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騎士団本部からの地下通路を抜けて屋敷側の地下に入ると、こっちはこっちでやはり人が多かった。
ついでに、向こうは商業ギルドや冒険者ギルドの人間が多かったが、こっち側は騎士団と屋敷の文官たちが大半だ。
まぁ……屋敷か騎士団本部からの人間以外は、簡単に立ち入れる場所ではないし当たり前か。
「騎士団本部もだったけれど、こちらも相当だね。私たちは窓から出て来たけれど……屋敷もこうなのかな?」
すれ違う顔触れの変化にエレナが小声で訊ねてきた。
自宅の地下へも繋がっている通路だし、彼女も頻繁にここは利用するが……基本的に彼女は一度屋敷にやって来たら夜までいるから、昼間の通路の利用具合はわからないんだろう。
俺はここ最近の屋敷の様子を思い出しながら、彼女の質問に答えた。
「うーん……屋敷の方は商業ギルドとか、貴族が多かったよ。まぁ……ここを利用出来るからって全員が屋敷に入ってくるわけじゃないしね。それに、研究所に用がある人だっているしさ」
「私たちもそうだし……それもそうか。頻繁に利用しているし、自宅から繋がっている場所なのに……まだまだ知らないことも多いものだね」
感心するように通路の様子を眺めている。
「利用するって言っても、一日で行ったり来たりはしないでしょう。オレだって外に出る際は窓を使うことが多いから、ここはそこまで頻繁に使わないし、多分一番詳しいのはテレサだね」
同じ敷地内だし地図上の距離でいうなら目と鼻の先なんだが、実際には上下の移動があるし結構大変なんだよな。
俺はいつも浮いているから自分の足で歩いたことはないんだが、たまに屋敷の文官や研究所の職員と一緒に移動する際に、息が上がっている姿を目にしたことがある。
一日で何度も行き来出来る者となると……大分限られてしまうだろう。
エレナもそれがわかったのか、笑いながら「そうだね」と頷いた。
◇
通路を進んで行き、そろそろフィオーラが待つ研究所なんだが……。
「あら? 人が並んでいるようだけれど……彼らは研究所に用があるのかな?」
研究所の側であるこの辺りでは、普段だと研究所に向かう職員だったり各所からの伝令だったりは目にするが、通路に待機の列が出来ることはない。
答えられずに首を傾げていると、研究所から職員と文官らしき男が出て来た。
文官はそのまま屋敷のほうに歩いて行くが、職員は待機の列の先頭が部屋に来るように伝えている。
だが、その途中で彼は俺たちに気付いた。
「セラ副長? ……それに、エレナ様も。フィオーラ様に御用でしょうか?」
「うん……フィオさんに調べ物を頼まれていて、その報告なんだけど。忙しいのなら後でも構わないよ?」
職員の彼が、待機している者たちを置いてこちらに来ようとしたので、慌てて「後でもいいよ」と伝えた。
俺たちが外を見て回ったのは、フィオーラ直々の頼みではあったが……あくまで実際に雨が上がるかどうかを確かめて欲しかったからだ。
別にわざわざ俺たちに頼まなくても、適当に声をかければ十分情報を集めることは可能だが、騎士団本部でのアレクと一緒で、信頼出来る者からの情報も欲しかったんだろう。
必要だから頼んだんだろうが……だからと言って、何の用かはわからないが、列を作って並んでいる者を差し置いてまで伝えるほどのことじゃない……はずだ。
俺は隣のエレナに同意を求めると、彼女も頷いている。
「私たちは屋敷に戻っていると伝えてくれれば構いませんよ」
どうせ夜にはフィオーラは屋敷に戻って来るんだし、彼女が今忙しいようなら何も並んだりしなくても、そっちで話せばいいだろう……と思ったんだが。
「いえ、折角お二人が来られたわけですし、一度フィオーラ様に顔を見せて下さい」
エレナの言葉を聞いた彼は、何やら慌てた様子で俺たちを引き留めて来た。
「?」
揃って首を傾げつつも、俺たちはとりあえず彼の言葉に従うことにした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




