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俺の様子から誰か来たことを察知したのか、立ち上がりドアの前、部屋の中央、そして俺の前へとそれぞれ移動した。
「何人かわかりますか?」
朝から何度も繰り返しているが、見る限り全くダレていない。
護衛が専門とは言え、大したもんだ。
「兵が4人。何か抱えているしまた荷物かな?歩いてこっちに向かって来ているよ」
「わかりました」
極表面的な事だけ伝えると、彼女達はドアに視線を向けた。
体力と魔力の大きさや魔道具の有無などもう少し詳しく伝えられるけれど、技量まではわからない……。
ってことで、伝えるのはそれらに異常があった場合のみと決めてある。
何かあっても対処できる自信があるんだろうが、俺は俺でこっそり小細工をしておく。
程なくしてドアをノックする音が。
「入りなさい」
ドアが開き、荷物を抱えた兵士達が入って来た。
彼等も朝から何度かここにやって来ている。
「お疲れ様です。またそこで良いですか?」
先頭の荷物の代わりに書類を手にした兵士がビシッと姿勢を正している。
荷物は部屋に運び込んだ長机に置いているが、そろそろ置き場が無くなって来ている。
セリアーナへの贈り物だし、勝手に床に置くわけにもいかない。
下手に重ねて破損させたら不味いし仕方が無いが、場所取っちゃうな……。
「ええ。送り主は国内か国外かわかりますか?分けて置いてくださいね」
「はっ。やってくれ」
彼は他の3人に指示を出し書類をテレサに渡した。
サインは俺がするが、まずは彼女が事前にチェックをしている。
主要な貴族や商会の情報が頭に入っているんだから大したもんだ。
「あら……?受け取ってから時間が経っていますね。何かあったのですか?」
書類と部屋に置かれている時計を見比べながらそう言った。
不備でもあったのかな?
「はっ。式の開始直前は城内への出入りを禁止されていた為、開始まで待機しておりました。急げば間に合ったかもしれませんが、中身に万が一があってはいけませんので……」
「ああ……そうでしたね。わかりました、これで結構です」
「はっ」
テレサから書類を受け取り俺の方へやって来た。
「こちらをお願いします」
「はいはい」
書類には荷の送り主と受け取った者の名前に所属先。
さらに受け取った時刻が記されている。
それと簡単にだが中身の情報もだ。
それ等を確認し、後は俺の名前を……。
「ぬっ⁉」
書類に目を通し、サインをするべくペンを取ろうとほんの一瞬目を横にした隙に手首を掴まれ、そしてそのまま俺を引き寄せ首を掴み、反転しテレサ達に向け突き出した。
「動くなっ!」
……あれ?
ピンチ?
油断したってわけじゃ無いけれど……完全に虚を突かれた。
「うぐっ⁉」
首を掴む手が外れたかと思えば、ゴキっとした音と共に両肩からやって来る激痛。
肩が折れたか外されたか……痛ぇ……!
「これで使えんだろう。いいか、妙な素振りはするなよ」
使えん……恩恵品の事か。
両手の指に【影の剣】と【琥珀の剣】をはめている。
【影の剣】の存在は隠してあるし、【琥珀の剣】の方だな。
今日は正装って事で色々身に付けているからどれがそうかわからなかったんだろう……両方やりやがった。
痛みで俯いていたが、怒りで少し紛れ顔を上げる余裕ができた。
前を見ると、一緒に部屋に入った3人が剣を抜きテレサ達親衛隊に向けている。
こいつらもグルか……いや本当にまともじゃないな。
手際はいいけれど、たった4人でこんなところで決起してどうするんだ?
普通に考えれば何か勝算があっての事だと思うが……。
例えば強力な魔道具やアイテム、スキルだ。
でも、魔道具は身に着けていないし、アイテムもそう。
スキルはわからないが、そもそも西側にとっては貴重なソレ等をこんな所で使い捨てるってのも変だ。
親衛隊の3人も相手が何をしたいのかわからないからか、動けないでいる。
動かれて首をゴキリと行かれても困るからそれでいいんだけれど……困ったな。
せめて首から手が離れたら天井にでも逃げるんだけれど、肩やられた時に無理にでも逃げるべきだったか?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




