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「……全部脱ぐの?」
一応頭では理解しているけれど、風呂でも無い所で素っ裸になるのはどうにも抵抗がある。
「はい。恩恵品は全て外されていることは確認済みですが、お嬢様には従魔の存在がありますので……」
聞き入れてもらえない様だ。
「アカメ君シロジタ君、君達が理由だって」
左腕に絡まるように巻き付いている2匹に向かってそう語りかけるが、相手してくれない。
「はぁ……」
仕方なく全部脱ぎ、それを渡すと今度は別の使用人が後ろに回って来た。
「失礼します」
そう言うと、髪の毛を頭のてっぺん辺りで結びさらにグルグルと巻いて行く。
お団子にしているのかな?
髪が垂れて背中に影が出来ないようにしているのだろう。
この徹底具合……よく教育されている。
流石王妃付き。
「それではご案内いたします」
戦技会も終わり、セリアーナ達の結婚式まで後1週間程となった。
最近は顔見せ程度の客も減り、代わりに彼女の友人達が離宮を訪れる事が増えた。
式に出席する為に王都にやって来たんだろう。
【ミラの祝福】を受けながらお喋りを楽しんでいた。
俺も相手が若いという事もあって、1時間ほど膝の上でボーっとするだけの楽な仕事だったのだが……、遂に大物から来てしまった。
王妃様からの正式な依頼だ。
俺を直接呼びつけると面倒な手続きがいるとかで、一応建前として、お茶会に招待されたセリアーナが連れている俺を見たエリーシャが、以前受けた【ミラの祝福】の話をし、王妃様が興味を示し、では自分も……といった流れだ。
もっとも俺は一直線に王妃様の部屋の向かいの使用人控室に放り込まれ、有無を言わさずこの有様だ。
◇
「よく来てくれました。初めまして、ね?」
前回の面会はプライベートルームだし、カウントされないんだろう。
「初めまして。セラです」
軽く会釈はしたものの腰に手を当て、立ったまま返す。
周りの人が少し狼狽えているが気にしない。
「あら?緊張しているのならほぐしてあげようと思っていたのだけれど……大丈夫そうね?」
エリーシャが笑いながら何かを揉むような仕草をしている。
「止めてよ……。この恰好で何を取り繕うのさ」
3人の他に、親衛隊の女騎士3人、侍女と使用人が合わせて8人。
キッチリした格好のその連中の中に俺だけ素っ裸。
……何かに目覚めたらどうしてくれるんだ?
「ごめんなさいね?従魔の事もあって、そうでないと侍従長が納得しなかったのよ」
何故か服を脱ぎながら王妃様が申し訳なさげに言ってくる。
シュミーズ?スリップ?キャミソール?
何て言うのかわからないが、それになっている。
「何故に王妃様まで服を……?」
服を脱いだ後は色々つけている飾りも外している。
ジャラジャラ沢山着けてんな……。
「痛いでしょう?」
「何が…………ぉぉっ⁉」
俺の為か!
「それは……すいません」
きつい印象の人だけれど、あまりおっかなくないのかもしれないな。
「構わないわ。セリア、貴方は普段はどのようにしているの?」
「私は就寝時に枕の様に抱いています。何もしなくても普段から微弱ですが効果がある様なので……。時間がかかるのであまり向いているとは言えませんね」
「……それで少女趣味とか言われているのね」
呆れ声のエリーシャ。
その噂王宮でも広まってるのか。
「他の方ですと、最近では座った膝の上に乗せています。エリーシャ様も船の上でそうされていましたよ」
セリアーナの説明を聞き考え込む王妃様。
立場がある人だから恐らく今日だけだろうし、効率のいい方法を探しているんだろう。
「セラ、貴方はどう?」
「……横になってもらって、その上にオレが覆い被さるのが一番集中できます。手も使えますし」
場所や時間に余裕があるのなら、まとめて広範囲をやる場合はこれが一番だと思う。
しばし俯き悩んでいたが答えを出したのか顔を上げこちらに向けてきた。
「……そうね。では、それでお願いしましょう。ベッドに横になればいいのかしら?」
「はい。仰向けにお願いします」
王妃様のベッドか……エリーシャのより良い物かな?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




