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領主の屋敷の防衛も兼ねている騎士団本部やダンジョンの警戒も兼ねている冒険者ギルドには、当然騎士団から地下の警備のために兵が派遣されている。
だが、商業ギルドの地下通路の出入り口にも、一応警備は置いていたりする。
ただ、騎士団本部や冒険者ギルドと違って、騎士団の兵じゃなくて商業ギルドが自前で用意している者たちだ。
何時だったか冒険者ギルドで彼らについて聞いたことがあるが、身分的には冒険者でも、彼らのほとんどが生粋の地元の冒険者ってわけじゃないらしい。
元々は商業ギルドのお偉いさんが他所に出向く際に道中の護衛に雇っていた冒険者たちが、雇い主が偉くなっていくにつれて彼らの役割も、遠方に出向く際の道中の護衛から店や屋敷の護衛に変わっていったそうだ。
偉くなれば自分が出向くよりも出迎える側になるしな。
んで、そういう連中が商業ギルドの護衛も引き受けているんだとか。
だから。
「これはっ……!? セラ副長、当ギルドに御用でしょうか?」
ココの護衛たちは俺とも係わりがほとんどないだけに、滅多に地下通路からこちらにやって来ない俺を見て一瞬身構えていた。
流石にヤバいと思ったのか、すぐに構えを解いて頭を下げてきたが……随分と警戒しているみたいだ。
騎士団本部と冒険者ギルドの方の警備はウチの兵が担当しているし、二番隊の隊員たちも含めて何かと一緒に行動する機会もある。
そもそも、冒険者ギルド自体が騎士団の傘下組織だし、互いにお仲間意識は結構持っている。
一方商業ギルド側は依頼や売買で関わることはあっても、そこまで仲間意識ってのは持てていないはずだ。
そこに雇われている彼らもそう考えているみたいだ。
俺からしたら商業ギルドの地下出入口なんて、わざわざ警備を置く必要はないと思うんだが……そう簡単な話じゃないんだろう。
まぁ……俺にはどうでもいい話だ。
緊張している警備に近付いて行くと、リーゼルから受け取った書簡を見せた。
「旦那様からそっちの支部長にコレを頼まれたんだ。いるよね?」
「クラウス支部長ですか……。今日はこの通路は利用していませんが、中にいるかどうかまではわかりません。確かめて来ましょうか?」
「いや、いないならいないで誰か代わりの人に渡してくるから、中に入らせてもらうよ」
俺がそう言うと、彼はもう一人に目配せをした。
その彼は頷くとこちらに一歩進み出た。
「それでは自分が案内いたします。ついて来てください」
「うん……お願いするよ」
一見親切心からの申し出だが……どうにも俺を見る目つきが鋭いし、随分警戒されているみたいだな。
俺の立場と彼らが持っている情報を考えたら、彼らの対応も無理ないのかもしれないが……まぁ、彼らにどう見られても俺には関係ないことだし、気にしない。
ってことで、中に入って案内を任せることにした。
◇
「セラ副長だ……」
「何かあったのか?」
「あの方はセリアーナ様の側近でもあるし、先日の研究所の件で抗議にでも来たのか?」
地下通路から建物内に入ってきた俺を見て、ギルド内の人間たちがぼそぼそと囁き合っている。
それほどデカい声を出しているわけでもないんだが、冒険者ギルドと違ってギルド内がそんなにうるさくないため、その程度の声量でも意外と俺まで聞こえてくる。
その内容だが……。
「フィオーラ様の件はあくまで街の商会の代理として行ったことだろう?」
「領主様から通達もあったし、違うんじゃないか?」
昨日の魔導研究所への面会の件がやはり多いようだ。
ちなみに昨日大盛況だった魔導研究所の訪問客だが……先程研究所の前を通った際には行列は出来ていなかった。
研究所内には普段より人の気配を感じたし、誰かが来ているのは間違いないんだが……この分だと昨日の問題は改善出来ているみたいだ。
それなら全然構わないんだが、彼らもフィオーラの怒りがどれくらいなのかわからないからか自信はないらしい。
俺から何か情報を得られないか、ジッと見ているのがわかった。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




