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エレナと別れた俺は、リーゼルの執務室に向かうことにした。
相変わらず本館に入ると、ウチの人間以外の者の姿もよく見かける。
そこに今日は冒険者ギルドの人間も加わっている辺り、さらに忙しくなっているんだろう。
「流石にこっちの廊下に人が並んでる……ってことはないけど、それでもそこら中の部屋が埋まってるみたいだね」
先程までいた魔導研究所前の通路のように、順番待ちの客が廊下に並んでいる……ってことはなかったが、本館の会議室や談話室から複数の気配を感じる。
どうも一組一組じゃなくて、何組ずつかを纏めて対応しているみたいだ。
個別に来ているはずなんだが……こういう方法を採っている辺りこっちも大忙しだな。
この分だと執務室も人が溢れていそうだ。
「お疲れ様ー! 旦那様は中にいるね?」
「お疲れ様です、セラ副長。閣下は中にいらっしゃいますが……今日は少々仕事が立て込んでいるようです。入られますか?」
思った通り、執務室にも仕事で大勢の人間が訪れているようだ。
まぁ……オーギュストもリックもテレサも……ある程度リーゼルの仕事を代わりに処理出来る者たちが揃って騎士団本部に行っているし、各種ギルドの支部長たちも自分たちの方で忙しくてこっちには来れないだろう。
もちろん、執務室にはリーゼルのサポートをする者たちも揃ってはいるが……役職が足りていないし、結局最後はリーゼルが処理しないといけないんだよな。
……大忙しだ。
警備の彼は当然そのことがわかっているし、出来れば俺に引き返して欲しそうな表情をしている。
「うん。オレの用はすぐ終わるしね」
だが、それでも俺は中に入る。
もっと時間がかかる用件だったりしたら遠慮するが、今回はフィオーラの言葉を伝えるだけだしな。
向こうも困っているし、あの状態のフィオーラと話をする者たちも困るだろう。
警備の彼も俺を止める気はないようで、困り顔をしつつも「わかりました」と頷いて中に声をかけた。
◇
「やあ、セラ君。君一人なのかい? 騎士団本部からエレナと一緒だったと報告が来ているんだが……」
執務室に入ってリーゼルの下に行くと、いつものように声をかけて来た。
執務室の中は外で想像した通り、文官や外から来た者たちがそこら中で忙しなく協議をしている。
そんな中でもリーゼルは声の様子こそ普段通りだが……机の上に書類が散乱していた。
いつもなら、仕事が山積みでも机の上はキッチリ整理されているんだが、今日はそれどころじゃないみたいだな。
これは時間をかけずにパパっと済ませた方がいいな。
「エレナはちょっと雨に濡れたからオレだけ来たよ。オレはフィオさんからの伝言を持って来たんだ」
「フィオーラ……研究所からかな?」
リーゼルはそう言うと、机の上に散らばる書類の中から何かを探したいのか、アレコレと手に取り始めた。
そのリーゼルは気にせずに、俺は話を進める。
「こっちも忙しいみたいだけど、下の研究所もお客さんが多いんだよね。商業ギルドからの使いがメインなんだけど、内容はほとんど同じでフィオさんがウンザリしてるんだよね。一応ちゃんと紹介を受けて来てるから断れないし……」
「雨季明けに領都を訪れる冒険者たち用の消耗品を揃えるためだね?」
お目当ての書類が見つかったのか、返事をしながら書類を見ている。
「オーギュストやクラウスから報告があったんだ。各商会が冒険者を一時預かって運用してみてはどうか……って。そのための備えなんだろうが……一件一件相手をするのは確かに大変だね」
「そうそう。だから、旦那様から街の方に何か声明を出して欲しいんだって。フィオさんも仕事だからちゃんと話には応じるけど、それでももう少し効率よくしたいみたいだし、何組かを一纏めにして欲しいみたいだよ」
「今ここの訪問者たちもそうやって対応しているね。わかったよ。各ギルドである程度纏めてから来るようにと伝えておこう」
「おねがいしまーす」
俺はリーゼルの言葉にそう返すと、忙しいだろうから……と部屋をすぐに出ることにした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




