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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
8章・再び王都でアレコレと。

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内部も螺旋構造になっているのか、奥に進みながら何度か通路を折れて行き、そしてようやく辿り着いた最奥部は6つの牢があった。

そこには、ここに来るまでは見なかった中を監視する兵士がいる。

牢内に人が入っている証だ。


「ご苦労。……ここに4人それぞれ収容されている」


兵士に挨拶をし、一番手前の牢の中を覗くと、手枷を鎖に繋がれ壁にもたれ項垂れている男がいる。


「随分消耗しているが……それ程苛烈な取り調べをしたのか?」


ユーゼフにリーゼルが尋問の様子を訊ねているが、私も同じ疑問を覚えた。

多少は血で汚れているが衣服が破れているでも無く、拷問を受けているようには見えない。

長期間収容されているならともかく、今日で2日目だ。


こちらの話声に反応したのか呻き声をあげているが。ここまでなるだろうか?


ユーゼフは天井を指差し口を開いた。


「アレだ。朝から晩まで一日中この明るさだからな。加えて尋問も受けている。慣れるまでは眠る事は出来んだろう。慣れたところで1時間おきに起こすから、碌に休息はとれんだろうがな。ここは本来収容されるのは外国の貴族がほとんどで、面会に訪れる者も居る。たとえ処刑待ちとは言え、あまり痛めつけた姿を晒すわけにもいかんだろう?」


「なるほど……」


常にこの明るさなら睡眠など取れないだろう。

数年前、従魔の違法取引で捕らえられた者達も、数日で随分消耗していたが、これだったのか……。


「手間が省けるのはいいわね。ウチにもあると便利かしら……?」


「うーん……まだ早いんじゃないかな?残念ながらウチにはここまでしなければいけない様な他国の者は来ないよ」


「それもそうね……」


精々商隊の護衛できた者達がケンカを起こす程度だ。

それならわざわざこんな施設を用意するまでもない。


つまらない……と思いながら牢の中を見ていると、外にいる私達に気付いたのか顔を上げる。

城内勤務だったそうだが、見憶えの無い男だ。


「……ぅ……」


疲労と寝不足だからか、うつろな表情だ。

このままでは話しても頭に入らないかもしれない。

それではわざわざここまで足を運んだ意味が無い。


側に控えている兵士に指示を出し、鉄格子を叩かせた。

大きな音が響くが中の男の気付けには丁度いいだろう。


「セリアーナ・リセリア・リアーナよ。随分絞られたようね?取り調べの内容は読んだわ」


同じ班の先輩兵士達から金になると誘われついつい乗ってしまったと、報告書にはあった。

運が悪いと言えばそうだが、愚かな事だ。

さっさと上司に報告しておけばよかったのに。


「私の望む答えじゃ無かったわ」


それだけ伝え次へ行こうとしたが、身を起こしこちらに近寄って来た。


「……⁉まっ……待ってくれ!話をっ……ぐっ⁉」


何か言いたげだったが、槍の石突で突かれ遮られた。

それでも何か喚いているが、もうこの男に用は無い。


このやり取りに気付いたのか、他の3人も鉄格子を掴みこちらを覗っている。

流石にまずいと思うのか声は上げていないが、縋るような目つきだ。


「彼等と何か話すかい?」


リーゼルはわざわざ彼等に聞こえる様に、やや大きめの声で言った。

報告書を読んでいるはずなのに……顔に似合わず人が悪い。


「私、嘘は嫌いなの」


最初の男は正直に吐いたようだが、この3人は色々誤魔化そうとしていたらしい。

そもそもこの3人が主導で、先の男に話を持ち掛けたのにもかかわらずだ。

もっとも、痛めつける事で3人とも春頃から親しくなった女性がいる事を吐いたそうだが。


「ああ、そう言えばセラに傷を負わせた者はどれ?」


ここに来たのは襲撃犯達の顔を見る為だが、それ以外にも一つ目的があった。


「右奥の牢だ。元班長で名は……」


「名前は結構」


ユーゼフの言葉を遮り奥まで行き、鉄格子越しに顔を見る。

尋問中に殴られたのか痣が出来ているが、それを除けば特徴の無いどこにでもいそうな男だ。


「あ……あの…………へへへっ……」


視線を泳がせたかと思えば卑屈な笑い声をあげている。


「はぁ……怒鳴る気も失せるわね」


見捨てられたとはいえ、この程度の者達に自分の暗殺計画の一端を担わせていたとは……度し難い。

思わずため息が漏れてしまう。


ここにはもう用はないし、さっさと外に出よう。

ああ、でも。


「その男の両腕を切り落としておいて頂戴」


この事を本人に伝えておくのを忘れてはいけない。


「そうね……あなたたちにも伝えておきましょう。尋問で何を聞かされたかわからないけれど、恩赦は無いわ。あなた達は、来年の記念祭で処刑される事は確定しています。そして、それまでは拷問の実験台……運よく治療が間に合わずに死ねる事を祈るのね?」


それを聞きサッと青褪めた。

言葉も出ない様で、小気味いい。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚

エレナ・【】・【緑の牙】・4枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] 騎士団長にお嬢様の怒りは向かないんですかね?
2023/06/25 10:24 退会済み
管理
[良い点] 可愛い妹分のセラちゃんが傷つけられて誘拐されそうになった わけですからお嬢様も怒りますよね。 拷問の実験台プラス両腕切断はいい気味です。 良かった良かった。 [気になる点] この誘拐犯の…
[一言] セラに手を出されてお嬢様キレ気味やな
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