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「んじゃ、もういいかな?」
フィオーラへの対応について聞かれはしたが、恐らく何の参考にもならない返答を終えた俺は、もうここら辺でいいかなと訊ねた。
だが、クラウスはすぐに「いいえ」と首を振った。
「申し訳ありませんが、まだいくつか聞きたいことがあるのでお付き合いください」
「ふん? まぁ……いいけど、他に何かあるっけ?」
「近々セラ副長が兵を率いて一の森の捜索に出ると聞いております」
「……そんなに大袈裟なことじゃないけどね。それで?」
俺はその件をクラウスが知っていることに少々驚いたが、部屋の中を見ると職員たちに驚いた様子が見えないし、クラウスだけじゃなくて彼らも知っているようだ。
まぁ……そんなに大々的に行うことじゃないが、同行する者たちの魔道具の手配とかもあるし、商業ギルドに話が通っていてもおかしくはない。
しかし、商業ギルドが調査隊について聞きたいことか。
何か探している魔物でもいるのかな?
首を傾げながら、とりあえずクラウスに続きを促した。
「セラ副長から見て、今の一の森の魔物は脅威と感じますか?」
「……また曖昧なこと聞くね。あそこの魔物の強さは場所によって変わり過ぎるよ」
北と南。
浅瀬と奥。
生息している魔物もその強さも大違いだ。
それくらいクラウスもわかっているだろうに……何でまたそんな言い方をするんだろう?
すぐにクラウスが「失礼しました」と頭を下げてきたから、とりあえずそのまま話の続きを待つ。
「セラ副長たちが見て回る範囲の魔物です。我々も詳しい話は聞いておりませんが、戦闘は主にセラ副長が担当されるのでしょう?」
「森にはオレしか入らないから、まぁ……そうなるね。森から出た魔物に関しては任せちゃうけど……」
そもそもあくまで魔物一体を探すために森に入るのであって、極力戦闘は避ける方針なんだが……一先ずそれは伝えずに話を続けることにした。
「とりあえず見て回るのは浅瀬が中心だし、奥に入るにしてもそこまで踏み入る気はないからね。その辺で遭遇する魔物程度なら余裕だね」
浅瀬に出る魔物は小型の群れか……いても少数の中型ばかりだ。
足が治って普通に戦えるようになった今は何ら脅威にはならない。
さらに。
「たまに大規模な群れにぶつかることもあるけど……適当に倒していって離脱するくらいは出来るし、今回オレが行く場所は何も問題ないね」
そう言うと、クラウスは「なるほど……」と頷いてから、こちらを見る。
「セラ副長の隊に同行する者たちですが、そこに新しく加えることは可能ですか?」
「新しく加える……って、商業ギルドが雇ってる冒険者たち?」
「ええ。私共で上等な装備を揃えておりますし、任務の際に持って行く消耗品の類も用立てます。それに、彼らは旧ゼルキス領の時代から活動しておりますし、腕にも問題はありません。如何でしょうか?」
「如何でしょうか……って言われてもね……」
クラウスが言う通りなら装備に関しては問題ないだろう。
商業ギルドに加盟する商会はリアーナの腕の良い冒険者たちに武具を卸しているわけだしな。
んで、ポーション類の消耗品も大丈夫……と。
商業ギルドが腕を保証するくらいだし、一の森の魔物相手の戦闘も……まぁ、こなせるんだろう。
ウチに余計な仕事が増えるわけでもないのに人手が増えるのなら断る理由はないのかもしれないが……。
「駄目だね」
俺がそう断ると、クラウスはすぐに「信用出来ませんか?」と訊ねてきた。
騎士団とも冒険者ギルドとも行動を共にする機会がない、商業ギルドの雇われ冒険者たちの能力が信用出来ないってのは確かなんだが、駄目だと言っただけですぐに信用出来ないって返してきたのが引っ掛かって、クラウスに答える前に一度「?」と首を傾げて間が空いてしまった。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




