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「セラ殿っ!」
「ん?」
どう突破してやろうかと考えていると、本館から早足でやって来た兵士に呼び止められた。
「領主様が話があるようです。執務室まで来るようにと……奥様や皆様もお待ちです。お急ぎを」
「む。りょうかーい」
皆様って誰だろう?
そしてこいつは何でこんな俺に対し丁寧に接してくるんだろう?
いつもはセラって呼び捨てだったのに……。
まぁ、行けばわかるか。
「旦那様の執務室だね。オレ先に行くよ?」
屋敷内では緊急時を除けば兵士は走るのは禁止されている。
鞘に入れてはいるが剣を下げているし鎧も身に付けている為、ぶつかったら怪我をさせてしまう。
急ぎだって言うなら俺が1人で行った方がいい。
「はい。よろしくお願いします」
……何があったんだろう?
そんな事を考えつつ天井近くまで高度を上げ、一気にかっ飛ばしリーゼルの執務室の前まで行くと、ドアの前に兵士が立っている。
その彼が俺の姿を見ると、中に声をかけそしてドアを開いた。
……なんだこの扱われ方?
「失礼しまーす」
◇
部屋の中にはリーゼルが執務机に着いていて、その前にオーギュストと騎士の2人に初めて見る女性。
それに冒険者ギルドの支部長までいる。
それと確か財務と資材調達とかを担当している文官が2人。
ソファーに座るセリアーナと、その側にはいつの間にか戻って来ていたアレクとエレナ、セリアーナの対面に座るテレサが。
「……なにすんの?」
ジグハルト達はいないが、この領地の戦力が集まっている。
緊迫した様子は無いけれど、また大物でも出たんだろうか?
「呼び立てて悪かったねセラ君。屋敷を見ていたようだけれど、何か変わった事はあったかい?」
「北館に入れなかったよ……?」
「はっはっはっ。それは諦めてくれ。まだ利用者はいないがなんといってもこんな土地だ。多少粗暴な客もやって来るから不必要な揉め事を避ける為に、あそこは使用人ですら女性は立ち入り禁止にしているんだ」
「なるほど……」
言葉は濁しているが何かあったら大変だし、それなら最初から男性のみで運用できるようにしているんだろう。
なら近づかない方がいいか。
「挨拶はその辺にして、セラ。こちらに来なさい」
「はいよ……む?」
セリアーナの後ろに行こうとすると、途中でテレサに捕まりそのまま膝の上へ。
「そこで聞いておきなさい」
……何を?
「よし。集まった事だし話を始めよう」
俺のこの状況は問題無いのか、リーゼルが席から立ちこちらにやって来た。
「今回リアーナ領の騎士団が陛下に承認され正式に設立された。編成は君達に前もって話していた通りだ」
「ふむふむ」
皆は聞いていたようだが、俺は何となくしか知らない。
「まず騎士団団長はオーギュストだ。今まではゼルキス領も含めて動いてもらっていたが、今後は領都に留まってもらう事が増える。皆留意しておいてくれ。副官はミオだ」
あの女性はミオというのか。
「はっ!」
一番上がそうそう動いちゃ駄目だよな。
彼は他所の拠点やゼルキス領都との連携を取るために動き回っていたけれど、今後は2人のどっちかが就くのかな?
「リックは騎士団の1番隊隊長だ。領内の騎士や兵士を纏め治安の維持に努める様に。オーギュストが今までやっていた仕事だな。また1番隊の副長としてアシュレイ、君が入るように」
この2人とはたまに会って挨拶するくらいの関係だったし、関係無いな!
彼等が1番隊って事は……。
「2番隊隊長はアレクシオ、君が務めてくれ。冒険者ギルドと連携を取り魔物の対処にあたるように。仕事の内容は今まで通りで構わないが、有事の際は君に指揮を執ってもらう。昨年の冬程の規模はそう無いだろうが、頼むよ」
「はい」
この事は俺も前もって聞いていた。
アレクが王都やゼルキス、そしてここでも冒険者と色々交流を重ねてきたのはこのためと言ってもいいくらいだしな。
ジグハルトやフィオーラもいるし、ちょっと離れた場所になるけれどルバンもいる。
安泰だ。
「それと、冒険者ギルドは領主の直轄になるが支部長は君の隊の所属だ。上手く使ってくれ」
「ぉぉー……」
冒険者ギルドはこの領地での最大戦力だ。
領主の直轄だけれど、そこの長を部下に出来るってのは結構な権限じゃないか……。
副長や副官がいないって事は、支部長が実質そこに入るのかな?
「そして副長はセラ君だ」
思ったより大きいアレクの権限に驚いていると、もっと驚く言葉が飛び出した。
「待って⁉」
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




