243
「んで、わざわざテレサさんを呼びに来させたけれど、まだ寝そうにないよね?何か話でもあんの?」
アレクの件はエレナに任せておこう。
夫婦喧嘩に発展しても俺は知らん。
2人とも……テレサも入れたら3人か。
まだまだ寝そうにない。
【隠れ家】に入ろうにもテレサがいるし……まぁ、頑張れば部屋が明るくても眠れるけれど……。
「ええ。と言っても大した事じゃ無いわ。ここからの予定を伝えるだけよ。エレナ」
「はい」
エレナが返事をし、地形と街が記された地図を広げた。
「日程は行きと同じで9日間の予定ね。4日かけて海に出て、そこから3日かけてマーセナル領領都へ。そこでエリーシャ様達は船から降り、私達はさらに2日かけてオズの街へ。そこで船での移動は終わりだね」
トントントンと指しながら説明を続けていく。
「……東に向かうのにかかる日数は一緒なんだ」
海流は東から西に向かって流れている。
川はともかく海はその流れに逆らっているのに……。
「船を進めるのに風や海流を無視する魔道具を積んでいるんですって。魔力を大分使うそうだけれど、可能らしいわ」
「ほほぅ……」
スクリューみたいなもんかな?
「セラ殿、腕を上げてください」
「あ、はい」
この船の科学かファンタジーかよくわからない性能に感心していると、テレサに服を脱がされた。
そして棚に突っ込んでいる俺の着替えを取りに行っている。
「後は陸路でいつも通りのルートを使って帰還。ただ、ゼルキス領都は滞在は1日の予定だったけれど、面会希望が想定より多くて、2日……もしかしたら3日間になるかな?報告の日付は一月前だけれど、今はさらに増えているかもしれないね」
「それと船に乗っている間に、エリーシャ様とお母様達から【ミラの祝福】を受けたいと申し出があったわ。私達の為にわざわざ王都にまで足を運んでもらったし、引き受けて頂戴」
セリアーナもエレナも、テレサの行動を気にもせず話を進めている。
彼女の扱いはあれで良いのか……。
まぁ、いいか……話を進めよう。
「了解。先に降りるし順番はエリーシャ様からかな?」
「そうね。エリーシャ様から順に海に出る前に終わらせましょう。今回報酬は私が払うわ」
「別にいらんけど……貰っとくよ」
相変わらず律儀だ。
「失礼します」
テレサは一人マイペースに持って来た着替えを俺に着せている。
両腕を上げ袖に通すが……見覚えの無い服だ。
「ねぇ……こんなのあったっけ?」
自分で用意しているのは【隠れ家】にしまってある。
それ以外はセリアーナが用意した物だが、彼女の趣味か俺に合わせているのかわからないが、飾り気のないシンプルなものが多い。
ただこれは……夏だからか透けてはいないが随分薄い。
そして、レースにリボン。
色も薄いピンク……誰の趣味だ?
「私が選びました。よくお似合いですよ?」
とテレサ。
「あ、はい……」
今度は俺の髪を結っている。
こ……この人がよくわからんっ!
◇
船旅は天候にも恵まれ予定通りに進んだ。
海に出た時は雨季を過ぎても変わらず荒れていたが、セリアーナは俺を抱え【浮き玉】を使用し続け、テレサは本人も言っていたように船酔いは平気な様だった。
他の女性陣は変わらずグロッキーだったが鍛えているからか、エレナも本調子とは言えないものの行きに比べ随分マシなご様子。
そして、ゼルキス領のオズの街に到着し、進路は領都へと。
到着したゼルキス領都の領主屋敷には3日滞在した。
セリアーナ達への客は人数こそ多かったが、やる事は祝いの言葉と贈り物を受け取り顔と名前を覚える事だ。
その事は相手も了承しているし、テンプレートに沿ったやり取りで済ませられる為、さくさく流れ作業の様だった。
その間俺は相変わらず客を横目に部屋でグータラしていた。
さらに、親衛隊のテレサも同席していた為、セリアーナの株はさらに上がっただろう。
そしてそして、ゼルキスでのやるべき事をすべて終えて、いざ領地へ向かう日となった。
……何の感傷も無いな。
俺はもちろん、隣の領地とは言え一応家を出ることになるセリアーナもドライなものだ。
「随分あっさりだよね……?」
「ふっ……、私の人生はこれからが本番なのよ?むしろ待ち望んでいたくらいだわっ!」
何とも男前な事で。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




