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訓練場を離れた俺たちは、南門から南街に入って、そこからさらに中央広場を通過して北街を見て回った。
屋敷を出た当初や他のエリアに比べると、多少は通りを走る馬車の数が増えただろうか……って感じだ。
わざわざ隣に下りて話を聞くようなことはしないが……商業ギルドの紋章が彫られているし、そこの職員辺りが乗っているんだろう。
エレナと相談して、もう少し北街を見て回ることにした。
そのついでに、まずは路地や街壁沿いに設置されている排水路の確認もしたが、こちらはまだ目に見えるほど違いはない。
そして、他国の屋敷が並んでいる辺りにも行ってみたが……こちらも先日同様に静かなもんだ。
「うん……街にも大きな変化はないね。他国の者たちが何か出来る状況でもないし……とりあえず、雨季明けまでに動くのは冒険者ギルドと商業ギルドの関係者くらいだろうね」
「他所の人には情報が入ってこないのかな?」
そう訊ねると、エレナは首を横に振った。
「多少は情報の伝達は遅れるだろうけれど、流石にそこまで露骨に省かれることはないよ。ただ、彼らもただでさえ警戒されているのに、さらに怪しまれるような事態は避けたいだろうからね。今年は雨季明けまでは大人しくしているはずだよ」
「……今年の外からのお客さんは大変かもね」
毎年この時期他国から来る者は、領都に屋敷を構えている自国の者の下に集まることが多い。
んで、その屋敷の主のサポートを受けて商談だったり情報収集だったり……政治的な活動だったりアレコレしている。
俺も詳しいことはわからないが……恐らく今年はウチの各ギルドを通さないと、碌に活動出来ないだろうな。
俺がそう言うと、エレナは苦笑しながら答えた。
「今年は連絡が上手く出来ていないからね。領都に到着してから初めて知る者も少なくないはずだよ。そうなると……彼らのサポートは商業ギルドが引き受けることになるだろうね」
「冒険者ギルドとかはそうでもないのかな?」
護衛の冒険者も一緒に領都にやって来るが、彼らは別にずっと雇用され続けるわけではない。
滞在中に周辺の狩場だったり、お偉いさんの紹介状を持っていればダンジョンにも潜ることは出来るだろう。
そのサポートは冒険者ギルドが行うはずなんだが……。
「ウチでの実績がない者が急に来ても中々応対してもらえないからね。だから冒険者ギルドへの口利きをしてくれる紹介者が必要でしょう?」
「普段の業務もあるわけだし紹介者はいた方がいいよね。でも、そうなると商業ギルドの負担が増えるよね。大丈夫かな?」
「他所の冒険者が街にあふれても困るし……騎士団にも話を通した方がいいだろうね。もっとも、これくらいは団長たちも予測出来るだろうし、わざわざ言うまでもないかもしれないけれど……」
エレナはそう言うと、北街をグルっと見回した。
街壁の上から北街を監視している兵や、街中を巡回している兵の姿がチラホラ目に入るが……。
「巡回の際に調べる項目を増やしたからかな? ペースはあまり速くはないね。この状況でさらに仕事が増えるかもしれないのか……」
エレナは腕を組みながら、街の様子をジッと見ている。
「街中で暴れるようなことはないだろうけれど、住民たちと揉め事を起こされても困るし……やはり話をしておいた方がいいかな? 騎士団の事務方を回せば多少は余裕が出来るだろうしね」
腕に覚えのある冒険者なら、折角リアーナに来たってのに何も出来ずに街で待機するだけ……ってのは、ストレスが溜まるだろう。
まぁ……騎士団と商業ギルドでどう解決するかはわからないが、それは向こうでどうにかしてもらおう。
早い段階で話を持って行けば、それだけ有効な手段を思いつくかもしれないしな。
「セラ、街はもういいから騎士団本部に向かおうか。団長に会っておこう。申し訳ないけれど彼に任せるのが一番だろうね」
「了解。オレたちが出来ることはそれくらいだしね」
俺がそう言うと、エレナは笑いながら「そうだね」と答えた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




