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「なあ、セラが副長に就くのはわかったが……、今と何か変わって来るのか?わざわざ俺達を呼んだんだ。顔見せだけって事じゃ無いんだろう?」
ジグハルトがセリアーナに先を促す。
個人的にはもう少し聞きたいこともあったが、それは後にするか……。
ここは大人しく下がろう。
「それが目的の一つではあるのだけれどね。今までの様にゼルキス領の一都市では兵数に限界があったから冒険者の負担が大きかったけれど、独立した領地になった事で騎士団を持てるようになったわ。今も領内の各地に拠点の設営が進められているけれど、防衛に冒険者が駆り出されているでしょう?それを兵士に任せられるようになるわ」
「それは良い事だけれど、簡単に増やせるものなの?数だけ増やしても簡単に減っていくわよ?貴方達が王都に行っている間に冒険者の中から採用していたけれど、これ以上は無理よ」
「強いもんね……この辺の魔物」
減っていくってのもエグイ表現だけれど、王都近辺の兵士とかあまり強くないものも多かった。
その分礼儀正しかったりはしたが……この街の兵士は礼儀は今一だが、その分一般兵でも中々の強さだ。
街の外での活動も視野に入れるのなら、ただ数を増やしても意味が無い。
「大丈夫。王都の騎士団で、周辺から兵士を募って鍛えた後にこちらに送ってもらう手筈が整っているわ。今年は間に合わないけれど、来年の春には仕上げてくれるはずよ」
「……よく王都の騎士団が引き受けてくれたわね。ああ……確かアリオス卿がユーゼフ総長と親しかったわね」
セリアーナはそのフィオーラの言葉に肩を竦めている。
「その伝手を頼って依頼するつもりだったのだけれど……」
「なに?」
言葉を区切りこちらを見てくる。
「セラが騎士団に貸しを作ったの。選抜と鍛錬、装備一式とで帳消しね」
「……ああ……アレか。吹っ掛けすぎじゃない?」
騎士団から相応の物を貰うとか言っていたけれど、これか。
「上層部の首と考えたら妥当な所でしょう?」
「……なにをしたんだ?」
ジグハルトは話を聞き訝し気な顔を見せる。
そりゃー、なにしたんだ?って思うよな。
「セラが離宮で城勤めの兵士達に襲撃を受けたの」
「……1人でいたのか?アレクはどうした?」
「丁度式のタイミングでしたから、俺もエレナもそちらについて居たんです。流石に無いだろうとは思いつつも護衛を付けていたんですが……見事に隙を突かれました」
ジグハルトとフィオーラ、2人揃ってマジかよって顔をしている。
「それなら……まあ妥当か」
「でしょう?そして、これが本題。貴方達のどちらか、出来れば両方が良いのだけれどアレクの副官について欲しいの。今後は冒険者と騎士団との連携が必要になるけれど、アレクの居ない場でその両方に顔が利くのは貴方達位でしょう?肩書きなんて関係無しに、必要なら指揮を執ってくれるのはわかっているけれど……」
「騎士団が関わって来るんならそっちの方が面倒が無いか……副官と言ってもこのままでいいんだろう?いいぜ。引き受けよう」
特に悩むそぶりも見せず引き受けるジグハルト。
「そうね。別に権限を使ってもいいんでしょう?それなら私も構わないわ」
同じくフィオーラも。
決断早いな……狼狽えてた俺は何なんだって感じだ。
「助かります。今後は活動する範囲も広がって領都にいるんじゃ目が届きませんからね。俺も2人が居てくれるのなら安心できます」
「アレク。冒険者にもいろいろ声かけてたけれど……彼等じゃ駄目なん?いや、オレも何かあった時は2人の方が頼りやすいから良いんだけれど……」
「ん?そんな事は無いさ。ただ冒険者と騎士と立場が違うからな。揉めた時には力尽くでも解決できる人の方がいいんだ。それに冒険者の本番はダンジョンが出来てからだからな。管理こそ騎士団が行うが、探索の主力は冒険者だろう?今のうちから外でまで彼等の権限を増やすのもな……」
既に中間管理職の苦労を……。
ジグハルト達なら誰も口出しできない上にそこまで無茶はしそうにないしな……、適任か。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




