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ジグハルト達との話を終えた後は夕食だったが、王都からの帰還に結婚、新領地や騎士団の設立に団長他就任の祝いなども兼ねたちょっとした晩餐会となった。
珍しく同席したが俺は酒を飲まないし場所が談話室に移動したのを機に退散したのだが、テレサも部屋まで送りについて来た。
セリアーナの部屋だし必要ないと言ったんだが……侍女ってそういうもんなんだろうか?
「朝はどうしますか?」
着替えを終えるとそう聞かれた。
起こしにも来てくれるのか……。
「起きるまで寝てるから、起こさなくていいよ」
「わかりました。それでは……」
「ちょい待った!」
部屋から下がろうとしたところを呼び止めた。
今は2人しかいないしいい機会だ。
「あのさ、何でオレの侍女なんかやる事になったの?」
親衛隊ってのは家柄も実力もついでに容姿も採用基準に入っているとか。
この国の女性の上澄みと言っていい。
セリアーナは、新公爵夫人で今後この国どころか大陸東部の主役になり得る人物だ。
彼女の侍女にって言うなら、親衛隊を辞してもなる価値はあるかもしれない。
だが、俺となると……一応今回騎士待遇にはなったが、大分見劣りする。
「そう言えば聞いていないのでしたね……」
「聞いてないのですよ……」
そうですね、と少し思案するそぶりを見せたがすぐに話す気になったようで、こちらに向き直った。
「襲撃を受けた際の護衛は私達の任務でした。そして私達の働きはどうあれ、襲撃を受けセラ殿が怪我をするという事態になりました」
「うん」
結果だけを見ると確かにそうだ。
「貴方の弁護もあって、我々は罰せられることはありませんでしたが、あの3人の中から、貴方の側に1人つくようにと上から言われたのです。そこで私が立候補したという訳です」
それは左遷というよりも……。
「罰みたいなもんじゃないの?嫌ならオレの方から奥様に伝えるよ?」
俺より強い人にいやいや側にいられても困るぞ?
「いえいえ。確かに切っ掛けはそうですが、私にとってはむしろありがたい申し出でした」
「そうなの?」
「はい。私は今年で26になりますが……色々家が煩くて。結婚も否定するつもりはありませんが、私はもっと外に出たいのです。親衛隊でも私より年上や同年代で独身の者はいませんでしたから、上から縁談話を持ち掛けられもしていました。それを断り続けて、少々肩身が狭くなってきていたのも事実です」
親衛隊も良家の息女を集めているのに、あそこに入ると婚期を逃すとか言われたら困るから、そういった事もあるか。
……仕事好きのキャリアウーマンって感じの人なのかな?
「セラ殿の副官と親衛隊、王都と場所も含めて違いはありますが、不満はかけらもありません」
明かりを落とし少々薄暗いがそれでも笑みを浮かべているのはわかる。
罰で嫌々って事は無さそうでよかったよかった。
「……そう言えば、あの兵士とかはどうなったか知ってる?捕まって尋問されたってのは聞いたけれど」
「……確か、運が悪ければ1年は牢に繋がれたままになると聞きました。管轄が違ったので詳しくは知りませんが、4人とも同じような処分のはずですよ」
未遂とは言え強盗致傷だ。
軽い様な気もするが、まあ、女に騙されただけの馬鹿って判断なのかな?
「そか……ありがと」
「はい。それではお休みなさい」
テレサは頭を下げ、今度こそ部屋を出て行った。
◇
セラに話した内容は嘘ではないが、正確ではない。
まず自分が親衛隊を辞めたのは、あの地下牢へ襲撃犯達の顔を見に来たセリアーナが、人の入っていない牢を前にして、我々3人に1人選べと言った。
2人の顔が青ざめていた事、自分が年長で代表だった事。
家が王妃殿下の実家の分家であることから、それ程厳しい処分は受けないと期待できたことから自分が立候補した。
あの犯人達は……まぁ記念祭まではもたないだろう。
この状況は少々想定外だったが、親衛隊が少々居心地悪くなっていた事は事実。
そして、かつては騎士団入りとエリーシャ様の侍女と天秤にかけた過去もある。
少々奇矯な所もあるが、気の良い少女だ。
侍女という役割も悪くはない。
「奥様」
談話室に入るとすぐにセリアーナと目が合い、そちらへ向かった。
「ご苦労様。セラとは何か話して?」
「何故自分の侍女になったのかを聞かれたので、上から言われたと。後は襲撃犯達がどうなったのかもです。聞かされていなかった様なので、1年程牢に繋がれたままかもと適当に濁しておきましたが……」
「結構。貴方も掛けて楽にしなさい」
問題は、この方の奥がわからない事か……。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




