、リーゼルの執務室に向かった。
今日も今日とて仕事をこなしていたが、小休止に入ったところでリックの事も含めて騎士団の幹部について尋ねてみた。
「お前が他人に興味持つなんて珍しいわね」
それを聞いたセリアーナが少し驚いたような顔をしている。
「そんなことは無いんだけどね……?」
こちらでは相手の家の事を調べるのは割と常識的な事だ。
が、前世の習慣と言うべきかあまり人の家だとかを聞くのは、マナー的にどうなのかって意識がある。
「まあいいわ。簡単にだけれどオーギュストと副官のミオ、1番隊隊長リックと副長のアシュレイと……テレサもね。説明するから、覚えておきなさい……。まずはテレサね。メサリア西部のオーガス領領主ジュード伯爵家の長女よ。ジュード家は王妃殿下のご実家であるルーイック家の分家筋で、遠縁だけれどリーゼルとも親戚同士になるわ。テレサ本人の経歴は聞いているでしょう?」
「うん」
なるほど……そりゃエリーシャの侍女候補になったりするし、結婚話を持ちかけられたりもするか。
……その人が今俺の髪結わっているんだけれど、いいの?
俺が強要しているわけじゃ無いけれど、なんか不安になって来た。
「問題ありません。それよりも動かれると崩れますよ?」
「あ、はい……」
今の境遇より俺の髪型の方が大事らしい。
よかった。
「オーギュストは騎士団の名門デューヴァ男爵家の次男ね。リーゼルが幼い頃から、彼は護衛として仕えているわね。父君が中央騎士団の大隊長も務めているわ」
「ほうほう」
「僕の剣の師でもあるよ」
脇からリーゼルが付け加えてきた。
セリアーナとエレナの関係みたいなものかな?
「副官のミオはその親戚で、デューヴァ家に仕えていたけれど、緊急時に私の下に送れる人間がいないからという事で連れてきたそうよ」
「ふむふむ」
まぁ、緊急時だからって男がドカドカ入って来られても問題だろうし、妥当な所か。
「そしてリックね。ジュード家の分家筋のアーベント男爵家の次男ね。付け加えるならアーベント家はオーガス領で代官を務めているわ。リーゼルと比較的年が近く能力があり、デューヴァ家とも良好な関係を持つ家から選んだの」
「……へぇ」
俺がテレサを侍女にしている事が面白く無いんだろうか?
主家のお姫様だし……。
「姫への態度があまりに目に余るようなら私の方で手を打ちますから、ご安心ください」
「君にされては困るから、何かあれば私に言ってくれ……」
何をとは言わないがやる気になっているテレサに、それを窘めるオーギュスト。
「あ、うん大丈夫」
まぁ、仕事はちゃんとしているし、問題無い。
「それとリックの情報に付け加えるなら、嫉妬、もあるな」
「嫉妬?」
オーギュストの言葉をそのまま繰り返した。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】13枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




