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「お早う。セリア、エレナ、セラ君。正直なところ、想定外の仕事が重なって人手が足りなかったんだ。少々予定より早いが、君たちが来てくれて助かったよ」
執務室に入ってきた俺たちをリーゼルが笑顔で迎えた。
執務室で働いている者たちも、廊下ですれ違った者たちと同様に緊張はしているようだが、それでもどこかホッとしたような表情をしているし……俺が思っている以上に仕事が溢れていたのかもしれない。
まぁ……例年通りだったとしても、間もなく雨季明けってこの時期は色々仕事が押し寄せてくるもんだ。
そんな中、今年は昨年の戦争の影響で何かと西部からの訪問客がハッキリしていないし、その対処に追われている。
さらに、北の森や一の森の魔物への警戒や対策も必要になってきている。
そして、止めは昨日から追加された来訪する冒険者への対応だ。
雨季明けの当初の予定が大分変更されているし、それを考えたらむしろ破綻せずによくもっている方だろう。
セリアーナは部屋の中を歩いて行き自分の席に着くと、一つ溜息を吐いてからリーゼルを見た。
「今年に限っては想定外の問題が多すぎるし仕方がないわ。もっとも……商業ギルドや街の工房に対しては貴方の名前の方が効くわけだし、私たちはあくまでただの手伝いよ?」
そう言うと、既に机の上にどっさりと用意されている書類に目を通し始めた。
「それでも十分過ぎるよ。もう少し文官を増やすことが出来たら、決裁する部署を分けたりして効率良く動けるんだろうけれど……今はまだ無理だからね」
リーゼルの言葉にセリアーナはまた溜め息を吐くと、視線を前に向ける。
執務室で働く文官たちを見ているようだが……どうにも表情は優れない。
「どこも人手が足りないわね」
「こればかりはね。領内から集めようと思えば……不可能じゃないけれど、全部をこの部屋に集めてもそれはそれで問題が出てしまうだろう?」
リーゼルが言うように、領都の執務室だけで全てが上手く回るのなら、領内の優秀な人材をここに集中させてしまえばいいんだが……商業ギルドや他の街の代官周りだったり……インテリの需要はいくらでもある。
ちゃんと領内全体に均等に振り分けないと、あっという間にリアーナ領が破綻してしまう。
まぁ……肝心のそのインテリたちは領主の執務室で働きたいと考えているかもしれないが……そこは上手いこと調整しないといけないし、実際やっているんだろう。
セリアーナもそのことがわかっているのか、「仕方がないわね」とひと言だけ呟くと、仕事に取り掛かった。
◇
普段セリアーナが執務室で行う仕事は主にリーゼルの補佐だが、如何せんリーゼルの仕事内容も色々あるため、補佐と一言で言っても、何だかんだでセリアーナも何でもやることになる。
一応先程言っていたように、今日のセリアーナの役割はリーゼルの作業の分担程度のつもりだったんだが……如何せんリーゼルの下に上がって来る量が多すぎて、結局はリーゼルの指示を待たずにセリアーナも勝手に処理を進めていた。
そして、本来セリアーナがやる役割はエレナが担っている。
セリアーナがエレナにアレコレ指示を出してはすぐにそれに応えていて、リーゼルよりも片付ける速度が上なくらいだ。
リーゼルも、昨日に比べたらほぼ倍の速度で仕事が片付いていくことで余裕が出来たようで、落ち着いて仕事が出来ている。
文官たちも、上の仕事の処理速度が上がったことでより作業が効率よく進められるようになり、昨日ほどバタついてはいなかった。
応接スペースで寝転がっている俺が偉そうなことは言えないが、やはり決裁を出来る者が増えると仕事が片付く速度は段違いだな。
セリアーナとエレナが仕事に復帰するからってことで、俺も一緒にここについて来たが……この分だと俺の出番はなさそうだな。
このままここでダラダラ過ごすだけになりそうだ。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




