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早朝、離宮前に整列する騎士達。
その前で訓示を述べているのは騎士団総長のユーゼフだ。
「ねー……随分いるね。何人くらいだろ?」
馬車の窓から顔を出し、すぐ側に控えるアレクに聞いてみた。
「3隊いるからな……50近くだ。それに俺達が連れてきたのと、エリーシャ様達の騎士も入れると……70位になるな」
「わお……」
ちょっとした討伐部隊だって言っても通じそうだ。
「王都圏内の移動でこれだけの数を動かすことはそうそうないからな……。ユーゼフ総長が同行しなければ反乱と間違えられてもおかしくは無いな!」
物騒な内容なのに、心なしかアレクの声が弾んでいる気がする。
こいつもしかして……。
「ねぇ……アレク君?君ひょっとしてワクワクしてない?」
「ん?まあな……総長の直轄部隊なんて、そうそうお目にかかれないからな……お前もよく見ておけよ?個人では上がいても部隊ではあれがこの国の頂点だ。」
「ふぬ……」
アカメにシロジタ、【妖精の瞳】フルで発動し、整列する彼等を見てみると……。
「……?強い事は強いけれど……そこまでなの?」
「ああ。傭兵をしていた頃に何度か見たことがあるが、見事なもんだぞ」
アレクは絶賛しているが、彼等よりも俺の向かいに座っているテレサの方が上だ。
まぁ、あくまでこれは身体能力や魔力だけで、練度なんかはわからないが、その辺の違いなんだろうか?
ところで……何で彼女は馬車の中にいるんだろう?
◇
2か月以上滞在した王都をいよいよ後にした。
自前で用意したゼルキス領や旧ルトルの騎士だけでなく、王都の騎士団の精鋭も道中の護衛についている。
流石に東部に比べずっと安定している王都以西で襲撃があるとは思わないが、それでも念の為だ。
襲撃の件は上手く内々に収める事が出来たが、ここで再び襲撃を受けてさらに被害者でも出てしまえば、今度はもうどうしようもないからな……。
ユーゼフも必死だ。
もちろんこの大部隊のメリットもちゃんとある。
帰りも行きと同じルートを通っているが、船に乗るアルザの街まで行きは2日かけた道のりを、1日でクリアする。
強行軍ではあるが、折角の大所帯、幸い季節は夏でもあるし日が落ちるギリギリまで粘れば船に乗るアルザの街まで辿り着けるはずだ。
仮に間に合わなくても、この大所帯なら少々の事が起こっても大丈夫だろうし、夜の移動も問題無い。
行きで挨拶をしたとは言え素通りするのはあまり良くない事だろうが、各地の代官達もこの陣容を見れば何も言えないだろう。
実際昼食時に滞在した村では、そこの村長が青褪めながら挨拶にやって来ていた……。
やましい事が無くても怖いもんは怖いんだろうね。
そして、あの村長が恐れた武力の一端が今俺の眼下で繰り広げられている。
「……おおー」
ついでにアレクがやたら高く評価していた事もだ。
魔物は獣に比べると能力が高い。
その分好戦的ではあるが、知恵も高く慎重だったりもする。
数が多いだけだと襲ってくることもあるそうだが、武装した人間がこれだけいるとたとえ縄張りに引っかかってもちゃんと避けている。
ただし、稀にパニックになり逆に全力で襲ってくる場合もある。
正にそれが今だ。
もうすぐ目的地に辿り着くという所で、初戦闘だ。
だが、セリアーナが気付いた時には既に騎士達も察知していたようで動き始めていた。
アレクに声をかけられ俺もすぐ上空へ移動したのだが……。
側面についていた1隊、10数騎だけが向かっていた。
そして、それぞれが魔法をポンポン撃ちつつ、上手くまとめ……気付けば50頭近い魔物の群れを、10数騎で包囲していた。
そして、その包囲の中に数騎が入り込み、1度の魔法の一斉射撃で倒せる程度に適度に分散させている。
圧倒しているのに、全く油断しない可愛げのない強さだ。
10分かからず殲滅してしまった。
余韻に浸る事無くこちらに向かって来ている。
「あれ?総長ー」
「む?何かあったか?」
「いや、魔物倒したはいいけれど、放置しているけどいいの?」
数頭程度ならともかく、あの数だとアンデッド化の可能性もあるはずだけれど……。
「ああ……、このままアルゼに向かい、そこの冒険者ギルドに報告をするのだ。そうすれば明日の朝には処理の依頼が出ているはずだ」
「へー……」
まぁ、いちいち騎士が足止めて死体集めて焼いたり、街まで運んだりは効率が悪いのかな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




