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オーギュストの用意したカーンへの伝言は、まずは雨季がこのまま明けるかどうか、天候を冒険者にも観測してもらうこと。
これは丁度いいタイミングで冒険者たちも気付いたためカーンはすぐに動いてくれたし、後は報告を待つだけだ。
んで、雨季が明けてすぐに、休暇中の冒険者たちが活動を再開出来るように、騎士団が商業ギルドに掛け合って武具の整備を急がせることになった。
領地絡みの件やルバンの件も含めて、商業ギルドが工房エリアの職人たちに仕事を大量に振っているため、冒険者の武具を整備する職人の手が足りなくなるかも……って問題も解決だ。
ついでに、俺の調査に同行する冒険者に関しても、人選を終えたら騎士団経由で俺に連絡すると言っていたし、そっちの懸念も解決だな。
もちろん、話を通しただけで実際に行動に移ったってわけじゃないんだが……それでもとりあえずこれで冒険者ギルドにやって来た俺たちの用件は終了した。
「セラ副長、私の仕事はこれで終わりましたが、これからどうされますか?」
「ウチで仕事をしていくんならいくらでもあるぞ? お前さんなら足も速いしどこでも素通り出来るからな」
伝令の彼がこれからどうするかを訊ねてくると、俺が返事をする前にカーンが被せてくる。
これから連絡する相手は、街で休暇中の冒険者だけじゃなくて、商業ギルドだったり各商会だったり色々だ。
個人ならともかく組織が相手となると、冒険者ギルドの職員で、カーンの使いとは言え話一つ持って行くだけでも何かと手間がかかる。
その点、俺だったらどこでもフリーパスだ。
カーンからしたら、是非とも俺にも仕事を手伝って欲しいんだろうが……「止めとくよ」と首を横に振って断った。
フリーパスなことは間違いないんだが、あまり馴染みがない相手ばかりだし気を使うからな。
申し訳ないが、そういう疲れる仕事は避けられるものなら避けたい。
ってことで、俺は「止めとく!」ときっぱりと断った。
カーンは残念そうに「そうか……」と呟くと、部屋にいる彼の補佐たちに指示を出し始めた。
手伝う気のない俺たちがこれ以上この部屋にいても邪魔になりそうだし……ここらで退散させてもらうか。
◇
騎士団本部に到着した俺は、そこで伝言役の彼と別れて地下通路から屋敷に戻ることにした。
「おや? セラ副長ではありませんか」
魔導研究所の前を通りかかったところで、そこから出て来た職員に声をかけられた。
他と違ってここはまだそこまで忙しくないのか、通路で姿を見かけなかったんだが……何やらファイルを何冊か持っているし、どこぞの会議にでも呼ばれたのかな。
「お疲れ様。本部に行くのかな?」
「いえ、商業ギルドの方です。薬品の素材の調達を依頼しておきたくて……」
「足りてないの?」
俺の言葉に、彼は「いいえ」と首を横に振った。
「現時点では必要な分はあるはずです。ですが、これからまた使うことになるかもしれませんからね。今年は少々外の様子が違うので、消費量が上手く読めないんですよ」
魔物の動きも違えば、領都にやって来る者の数も未だにはっきりしていない。
護衛の冒険者の数や質がわからなければ、正確な予測なんて出来やしないよな。
苦笑しながら俺に話す彼に、俺も「そうだね」と何度も頷いていると、研究所のドアが開いて中からフィオーラが顔を覗かせた。
「話し声がすると思ったら……貴女もいたの?」
「街からの帰りだよ。フィオさんはこっちでお仕事かな?」
そう訊ねると、フィオーラは彼の様子を見て、俺が話を聞いたことを察したらしい。
「下から雨季明けが近いと連絡が来たのよ。それに向けて準備が必要だけれど……あちらこちらに連絡するから、私はここにいた方が都合がいいのよ。これからしばらくの間、夜以外は私はここに詰めることになるでしょうね」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




