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第1部分に簡単な人物紹介を載せました。
リアーナ領領主の屋敷。
その主であるリーゼルの執務室は彼とその部下の席。
さらにセリアーナと今はエレナだけだが、彼女の部下の席も用意されている。
以前の部屋は応接用のスペースが広く取られていたが、そこが半分程になり代わりに机が置かれている。
より仕事に特化した部屋になった。
王都から戻って来て一月ほど経つが、屋敷を空けていた上に新しく領主となった事で仕事も溜まっていて、リーゼルはもちろん、セリアーナにエレナそしてテレサも手伝っている。
ゴロゴロしているだけだが、俺も一応そこに居る事が多い。
一度ちらっと覗いた事があるが、その時は農家の陳情を商業ギルドが一括して持って来ていたヤツだった。
詳しい内容はわからないが、代官や文官の数が揃うまでは領主自らが片づけなければいけないから大変だ。
そして、その大変な中シュッシュッシュと爪をやすりで磨く音が響く。
冒険者ギルドでの話を終え屋敷に戻ると、一先ずシャワーを浴び着替えてからこの部屋にやって来た。
今日はオーギュストもこちらで仕事をしていて、騎士団の者が先程から何度も出入りしている。
そして、彼の副官のミオと1番隊の隊長リックがやって来て、商隊の到着の報告をしたところで何となしに小休止になった。
そこで、タイミングを上手い感じに見計らい支部長に頼まれた一つ目の事を話した。
大型の魔物が森の奥にいるようで、魔物の生息位置が少し変わっている。
他所からやって来た冒険者が奥に行き過ぎてこのままだと死者が増えそうだ、と。
それを聞いたセリアーナは一つ大きく息を吐くと……。
「馬鹿が死にたいのなら好きにさせればいいでしょう?」
どうでもいい様に言い放った。
俺の予想は大笑いした後不機嫌になる、だったがこれはただ興味が無いだけだな。
新人の時は、新人だからって事で彼女の許容内だったんだろうけれど、死んだ連中やこれから死にそうな連中は自己責任って感じか……。
まぁ、基準はある意味はっきりしている。
だが、この空気はどうしようか……。
エレナは慣れたもので気にせずお茶を飲み、テレサは俺の爪を切り、その後やすりで磨いている。
この世界の爪切りはニッパーの様にごつい物で、少々俺は扱うのが苦手だったのでやってくれるのは嬉しいが……、この空気に全く動じないのは流石というかなんというか。
リーゼル付きのカロス達やオーギュストも平然としているが、リック達は駄目だな。
何とか隠してはいるが、キョドっていたのを俺は見逃さなかった。
「欲にかられた冒険者が命を落とす事は珍しくないが、領地の今後の発展には彼等の協力は不可欠だろう?何の手も打たずにただただ彼等が死んでいく様では、いくら稼ぐことが出来ても敬遠されてしまうよ」
部屋の雰囲気を変える様に、リーゼルがセリアーナに笑いながら話しかける。
「セラ君」
「ほい!」
何か指示を出すのかな?
と思っていたら俺に来た。
「この話はカーン支部長から聞いたと言ったね?」
「そです」
「なら僕らに話を聞かせる事が目的なんだろう。自分の立場では手を打ちづらいから後押しが欲しいと言ったところかな?」
「御明察……」
放置するならそれでもいいとも言っていた事は黙っておこう。
「面倒な事をするのね……」
呆れた様に言うセリアーナ。
「そうだね。でも、冒険者の活動を冒険者ギルドの支部長が制限するわけにもいかないだろう?さて……それじゃあどうしようか、団長殿?」
「よろしいでしょうか!」
リーゼルに話を振られたオーギュストが何か言う前に、今まで黙っていたリックが口を開いた。
もう立ち直ったみたいだ。
「なんだい?」
「はっ!その件1番隊に任せていただけませんか?」
「ふむ……どうかな団長?」
「リック隊長。どう対処するつもりだ?」
「はい。死者は他所の冒険者ですし、そういったもの達は冒険者ギルドに集まります。ですから、まずはそこに1番隊から人をやり注意喚起を行います。10日も続ければほぼ全員に伝わるでしょう。合わせて、森の巡回も行います。言葉だけでは足りなくても、狩場で兵士の姿を見せれば抑止力になります。丁度護衛で外に出ていた者達が戻っていて、人員に余裕がありますから通常業務にも支障はきたしません」
そつの無い模範解答って感じだ。
オーギュストも特に指摘する点は無いのか頷いている。
「いいだろう。この件は1番隊に任せる」
「はっ!」
リックは一瞬こちらを見るも、すぐに姿勢を正しこの任を受け取った。
なんだろう?
2番隊をライバル視しているんだろうか?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】13枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




