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「セラ副長……それにエレナ様までっ!?」
彼らの手前数メートルの位置に下りて来た俺たちを見て、驚いたような声を上げる兵たち。
……正確には、俺じゃなくてエレナの姿を見たからなんだが……まぁ、いいだろう。
ここら辺にエレナがやって来るのは結構レアケースだからな。
ただでさえ一番隊の彼らはエレナとは普段から関わる機会は少ないし、驚くのも無理はない。
それはさておき……別に俺たちも彼らを驚かせるためにやって来たわけじゃない。
「お疲れ様。ちょっと外の様子を見たいから、二人で壁を越えさせてもらうよ」
「む……わかりました。何か異変でもありましたか?」
手前の兵にそう伝えると、俺だけならともかくエレナまでやって来たし余程のことでも起きたんだろうかと思ったのか、周りの兵たちも表情が変わった。
「いやいや……雨の様子とかを見にね。外にいる人は冒険者だよね?」
一先ず安心させるように笑いながら伝えると、彼らは詰め所を振り返った。
「ええ。彼らも同じく天候の変化を調べるために壁の外に出たいと。カーン支部長の指示書を持っていたので、そちらから出てもらいました」
詰所には外に繋がる通用口があるが、そこは基本的に騎士団関係者か貴族しか使えないようになっている。
今回はカーンからの急ぎの仕事だからってことで特例だな。
「目的が分かっているのならわざわざ門を開けるほどではありませんからね。ご苦労様です。私たちは上から出させてもらいますよ」
「はっ! 本日は門の周囲に魔物の気配も目撃報告もありませんが……お気を付けください」
「ええ、ありがとうございます。貴方たちは引き続き警備を頼みますよ」
エレナの言葉に彼らは揃って返事をする。
フィオーラの時のような浮ついた雰囲気ではないが……俺の時とは大分態度が違っているな。
女性に弱い……ってことはないだろうが、免疫ないんだろうか?
ハニートラップの心配はないと思いたいが……どこかで気を付けるように言ってもらおうかな。
彼らの様子を見ながら呆れ半分にそんなことを考えていると、エレナが不思議そうな顔でこちらを見ている。
「セラ、出発するよ?」
「おぅ……りょーかい!」
兵の指導はオーギュストたちの役割だし、俺たちの用を片付けないとな。
エレナの隣に移動すると、合図をしてその場を飛び立った。
◇
「ところで、エレナは雨足が弱まっているかどうかとかわかる? オレは……ちょっとわからないね」
壁を越えて街の外に出たところで、冒険者たちの下に向かう前に天候について何か気付いたことはないかエレナに訊ねた。
ちなみに俺はよくわからない。
元々ここ数年は、雨どころか風に吹かれることすら滅多になかったし、勘が大分鈍って来ているみたいであてにならない。
エレナはどうなんだろうかと隣を飛ぶ彼女に顔を向けると、しばらく黙って顔を上に向けたり森の方を眺めたりしていた。
「直接雨に当たっているわけじゃないから、ハッキリとは分からないけれど……確かに弱まっているみたいだね。森の木や草原の揺れ方が違っているよ」
「なるほど……」
「後で訓練所や街道にも行って見ようか。水の溜まり方も確かめたいしね。……彼らもそう考えたみたいだね」
ふとエレナが横に視線を向けると、壁の近くを移動していた冒険者たちが街道の方に向かって移動していた。
彼らと合流して一緒に見て回るのも有りだな。
俺はエレナに頷くと、彼らと合流しようと伝えようとしたが……。
「そうだね……うん? アレ!」
東側に視線を向けたことで、一の森の端に魔物が数体出て来ていることに気付いた。
そして、街道に向かう冒険者たちはまだ気づけていない。
「様子見……かな? 高度を下げよう」
「了解!」
魔物たちは既に俺たちに気付いているが、何の動きもないし俺たちが気付いているのはわからないはずだ。
だが、呑気に浮いていると魔物たちにも気づかれてしまうし、一先ず高度を下げないとな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




