253
「随分簡単に言うが……どうするのだ?」
オーギュストが疑問を呈するがもっともだ。
俺もわからん。
「今の時点でも冒険者志望の子供が複数いるのでしょう?そうですね……12歳から14歳にしましょうか。50人近くいるはずですし、そこから更に募りましょう。秋の一月頭から訓練所の一画を使って指導を行わせます」
つらつら淀みなく説明するテレサ。
何だろう……数字をだしたけれど、街の子供の数とか頭に入ってるのかな?
新生児と8歳児の数はある程度俺も把握できているけれど、それ以外となると……俺がゴロゴロしている間も仕事をしているのか。
「その指導は2番隊が行うのか?」
「ええ。我が隊は領内の冒険者から多く隊員を募っています。彼等なら魔境の魔物との戦闘経験も豊富でしょうし、雨季までに鍛えてもらいます」
「ふむ……1番隊が森の巡回も行うのなら手が空くか。だが雨季まででいいのか?」
期間が短くないかとオーギュスト。
しかしテレサはそれを鼻で笑い、続けた。
「まさか……。あくまで上官に従わせる訓練ですよ。雨季の間は冒険者ギルドで座学です。そして冬から本格的に戦闘訓練に入ります。並行して座学も行います。どうせ雨季と冬の間は冒険者も外に出ないのでしょう?彼等も働かせましょう」
オーギュストとテレサ、リアーナ領騎士団団長と2番隊副長の副官と階級差があるのに、何故かテレサの方が偉そうなんだ。
いつもの事だし仲が悪いわけじゃ無いんだろうけれど……家の力関係かな?
「なるほど。冒険者見習いとして扱うのか。確かに冒険者ギルドに所属するのに我々騎士団が育成を全て行う必要も無いか。実戦は春からか?」
特に気にしていない様子で話を進めていくオーギュスト。
「いえ、その前にもう一段階設けます。新人冒険者の育成で姫が付き合ったそうですが、それを兵士も同行させ行います。数回行い、その後は薬草採集の手伝いをさせましょう。この内容ならば命を落とす事も無いでしょうし、自分が冒険者に向いているかどうかもある程度は判断できるはずです」
再びなるほど……と呟いて思案する。
それにしても、即興案にしては妙にキッチリしている。
なにか基になったのがあるのか……聞いてみるかな?
「テレサ、それって何か基になった物があるの?」
「はい。親衛隊の候補生に施す訓練です。戦闘訓練はダンジョンで行いますし、野外訓練の場が魔境では無かったりと違いはありますが、魔物と戦わせることが目的ではありませんし、これで十分だと思います」
オリジナルは親衛隊か……。
「ほむ……」
魔物との戦闘は経験できないけれど、戦闘訓練はするし座学で知識も付く。
まぁ、冒険者志望の子供の選別と初期教育が狙いだし、そう考えたらこれで良いのかな?
「環境は違うけれど実績もあるようだし……私はいいと思うわ」
「そうだね……。この街はまだダンジョンが無いし、他所の様にダンジョンでの訓練ができない。これが上手くいく様なら、領内の貴族の子弟の訓練にも流用できるだろうし……試す価値はあるか」
セリアーナとリーゼル、どちらも好感触だ。
「姫、春にお力を借りますがよろしいでしょうか?」
姫……最近慣れてきたけれど、俺の事をこの人は姫と呼ぶ。
名前でいいよと言っているのに、何かこだわりがあるらしい。
「うん。【祈り】と魔物の接近に気を付けるだけでいいんでしょ?」
「はい。人数は残ってもせいぜい10人程度と考えています。2組に分けますから2日おきにお願いすると思います」
「りょーかい」
あまり人数が多いと目が届かないかもしれないが、一度に5人程度……。
子供と言ってもしっかり指示に従うように指導するみたいだし、大丈夫だと思う。
「隊長は今別任務につかれていますし、支部長には明日私から話しておきます。団長殿、よろしいですね?」
「ああそれでいい。リック隊長、お前も隊の編成があるだろう?下がっていいぞ」
「はっ!失礼します」
頭を下げて出て行くが……部屋を出る際に俺とテレサに一瞥をくれて行った。
……うーむ。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】13枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




