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騎士団本部に入って受付に顔を出すと、まずはエレナがいることに驚かれた。
普段からセリアーナの部屋で一緒にいることが多いから特に気にしていなかったが、何だかんだで彼女もVIPの一人だし、アレクの妻ではあるが普段は屋敷に詰めていてあまり街に姿を見せない人間だ。
冒険者関係を除けば、領都の人間と滅多に係わりを持たない俺に負けず劣らずのレアキャラだからな。
どこに行っても驚かれるのは、まぁ……理解出来る。
先程俺がこっちに来た時はまだ地下通路の利用者が大半だったが、今は数は多くはないものの地上の通常のルートを使って来る者も増えて来ている。
それでも、訪問者の応対で忙しいのに、わざわざ手を止めて俺たちのことを見ている。
ともあれ、兵たちの視線を集めつつ報告のためにオーギュストの部屋を訪れると、中にはリックの他にアレクとテレサも揃っていた。
オーギュストとリックはオーギュストの机の周りにいるが、アレクとテレサは応接スペースの方にいる。
揃って机の上に書類を広げているし、会議のために集まっているってよりは、各々の仕事をするためにここに集まったって感じかな?
しかし……リックとアレクは朝から騎士団本部にいたが、その状態でさらにテレサまで来ていたか。
余程の緊急事態……とかでも、むしろそういう時こそ各所にバラけるだろうからな。
リーゼルの執務室ならともかく、騎士団本部に集まるとなると……もしかして初めてか?
思わずエレナと顔を見合わせてしまった。
「皆さん勢揃いとは珍しいですね? どうかしたのですか?」
エレナが前に出てそう訊ねると、アレクが呆れたような表情で口を開いた。
「お前達二人が揃ってここに来ることの方が珍しいだろう。今は各所から騎士団への問い合わせが増えているからな。俺たちが一ヵ所に集まっていた方が都合がいいんだ。上の執務室でも良かったんだが……こっちの方が楽だろう?」
「緊急事態というわけでもないのに、執務室を開放することは出来ないからね。まだこちらの方が相談に訪れやすいかな? その代わり受付が大変なことになっているけれど……」
アレクと話していたエレナが、今度はオーギュストに視線を向ける。
「確かに人手が大分取られてしまうが、それも精々数日のことだろう? もっと長期間この事態が続くのならば、一ヵ所に集めて説明でもするが……今回はわざわざする必要はないな」
オーギュストの話に頷くと、今度はテレサに視線を向けた。
「私はこちらで冒険者ギルドの窓口代わりですよ。カーン支部長の手が空いていたら、彼にこちらを任せるつもりでしたが……流石に今の状況で彼が本部から離れるわけにはいきませんからね」
「まぁ……向こうにいなかったら困るもんね」
特に面倒臭そうな役割は俺が断っちゃったからな。
その分も彼がこなさなければいけないし、尚更離れることは出来ないんだろう。
「はい。もっとも……今日はこちらに来る人間は少ないようなので、私は彼らの手伝いが主な仕事になっていますね。それで……お二人は今日はどうしたのですか?」
「雨足が弱まり始めてるでしょう? その確認も兼ねてエレナと一緒に外を回っていたんだ」
俺はテレサの質問に答えると、先程まで見て来た外の様子を彼らに話すことにした。
◇
「……他所の人間が大人しいか」
エレナの補足も交えつつ一通り話し終えると、オーギュストがボソッと呟いた。
外で魔物と戦闘した件や、雨足も弱まっている件なんかも話したんだが……オーギュストにとってはそっちの方が厄介さは上らしい。
三人を自分の下に呼び寄せると、北街の件から想定出来る問題についてアレコレ話し始めている。
そんな中、オーギュストはこちらを向くと礼を言ってきた。
「全てをこちらで処理することは出来ないが……事前に申請を出させておくなり、今の時点で対処可能な方法を用意する必要があるな。二人とも、助かった」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




